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うちのお雑煮

母の作るお雑煮は具だくさん。よその家のを食べたことがないので、北海道的なのかは、わからない。具を書き出してみる。

鶏肉、大根、人参、椎茸、フキ、細竹、ワラビ、焼き豆腐、コンニャク、油揚げ、ナルト、ネギ。

ダシと醤油で鶏肉を煮ながら、固いものから順番に、2㎝長さの薄切りにしては次々と放り込んでいく。全部煮えたら最後に味を整えて、焼いた切り餅を入れれば出来上がり。超カンタン。

作り方を直接教わったわけではないが、いつも見ていたので、結婚してからわたしも作るようになった。

毎年必ず、材料のどれかを入れ忘れる。ちゃんと買って来ているのに忘れる。ひとつぐらいなくても、わかりゃしないのだが。

ある年「今年のは、ずいぶんあっさりしているな」と思いながら、全部食べ終わってから気がついた。鶏肉を入れてなかった。

30年近く作って、ようやく忘れなくなったら離婚した。


実家に戻って来た。料理は別々に作っているので、正月なのに両親とは食べるものが違う。娘は餅を好まないし、東京から帰省した息子は、元日の朝から、好物の残り物のハヤシライスでいいと言う。今年はお雑煮は作らないことにした。

前の記事に書いた通り、息子が帰省した事で母の機嫌が悪かった。それが2週間たったら、もう大丈夫だとわかったのか突然、スイッチが入ったように息子に優しくなった。

「寒くないかい」「これ食べなさい」同じことばかり言う。ほらまた娘がヤキモチ焼くから、やめなさいって。そして、お雑煮を作らないことにしたと聞いて、多めに作って分けてくれた。

息子と娘は餅を入れないで食べている。わたしは餅2個。途中で、コンニャクが入ってないことに気がついた。母にその事を伝えると「あ!油揚げとネギも忘れた」と言う。言われてみればそうだ。案外わからない。「毎年具がどんどん減ったりして。あまりにも少ないとボケたって思うことにするけどいいよね?」と言ったら、母もみんなも笑った。ホントに大丈夫かな。


ところで母は大晦日の夜に、さっきと同じ材料に、タマネギとキャベツとゼンマイを加えて、鶏肉を鯨に替えた「鯨汁」も作る。母の出身地、漁師町の料理らしい。こっちは手に負えないので、いつも母に任せている。家中でいちばん大きな鍋で作るので、毎年少し貰いに来ていた。86歳の母が作る鯨汁、あと何年食べられるだろうか。



庵忠茂作さんのこの記事↓

相変わらず、コメント欄がスゴいことになっています。材料が多くてコメント欄に書ききれないので、記事にしちゃいました。茂作先生、読んでくれてますかー?


お雑煮食べちゃってから読んだので、写真のお椀は空っぽなのです。












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