見出し画像

超大国から滑り落ちるアメリカ、出番を待つ中国

2022年2月24日、ついにロシアがウクライナに侵攻してしまいました。ロシアの論理で言えば侵攻ではなく特別な軍事作戦です。
これについてはお互いに主張する正義があり、どちらが正しいとも簡単には言えない面もあります。もちろん、最終的に特別な軍事作戦だろうとなんだろうと、国連加盟の主権国家に同じく国連加盟であり常任理事国でもあるロシアが紛争解決の手段として軍事力を投入したことは誉められたことではありません。
が、その辺りは置いておいて、世界秩序が変わったなと感じました。

超大国アメリカの黄昏

今回、アメリカのバイデン大統領は口ではウクライナ指示とは言っており、経済制裁は口にしています。が、最初から軍事的な選択肢がないことを明言していました。
もちろん、現実問題としてウクライナをめぐってロシアと正面から打つかるのが良いかと言えば難しいところです。が、最初から選択肢を除外してしまったのはどうなのでしょう。
その点、アメリカ第一のトランプ前大統領がどうしたか分かりませんが、彼はそもそもアメリカ第一主義なので、今更ウクライナなんか知らない、ロシアと対立することがアメリカの国益にはならない、と言ったとしても問題ないとは言いませんが、誰も驚かないでしょう。
まあ、たらればの話をしても仕方ありませんが、彼はビジネスマンでもあるので、実際に使うつもりがなかろうが最初から選択肢を放棄することはなく、その選択肢をちらつかせながら譲歩を迫ったかも知れません。交渉、外交とはそういうものだと自分は思います。軍事力で平和は得られませんが、悲しいことに軍事力という選択肢なしでも平和は得られません。

しかし、バイデン大統領は最初からそれを除外してしまいました。アメリカの世論が許さないと思ったのかも知れませんし、実際、そこまでする義理はないと考えていたのかも知れません。そこは彼の回顧録でもでないと分かりません(出ても、後付けに過ぎないかも知れません)。

ただ、バイデン大統領はトランプ氏のアメリカ第一主義に対して、同盟国との関係を大事にすると言ってきました。もちろん、ウクライナはアメリカの同盟国でもNATO加盟国でもありません。そういう意味では、アメリカがウクライナを支援する義理はありません。
でも、彼は口ではウクライナを支持すると言い続けてきました。かつて世界の警察を自認していた超大国アメリカの復活とは言わないまでも、西側自由主義陣営の盟主として振る舞ってきました。しかし、現実にはそれが何の力もないことが明らかになってしまいました。薄々皆が気づいていたのですが、プーチンと習近平によって白日の下になりました。

千載一遇のチャンスを得た中国

その超大国の立場をアメリカから奪おうとしていたのが中華人民共和国です。本来は中国は100年の単位で考えているので、すぐにでも成り代わろうとは思っていなかったはずです。が、習近平氏は自分の任期中に実現することを目指しているように見えます。

その矢先にアメリカが自ら梯子の上から転げ落ちました。おそらく、中国・習近平氏は出番を覗っている筈です。経済制裁しか口にできず、その実効性も疑われる欧米、特にアメリカを横に、ロシアに対して働きかけて、プーチン氏もそれを呑むのではないかと思っています。あるいは、もうシナリオができているのではないかと思います。
キエフを落として、現政権を倒した後で中国の”仲裁”でウクライナ新政権と和睦を結び、東部2州の独立も認めるという流れではないかと。親欧米住民はこの機に難民としてウクライナを追い出し、そこにロシアから住民を送るという、かつてのソ連の手法と同じことをやるつもりではないかと思います。

G7対その他の世界

日本人からとんでもないことに見えるかも知れませんが、それは平和な世界にいる我々の視点に過ぎないです。現実問題として、常任理事国が自らの正義を主張してウクライナに「特別な軍事作戦」を実行しました。綺麗事をいう欧米が裏で搾取してきた事実もあり、結局、力こそ全てだと世界に知らしめたと言えます。
日本人は欧米諸国をはじめとしたG7やG20が世界の主流かと思っているかも知れませんが、それは事実ではないし、今回の件でG7こそが世界の枢軸国となったかも知れません。

段階的に対応する愚策

今回の「特別な軍事作戦」によって欧米諸国が制裁措置を発表しましたが、正直、インパクトがありません。奥の手を取ってあるという話ですが、こういう戦力の逐次投入的なことはあまり意味がありません。
ロシアとしては、ここまではOKというところまでは自分のやりたいように進め、本当に困る措置が出てきたらそこで止めればいいわけです。つまり、今回の制裁措置でロシアの撤収はあり得ないのです。
今すぐ止めたいのであれば直ちにガツンと思い切った手を打たないといけないのですが、そうしませんでした。欧米がカードを小出しにしていけばその場を支配するのはロシアです。ギリギリまで粘ることができるのですから、その間に時間も稼げます。欧米がもたもたしているうちに、ロシアは欲しいものを全て手に入れるでしょう。それはもう目前です。

力なき正義

力が全てとはもちろん思いません。ただ、力なき正義も虚しいものであることは、歴史が証明しています。
今回、ロシアのやったことは論外ですが、これをもって今まで欧米、NATOに近づいていた諸国も考えを見直すと思います。
いざとなれば手を汚しても力を行使する指導者と、綺麗事は言うけど現実には何もしない指導者。どちらが自分達を最終的に守ってくれるのですか?と。それが正しいとは思わないし、思いたくもないですが、正しいと思う人を否定できるかと言えば、正直、難しいと思います。

拙い記事でございますが、サポートしてもよいよという方はよろしくお願いします。著者のやる気アップにつながります。