春先
ゆれ動いてよいのです
幻となって消えてもよいのです
あなたのその体は透き通り
誰にも見つけられない胸の疼きだけが
一枚の萎びた花びらとなってこびりついている
消えてもよいのです
泣いてもよいのです
春の光が
心を気持ちよく通りすぎてゆくように
そんなふうに透明になれるなら
そこにいるだけで
皮膚があるだけで
傷んでいるだけでよいのです
あなただけのやさしさが
小さいけれどつよいつよいやさしさが
きっと
そのガラスの破片のような胸にあるのですから
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