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キャパ20でも潜む魔物。初ライブ出演の感想

去る10月21日(土)、我らコンビ「西が8(にしがはち)」は初ライブ出演ということで下北沢の地下ライブハウスにいた。
事務所無所属、結成2か月のアマチュアド素人ではあるが、そんなアマチュア向けのライブというものがある。『楽しいペチカ』と称し、どのへんにロシアの暖炉要素があるのか考察しがいのあるそのライブ企画は、エントリーフィーさえ握りしめていけば、誰でも出演できるという懐の深い企画である。もちろん、事前登録が登録が必要だが、年齢などの制限はない。一般枠と学生枠が設けられていてそれぞれに定員があり、学生枠は大学お笑いをやっている子たちで募集が始まってからすぐに定員いっぱいになるような、(おそらく)その界隈ではポピュラーなライブのようである。
会場近くの公園で1時間弱ネタ合わせをし、最終調整をしてから臨んだその場は、リピーターの主演者も多そうで、アマチュアお笑いと言いながらもしっかり「演者」の顔をした皆様がそろっていた。

我々の出番は、始まりから3番目。ライブが始まってからは出番まであっという間で、出囃子が鳴ってステージに立ってからは、その次の瞬間には終わっていた。夢中が時を超越した瞬間であった。
ネタを作り、2人で磨き、「今の自分たちが作れる面白い」を引っ提げて挑んだ出番。ネタ合わせの最後の方は、もうこれが本当に面白いのかわからなくなってくる、というような状態にもなった。これはこの流れでくると思いきや、こんな風に裏切るから面白いでしょう、とか、いきなりこんなこと言ったら面白いでしょう、とか。自分たちなりの文脈に沿ってネタを作っているものの、じゃあ本当に伝わるのか?と問われれば、お客さんの反応を見るまではわからないわけで。とちらないかの心配よりも、面白いのかという心配が勝った状態だったというのが、当時の心境である。
お互い、飛んだらリカバリーできるという自負があったからの心境だったともいえる。4分程度のネタ、セリフ量は大したことはなく、体に覚えこませてしまえばスッと出てくるようになる。プロの芸人さんのネタを見ていて感じる余裕や自然体で話せることの正体の一つは、これなのではないかと感じられた。

そして、ネタ披露。やはり本番は練習の8割である。普段なら飛ばさないセリフを飛ばしたり、間やテンポがぎこちなくなったり。客席は20~30くらいで、チケットを買っているお客さんは3人。見ている人は同じライブに出演する人たちと、なんとも身内感満載のライブなのだが、それでも緊張はするものである。どんなステージにも魔物はいるのだ。
魔物にすこし飲まれつつも、一瞬で終わったように感じたが、私の耳はそれなりに客席の笑い声に反応していた。ここで笑ってほしい、というところで笑いが起こったことに安堵し、予想とはうらはらに起こった笑いは、新たな発見であった。この結果を持ち帰って、ネタのブラッシュアップをしていくということになる。それは、365日常設のライブや劇場といったネタを披露する機会がある吉本の芸人さんは、強いよなと思う。実感として。早くネタをいじって次のステージで試したいもん。言い回し、展開、間やテンポ。A/Bテストしたい項目は山ほどある。「M-1の決勝、吉本の芸人ばっかりだ!」と昨年のM-1予選で、ラパルフェがネタ中で発言し大いにバズったが、そりゃそうだと思わされた。
先日、主催の方がライブの動画を共有してくれたため、改めて自分たちのネタを見た。やってるときには気づかなった細かい笑い声も入っていて、さらに勉強になった。それから、自分の動きや目線、話し方。自分が意識していることがどこまで反映されているのかと、その意図通りに表現できているか。第三者的な目線で見直すと、粗が目立つこと目立つこと。
自分の立ち居振る舞いを俯瞰することなど日常の中ではそうはないので、非常に面白い体験である。もっと演者力つけたい。

次のライブは明日。『わらリーマン』である。
このライブは、出演条件に社会人であることが挙げられているもので、出演者は全員本業を持っているアマチュアお笑い芸人である。M-1の3回戦進出者が出ていたりと、なかなかの本格派ライブだ。Youtubeで今までのライブのネタが見れるので、ぜひ見てみてほしい。
そんなライブに出演ということで、若干の緊張があるものの、ペチカでやったネタを少しブラッシュアップして持っていく予定だ。ドン滑りしないということがわかっているネタをかけて、反応が見たい。なかなかの小心者である。
やはり新ネタをおろすときは、緊張するんだろうな。また一つ芸人さんへの造詣が深まったぜ。

明日のライブはどんな反応がもらえるのだろうか。悪魔とお友達になって、ステージを100%楽しめるようになりたいものだ。


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