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Word&Work

普段はことば由来のレシピをひたすらUPしているこのページですが、今回は筆者の私的な話をしてみます。

私の仕事とnote

noteには文章を書くこと自体が好きという方や、どことなく味のある文章を生み出す才能のある方が多数いらっしゃると思います。

残念ながら私はそういった才能には恵まれておらず、自分の思い描いたものを文字化するという行為がどちらかといえば苦手なタイプです。
だからこそ、文章などを0から自在に生み出している方々を羨ましく感じると同時に、とても尊敬しています。

私は「校正(あるいは校閲)」という仕事をしています。
近年、テレビなどで取り上げられることもあり、その名をご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
簡単にいえば、世に出る前の制作物(本やチラシ、Web媒体や容器のラベルなど対象は様々)が誤りなく、意図した形で作られているかを確認する仕事です。

「校正」は、基本的に人様が丹精込めて作った制作物をチェックし、様々な指摘を入れます。
その活動は、ややもすると校正者を驕らせかねないものです。
「制作者が気付かなかったことに自分は気づいた」という事実にほくそ笑む校正者はひそかに多いのではないかと思います。恥ずかしながら、私もそういった感覚に陥ったこともあります。

しかし大前提として、制作者と校正者はそもそもの役割が異なります。
制作物なくして校正することはできません。
0から1を生み出してくれる方がいて、初めて1を1のまま保つ、あるいは1.5へと進化させることができるのです。
私は、自身が0から1を生み出すのが苦手なことも相まって、制作者をとても尊い存在だと感じています。

「尊い」という感覚を常に心に留め、制作者の視点に極力近づき、可能な限り理解しようとする姿勢が「制作物を意図する形に仕上げる」上では大切なことだと感じます。

また同時に、でき上がった制作物を受け取った相手がどのように感じるのか、制作者の意図は然るべき形で伝わるだろうか、という想像力を働かせることも大切です。
双方の疎通に齟齬が起きないように取り計らうのが校正の役割です。

仕事ではそういった役割を担っている私ですが、
noteでは投稿を通して、制作者がどのようなことを考え、どのようにして文章を作り上げるのか、また、読者はどのように感じるだろうかということを当事者として体験しようとしています。
双方への理解を深めることで、より的確に意図を捉えられるようになりたいと思っています。

Word food noteのmemo欄

校正をしていると、わからないことばや事象について調べる機会が多々あります。
多種多様な媒体を扱うため、初めて聞く専門用語や、普段あまり目にしない表現が様々出てきます。
「チェックする仕事」というからには、すべてを知っている人が行うのだろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら校正者は万物を熟知している神ではありません。

ただ、わからないことばや事象に出合った時、逐一調べて、確認して、理解して…そしてそれが適切に使用されているのかを判断する。その積み重ねで少しでも知っている領域を増やしていく、という地道な努力をしています。
その結果、自然と多方面のうんちく的な知識が増えていきます。

しかし、せっかく覚えても新たなインプットがあると、ところてん方式で使わない古い知識は忘れ去られてしまいがちです。
知識を定着させるポイントは、理解した後、自分のことばとしてアウトプットすることだと私は思っています。
それ故、Word food noteの投稿では「memo」という形をとって自分なりの解釈をアウトプットするようにしています。

好き×好き=可能性を広げる

私は「ことば」と「料理」が好きです。

「ことば」に熱中している人はこの世にごまんといますし、「料理」についても然りです。
しかし、「ことば」×「料理」に熱中している人となると、その数はだいぶ限られてくるのではないでしょうか。

自分の「好き」を掛け合わせたら、自分だからこそ生み出せる何かが見えてくるのではないか。そう思い、私はWord food noteで実践しています。

ここで発信しているレシピの数々は、味の相性などお構いなしに「ことば」から食材の組み合わせが決まります。
普通は組み合わせないようなものを使ってみることで毎度新たな発見があります。

発見は発想力の源。そして発想力はクリエイターの武器。
趣味として続けているWord food noteですが、仕事の「校正」をさらに突き詰めていく上でも今や大切な一要素になっています。

自分の「好き」なレシピ投稿と、自分の「好き」な校正の仕事が相乗効果をもたらし、新たな可能性を生み出すことに期待しています。

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