ランボー/怒りの脱出
さて昨日に引き続いてランボーのお話をしたいと思います。シリーズ二作目の「ランボー/怒りの脱出」です。これは超大作アクションということで公開前からかなり盛り上がっていたのを覚えています。一作目の印象から、そういうノリになっているのはちょっと疑問だったのですが、まあとりあえず観るかという気持ちで劇場に行きました。
もちろん続編ですので、ランボーは前作で捕まって刑務所にいます。そこへリチャード・クレンナ演ずるトラウトマン大佐がやってきて戦場から帰って来ない兵士の捜索に協力してくれと頼まれます。ここで引き受けるランボーですが、その時の台詞がなかなかいいです。「今度は勝てますか?」と言うのです。ベトナムでも前作でも勝利を得られなかったランボー、と言うか全てのベトナム兵士の心を代弁するかのような台詞です。そうですこれは「七人の侍」の勘兵衛ではないですが、負け戦続きのランボーに栄光を掴ませてあげたいというスタローンの願望から作られたのではないかと思える映画なのです。
カンボジアでしたでしょうか、そこへ調査のため降下するランボーですが、ここでトラブルから降下地点がズレたり、ノリノリのノンストップアクションかと思いきやかなりサスペンスフルでじっくりとした展開が前半続きます。爆発の印象が強い映画ですが、前半はちゃんと潜入任務をこなしているのですね。と言うかその潜伏テクニックも見せ場になっています。
現地の女性の協力で捕虜を見つけ、彼らを救出するランボーですが、脱出地点に向かうものの捕虜を連れて来いという任務ではなかったため、何と味方から見捨てられてしまいます。この作戦の司令官がチャールズ・ネイピアと言ってなかなか渋い役者さんです。恐らくこれが一番有名な役だとは思いますが、他にも「羊たちの沈黙」で殺される警官とかやってます。実はラス・メイヤー監督の映画の常連さんなんですけどね。
見捨てられたランボーは捕まり、味方と通信しろと言ってマイクを渡されるのですが、ここで司令官に向かって「命を貰いにいくぜ」ガーン! という場面は最高に盛り上がります。うまく説明できませんが、ご覧になった方なら分かると思います。そんなこんなであとは敵地から脱出するというアクションなのですが、もちろんそのアクションが凄まじいのがウリの一つではあるのですが、いちいちくどくど書くのも何なのではしょります。それより司令官に復讐するために脱出するというのが、ほぼストレートなストーリーのこの映画の唯一の一ひねりの効いたところであり、第一作から通じるアメリカ批判にもなっているのですが、映画全体の作りがまあ娯楽アクションなので、あまりそっちの効果はなかったかもしれません。
しかしラストで基地に戻ってきてマシンガン乱射から司令官にナイフを突き立てる寸前までのランボーの怒りっぷりは素晴らしいです。本当にスタローンは役者として過小評価……って、いつも書いてるのでやめておきます。そしてその後は「俺たちが国を愛したように、国も俺たちを愛して欲しい」という、シリーズ最高の名言が映画を締めくくります。そういう意味ではシリーズを通して一本芯が通っているのですが、やはりクライマックスのアクションがド派手すぎてテーマ性は希薄になってしまったような気がします。でも私はこの映画は大好きです。いろいろ理屈を書きましたが、テーマ性なんかどうでもよく、ランボーの活躍をハラハラドキドキしながら見られればそれで満足といった感じの映画です。
よろしければサポートお願いいたします。