コマンドー

 何故まだ書いてなかったのか不思議なくらい大好きな映画ですが、アーノルド・シュワルツェネッガーの「コマンドー」の感想を書いてみます。これは中学生くらいだったでしょうか。私の住む地方では「バタリアン」と同時上映で、どっちもすげー映画じゃねえか! とクラス中で話題になっていました。ちょうど夏休みくらいだったと思いますが、オールナイトでずっと映画館にいた思い出があります。友達や兄貴も同じ劇場にいたということすらありました。

 さてそんな「コマンドー」ですが、今でこそこのコマンドーという言葉はポピュラーになりましたが、当時は「なんでコマンドーなんだ。コマンドじゃないのか(もしくはコマンダー)」と、最後をなんで伸ばしているのか話題になったものです。

 とにかくこの映画はシュワルツェネッガーのプロモーションのような映画です。それまでも「コナン・ザ・グレート」とか、もちろん「ターミネーター」とかあったわけですから、そこそこ知名度はあったのですが、この人の持ち味が一番現れたのが、この映画ではないかと思うのです。コナンもターミネーターもそのキャラクターを演じているわけで、シュワちゃんではありませんでした。しかし、この映画ではこの主人公はまぎれもなくシュワちゃんであり、その後出続けるアクション映画でも、やはりシュワちゃんでしかない同じようなキャラを延々と演じ続けることになったわけです。こうやって書くといいことか悪いことか分かりませんが。

 それにしてもこの脚本はシュワちゃんにあてて書かれたかのように痛快です。まず娘が誘拐され、犯人に条件を突きつけられそうになるのですが、いきなりシュワちゃんはそいつを撃ち殺します。こんな主人公いません。ここでもう大喝采。続いて娘を連れて逃げる車をエンジンのかからない車で追跡。坂道だから追跡できるのです。そのかわりブレーキもききません。ひとしきりアクションがあって娘を奪回できるかと言うと、やっぱり捕まります。この無駄なアクションっぷりが素晴らしい。間違いなく新しいアクション映画の形が生まれた瞬間だと思います。

 そして結局娘の命と引き換えにあるミッションをしろと強制されるのですが、そのミッションが何だったかなど覚えていませんが、とりあえず外国に行けと飛行機に乗せられるわけです。しかしシュワちゃんは離陸寸前のこの飛行機から脱出(最高にカッコいいシーンです)。映画はこの飛行機が目的地に着くまでにシュワちゃんが娘を取り返せるか、というお話になるわけです。

 とにかくノンストップで、次から次へとアクションが飛び出す楽しい映画です。シュワちゃんも電話ボックスを投げたりターザンごっこしたりと楽しそうです。一番ビビったのはシュワちゃんが車に撥ねられるシーンをカットを割らずに本人がやっている(しかもすぐに立つ)ところで、こんなの観たことありませんでした。正直後半のクライマックスより中盤までのレイ・ドーン・チョンを巻き込んだドタバタの方が面白いのですが、ラストのバーノン・ウェルズとの戦いは名勝負です。こんな人間離れしたシュワちゃんにかなう奴などいないと思うところですが、そこは「マッドマックス2」でも凶悪なモヒカンを演じたウェルズです。対決シーンでも一歩も引けを取っていません。

 面白いのも当然で、製作や脚本や編集など、その後のハリウッドアクションを支えていると言ってもいいほどのメンツが揃っています。監督のマーク・L・レスターさんだけはちょっとあれですが、でも私はこの人は大好きです。今でもたまにテレビでやっていると必ず最後まで観てしまう(吹替えがまた秀逸なので)、何度観ても面白い映画と言えるでしょう。

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