ティッシュの箱の底にあった物
息子が歩けるようになった頃。気がつくとティッシュを箱からひっぱり出している。
「ダメよ」取り上げる。
また気がつくとティッシュを箱からひっぱり出している。
「ダ~メ」またまた取り上げる。
取り上げて高い所に置いても、使うときにはすっかり忘れているから、またそのへんに置いてしまう。
そして気がつくとティッシュを箱からひっぱり出している。
だんだんと目が輝いてきた。猫の前でヒモをぴろぴろした時のあの目だ。
わかったよ。降参。やってごらん。どうしても気になるんだよね?
ティッシュの山が完成し、箱の中に手を入れて確認すると、息子は満足したようにニタ~っと笑った。
どうなるのか、どうしてそうなるのか、いつも試してみたい息子。
化学を学べる学校に進み、それを活かせる仕事に就いた。
あの時、ティッシュの箱の底にあった何かを、自分の手でつかんだのだと思っている。
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