DBQM 1

ということで、最初はChapter 1: Essential Draught System Components。ドラフトシステムについて話は始まります。

ドラフトシステムを構成する9種のパーツ類について一つずつ解説されています。時代なんでしょうね、ワンウェイケグについても触れられています。
• Refrigeration/Cooling
• Kegs
• Couplers
• Tail Pieces and Connectors
• Beer Lines
• Faucets
• Gas Source
• Gas Lines
• Regulators

規格を揃えてシステムを組むことになるので、とりあえずUS standard threadについては押さえておいた方が良い。シャンクにしてもナットにしてもこれが普通。

別章で洗浄について触れられているのでここでは深く書かれていませんが、「ビールホースは1〜2年に1度は交換しましょう」とあります。洗浄がしっかり出来ていれば、という前提の話であって、ここ日本においては鵜呑みにしてはいけない数字だと思う。

ビールホースの種類も実際にはたくさんあって、素材や径については一考を要するはずなのだけれど、日本では外径10mm・内径5mmのもの一択というのが現状。この規格は日本以外では見たことがない。恐らく日本だけのものなのだろう。

フォーセット(注ぎ口)についてはもっと勉強しないと、と改めて思う。スタンダードは所有していて経験があるが、かっちりガスやホースのセッティングが合っていないとトラブルが多い印象。合っていればフローの安定性はとても良く、やはりスタンダードは良いなぁと思わされる。両国の聖地も基本これ。

ベンチレスはパーリックのフローコントロール付きを使っていて、コントロール無しはほぼ経験が無い。衛生面ではベンチレスが有利なのは確かだけれど、DBQMで指摘されているturbulenceはどれほど起こり、液体の最終的な表現に影響するるのだろうか。

ロトタップは絞りのついているものとそうでないものがあるが、ちゃんと合わせることが出来ればこれが一番好き。好みにもよるが、レバーの可動域が広く、遊びの部分が他に比べて大きい。半クラッチのような形で泡も作れるし、表現の幅が広いのも魅力。ただ、とにかく高いし、バラすのが面倒。

押し泡機能付き注ぎ口(=creamer faucet)の記載は無い。アメリカではそんなもの不要なのだろう。日本のガラパゴス化を象徴するパーツだと思う。また、スイングカランが取り上げられていないのはアメリカでは全然使われていないからだろう。あれでなくてはいけない理由が私にも思い浮かばない。見た目はかっこいいけどね。

シャンクのボアは1/4"がスタンダードで3/16"は少数派だという。フローのスムースさを重視するなら内径は統一しておいた方が良いので、微妙な差だけれどホース内径やテイルピースなどと合わせておくのが無難だと思う。

日本だとgas purityという話は一切無いが、ホースも基本はビールと別だしそこまで気にする必要はない部分だろう。一応知識として持っておいた方が良いことなのだろうけど。

安全を考慮してガスボンベは閉空間に置かないのが原則とされているが、日本だと多くの場合ウォークインなら中に入れていると思われる。何かあったら困るから設計の段階で外に置けるようにしておきたいものだ。

ガスボンベが汚染されている可能性があるから、それを使ったらビールも汚染される。ガスフィルターやガスピューリファイアーについても知識として持っておくのが良いと思う。ガス漏れ検知器についても同様。

ガスラインの耐圧性能について。ブレイデッドホースは50+psiでの使用を目安に記されているが、50psiは約3.45barであり、日本のレギュレータ性能の上限と一致。基本的には気にしなくて良い数値だろう。空冷で提供する環境であれば50psiかけることはほぼ無いのでブレイデッドホースは不要と考えて良いと思う。

DBQMにおいてはセカンダリーレギュレータよりプライマリーは5〜10psi高くしておくこととされている。当然プライマリーの方が高くなくてはならないが、0.5bar程度の差しかないことは広く認識されているのだろうか。

P17からの圧力や溶解ガスに関する記述は後ほど詳細に書かれるのでここではあっさり済ませているが、非常に大事。日本では全然理解されていないことの一つだと思う。

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