インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説

 はい先日「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の感想を書きましたので、続いてこちらの感想を書きたいと思います。シリーズ二作目の「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」でございます。これはもちろん公開当時に劇場に観に行ったのですが、何を思ったか先にノベライゼーションを読んでしまいました。おそらく公開まで待ちきれなかったのでしょう。そんなわけでほとんど全てネタバレされた状態で観たのですが、それでも驚異的なまでに面白かったという記憶があります。いや今観ても何回観ても面白い映画です。

 これ多分ノンストップ・ムービーと言いますか、最初から最後まで見せ場だらけで面白い映画の先駆けのような気がします。前作の「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」ですら、序盤はじっくりとお話を展開させていたのに、今回はとにかくオープニングから急展開に次ぐ急展開で、まさにジェットコースタームービーとなっています。ジャングルの中での休憩シーンや、食事中の会話の中にもギャグを取り入れ、観客を飽きさせるということがありません。監督のスティーヴン・スピルバーグとしても、これだけ密度の濃いエンターテインメントは後にも先にもこれくらいではないでしょうか。

 お話はインディとその相棒のショート・ラウンド、そして香港マフィアとのドタバタで知り合ったクラブ歌手のウィリーが、飛行機でマフィアから逃げる途中墜落して流れ着いたインドの村でシャンカラ・ストーンの争奪戦に巻き込まれるという話です。巻き込まれるというか、もう話はものすごく単純で、怪しいなと思って宮殿に忍び込んだら、案の定そいつらが邪教集団で、捕まってしまい、そこから脱出するというだけの話です。非常に短い期間の物語です。

 またアクションやギャグだけでなく、スピルバーグならではの悪趣味な描写も多分一番充実しています。シリーズ恒例の虫のシーン、宮殿での食事のゲテモノ料理、またモラ・ラムの心臓掴み取りなど、その辺のホラー映画顔負けのグロ描写満載です。

 一応はインディがいったん捕まって操られてしまうという、ちょっと物語が落ち着く瞬間もあるのですが、すぐに正気を取り戻してしまいます。ここからの脱出劇はとにかくワクワクさせる興奮に満ちています。奴隷として働かされていた子供たちを解放し、シャンカラ・ストーンを奪って有名なトロッコチェイスのシーンに突入です。ただしこのシーンは当時劇場で観たときは手に汗握って文句なしに面白かったのですが、後にビデオで観ると案外合成とかがバレバレで萎えた記憶があります。でもまあ当時の技術としては最先端だったので、それ以上を望むのは酷というものでしょう。

 私はこの映画を親父といっしょに観に行ったのですが、見終わった後に親父がインディたちがトロッコで逃げた後、大量の水が流れてくるところで、あそこでトロッコが船になってさらにチェイスが続くかと思ったらあっさり終わって物足りなかったと言うのを聞いて、この親父、どこまで娯楽に対して貪欲なのかと驚きました。それに比べたら私はまだ「もうちょっと見せ場以外の展開があってもいいのにやりすぎじゃないか」と思っていたくらいです。普段は見せ場しか求めていないような考えを持っているのですが、そんな私にさえそう思わせてしまうくらいエクストリームな映画体験でした。

 メッセージ性も何もなく、あるのはひたすらアクションとスリルとギャグとだけというある意味アトラクションに近い映画なのですが、ここまで極めるとそれもまた名作と呼んでいいのではないか、そんなことを思う映画なのでした。

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