共働き子育てについて考える~書評『「家族の幸せ」の経済学 データ分析で分かった結婚、出産、子育ての真実』~

私は共働き子育て世代の一員である。
この本「家族の幸せ」の経済学データ分析でデータ分析で分かった結婚、出産、子育ての真実の本を読んで感じた子育てについて書いてみたい。この本は、基本的には子育ての常識とされているものを、データをもとに検証しているというのが大まかな流れです。逆を言えば、本の中身はほぼデータ検証についてなので、あまり主観的なことや精神的なことは書いていません。


まず、第一章においては結婚そのものについて経済学的な視点から見ていました。論点として面白いなと思ったのは以下の3つです
・美男美女ほど収入が上がるということは、学術論文でも証明されている
・職場内結婚で結婚した後に離婚すると、再度同じ職場内で再婚する可能性が高い。よって、職場内結婚の後離婚した場合は、同じ社内で結婚相手を変えるための離婚が多いと考えられる。
・結婚は元来同類結婚が多いが、マッチングアプリの登場により、忙しすぎて同類以外の人との出会いがなかった人が、同類結婚ではない結婚をするようになった。
以上の3つです。あとは、キャリアウーマンが結婚しない理由として、結婚して子供を持ってしまうと、時間的に子育てに取られる時間が増えてしまう。それは、自己のキャリア・仕事から得られる金銭的な報酬を減ずるものであり、キャリアが高くなればなるほど、失われる機会費用が大きくなる。よって、キャリアウーマンは結婚出産をしないというある意味当たり前のことが数字を使って説明されています。


二章は赤ちゃんの経済学という名目でいろいろ書いてありましたけど割愛。低体重で生まれると大人まで発達が遅れるという話と、帝王切開は子供に影響を与えないという二つの話でした。


三章と四章は育児休業についての経済学です。三章は女性の育児休業について、四章は男性の育児休業についてまとめています。まず、女性の育児休業について書くと、女性の育児休業の制度は、先進国全体で見て日本は制度自体は整っている方です。何をもって整っているとするかですが、「出産後にいつまで休もうと思えば休めるか」「休んでいる間、給料はどの程度補償されるか」の、2点です。アメリカに至っては育児休業の仕組みはほぼゼロ。育児休業の制度が整っていそうなヨーロッパの国も日本と同レベルです(一部ポーランドのように出産後3年間休むことができて、なおかつその間ずっと100%の所得補償がされる国もありますが!)


ただ、この本が同時に指摘しているのは、3年といった長すぎる育児休業は、母親の職場復帰を妨げるため、社会的なロスが多いと指摘しています。
四章においては、父親の育児休業は長期的な父親と子供の関係を改善し、短い育児休暇であっても父子の関係が良くなる結果、子供の発育にポジティブな影響を与えていると書いています。


五章においては保育園の経済学について書いてあります。
まず、この本の大きな論点としては、母親は3歳ごろまでなるべく赤ちゃんのそばにいてあげたほうがいいのか、それとも1歳や2歳から保育園に預けても問題ないのか、という論点を挙げています。私個人としてもこの論点については、赤ちゃんはなるべく早い年齢(1歳や2歳)から、プロの保育士に預けて、いろいろな教育を受けたり、あるいは他の子供たちと遊んだだりしたほうが良いと感覚的的に思っていました。

この本に書いてあることは、むしろ幼児教育を受けたほうが良いのではないかという結論です。なんと、40年にわたる長期調査を行ったというのだから驚きです。

ここへ来て考えることとしては、三章と四章でふれた通り、日本は育児休業の制度は整っていますが、保育園の制度はひどい状況です。ある程度のお金を払えば子供を預けることができる欧米先進国に対して、待機児童の行列。。。これも、子供を持ちにくくする一因かもしれませんね。介護と保育は慢性的に人手不足ですが、この二つの問題をどうにか日本政府には解決してもらいたいものです。


最後6章では、離婚の経済学について論じています。中でも日本では認められていない共同親権のメリットデメリットについての議論が面白かったです。共同親権を認めると、今まで親権を取れないことを理由に離婚をしなかった主に父親が離婚を認めるようになる。また、離婚しても共同親権を得ることができるので、父親としては離婚のデメリットが小さくなるので、家庭内で父親のプレセンスが上がる。などです。

以上です。結構、面白かったです


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