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Solitary Shell(ソリタリーシェル)きしやまゆうへいによる『doom and hell』セルフライナーノーツ(前編)

2ndベストアルバム『doom and hell』について

6thアルバム『Cymatics Melancholia』から約1年振りのリリースとなったベストアルバムであるが、これまでの楽曲を整理して今後の活動に備える意味でも必要な作品として発表に踏み切った。4thアルバム『Save your story』で確立した路線である『呪』をテーマとするインダストリアルメタル・ゴシックメタルを軸にした作品をこれからも創りたいと考えている。
5thアルバム『Misanthrope』と6thアルバム『Cymatics Melancholia』からの選曲であり、チューニングは全編1音半下げである。

doom and hell/Solitary Shell

1曲目『Anti-Beauty Eraser (2023 Remaster)

3rdアルバムに収録されている『Anti-Beauty Et cetera』が原曲であるが、こちらは完全にゼロから作り直したインダストリアル色の強い楽曲。アラサー女性の「美しくなりたいという野心」に対する憂いをテーマにしたナンバーで、本来は美しい立ち振る舞いと美しい言葉こそが貴女の幸せに繋がるはず。「美しく成ろうとせず、美しく在ろうとして欲しい」と願った歌詞となっている。

2曲目『Red grudge (2023 Remaster)

4thシングルのリミックス版である。制作当時は最も時間を要した。
実際の作曲そのものは短時間で完成したが、編曲及びレコーディングにかなり苦戦しながら録音されたナンバーである。ミックスに関しても、今回シングル版とアルバム収録のDestrudo MIX版といった2種類を発表することになったのだが、それまでに何度も没となったミックスバージョンが存在する。
今回のベストアルバムに収録されているのはDestrudo MIX版のリマスター。
ギターは、大半をESPのM-2 Deluxeで録音しているが、中盤でのクリーンサウンドでは、ストラトキャスターとLTDのEC-10を使用。

3曲目『Screw up (2023 Remaster)

4thシングルにも収録された「Screw up」のDestrudo MIX版である。かなり細かい箇所ではあるが、ドラムパターンもシングル版とは微妙に変更している。歌詞タイトルは、スラングであり、「screw up」の意味は「失敗する、へまをする」といった意味。「私はとんでもない馬鹿なことをした」や「私は大失敗した」というようなニュアンスである。曲調は、パンクとビジュアル系の融合で、90年代にありがちなサウンドを敢えて意識して創作した。使用したギターは、Burny H series(改)のみで勢いだけで作曲・編曲・録音を2時間程で済ませたナンバーで、全く時間がかかっていない。

4曲目『Uncover the secret (2023 Remaster)

EP盤のタイトルナンバーで浮遊感のあるアンビエントな楽曲に仕上げるため、クリーンサウンドの幾つかのパートで、ストラトキャスターを唯一使用した。
テーマは「疎外・憂い・蔑みに対する怨みの果てとして生じた呪詛」であり、その悪意すらも白く染められ、朽ち果てていく様を表現したナンバー。
中学生の頃に大好きだったLUNA SEAの影響が垣間見える作品だが、この楽曲を創るきっかけとなったのはBorisの"どうしてもあなたをゆるせない”を聴いて、普段と違うことをしたくなったというのが本当のところである。

Solitary Shell(ソリタリーシェル)きしやまゆうへいによる『doom and hell』セルフライナーノーツ(後編)へ続く

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