ミッドナイト・ラン

 そんなわけで今日ご紹介するのは私がかなり好きな映画「ミッドナイト・ラン」です。監督さんは「ビバリーヒルズ・コップ」のマーティン・ブレスト、主演がロバート・デ・ニーロでしたから当然映画館に観に行きました。デ・ニーロ扮するジャックは賞金稼ぎというのでしょうか、保護観察中の容疑者が行方をくらましたらそいつを追っかける仕事をしています。ライバルの賞金稼ぎを演じるのが「ビバリーヒルズ・コップ」にも出ていたジョン・アシュトンさんで、なかなかいい味を出してます。そんなライバルに出し抜かれたり出し抜いたりの日々を送っています。で、今度の獲物はマフィアの金を横領して逃げた会計士です。そいつを捕まえて身元保証人のところに届けるわけですが、当然マフィアが狙ってくるわけで、二人の珍道中となります。

 この会計士を演じるのがチャールズ・グローディンさんで、この映画の良さは、デ・ニーロの演技やブレスト監督の軽快な演出、練った脚本などいくつもありますが、このチャールズ・グローディンの素晴らしい存在感がかなりのウェイトを占めていると思うのです。普通こういった珍道中的なロードムービーの相方というと、分かりやすいキャラクターにしがちで、反面いわゆるステレオタイプにもなったりして、それはそれで面白くなるんでしょうけど、この映画はちょっと違うのです。

 この会計士がもう登場した瞬間から普通の人なのです。それで舐めてかかっていったら、少しずつ本性を現してきて、したたかだったり、小心かと思うと大胆だったり、変なところで頑固だったり、デ・ニーロ目当てで観にきた私は、そういったとらえどころがないようで、微妙な人間のリアルさを表現するグローディンさんの演技に心奪われてしまいました。特に偽札の捜査と偽って店からお金をせしめるところの演技など凄いです。なんだこの役者は! 一体何者なんだ? と思ってしまいました。それで調べてみると、結構出演してる映画を観ているのに印象になかったのですね。ひょっとしたら私だけが知らなかったのかもしれませんが。

 コメディタッチなんですが、やりすぎでないダラダラしたロードムービー感が非常に心地よいです。ずっとこの映画を観続けていたいと思わせるあの感覚です。デ・ニーロも肩の力を抜いた演技をしてますので観ていて疲れません。終わり方もいい感じで、本当に良質の娯楽映画を観たなあと思わせてくれます。

 この映画は私が大学生だった頃にやっていたのですが、その時アメリカ人の講師と映画の話になって、昨日「ミッドナイト・ラン」観たんだ、と言ったら、その人が大喜びして、あの映画は最高だと熱く語り始めたので、アメリカ人も大好きな映画だということがよく分かりました。サンプルが一人なのでちょっと信憑性に欠けますが……。あ、そう言えばデ・ニーロさん本人もニュースステーションに出演したとき、一番お気に入りの映画は? と聞かれてこの映画を挙げていました。だからみんなやっぱり大好きということですね。

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