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新世代ポップスター、アシュニコの最新現地ライブレポ!

ジャンルを超越するロンドン発のポップスター、アンチテーゼ、アシュニコ(Ashnikko)

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2019年に発表した「STUPID feat Yung Baby Tate」がTikTokを初め大ヒット!過激なパフォーマンスから親近感の湧く投稿で多くのフォロワーを抱える新世代のスターである彼女は、今年9月にはコインの裏表のような二面性を持った「Panic Attacks in Paradise」「Maggots」をリリース。

10月にはハロウィンにインスパイアされた最新シングル「Halloweenie IV: Innards」をリリースしました。

そんな彼女が今年1月にリリースした最新EP『DEMIDEVIL』を携えたツアーを敢行!USツアーの最終日となるLA公演を現地在住の鈴木美穂さんが目撃!このライブレポートをお届けしsます!

2021年11月10日 アシュニコ「デミデビル・ツアー」ロサンゼルス公演レポート

アニメのキャラクターのようなルックスのシンガーソングライター、アシュニコの全米ツアー『デミデビル・ツアー』の最終日。彼女は気管支炎と喉頭炎を患って前日9日のサンフランシスコ公演をキャンセルしていて、Twitterで謝罪をしていたのだけれど、この日は

「薬飲みまくって、声は最高に枯れてるけど、少しずつ良くなってるから、今夜、良いショウをやるね。楽しみ」

告知していた。LAのダウンタウンにあるThe Novo(入場前にワクチン接種済みかPCR検査結果のチェック有り)は、約2400人の観客で埋め尽くされていた。アシュニコのような個性的ファッションの女子が目立つが、4割は男性客だ。

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女性DJが登場してニッキー・ミナージュカーディー・Bの曲でフロアを盛り上げた後、オープニング曲「Tantrum」のイントロが始まり、真っ青なツインテールを揺らしながらアシュニコが弾けるようにステージに飛び出した。大熱狂の観客が一斉にジャンプし、フロアが大きく揺れ始める。ステージの両脇には、タコの足の吸盤部分が大きな目玉になったような青い怪物が並んでいて、ステージ奥にDJ、その背後に大きなLEDスクーリーン。DCコミックと日本のアニメとホラー映画と“カワイイ”をごった煮したような世界の中で、アシュニコは重低音のビートに合わせて飛び跳ねながら、リリックを叩きつけるようにラップする。場内は、早くも凄い盛り上がりを見せた。

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「ここ数日、最悪だったんだ。マライア・キャリーを診てるお医者さんに言われたんだよ、気管支炎だって」
「今夜は病気だから、皆が代わりに叫んでよ! 皆のエネルギーが必要だから!」

と煽ってから、YouTubeだけでなくTikTokでも大ヒットした「STUPID (feat. Yung Baby Tate)」に突入。この曲のゲストで、本ツアーの前座を務めたベイビー・テイトが再登場してラップし、アシュニコと共に大合唱を巻き起こした。アシュニコのヴォーカルは、不調など感じさせなかった。その歌詞と同様に容赦なく強烈でキレがあって鮮やかだ。

「次の曲はカバーなんだけど、歌詞を変えたんだ。だって、私がベッドに入れたスケーター・ボーイは皆、自信満々で私の足の間に降りてったくせに、ここ、膝近くまで行っちゃったから」

と言って観客を笑わせてから始まった「L8tr Boi」は、頭から大合唱になった。アヴリル・ラヴィーン「スケーター・ボーイ」は、25歳のアッシュニコと同世代の観客全員が覚えている曲のようだ。

曲間で毎回のようにアッシュニコはファンに語りかけ、これがショウをより親密なものにしていた。面白い人柄が伝わる笑い話の時もあれば、フェミニストであることが分かるシリアスな意見の時もあるが、大半は次にやる曲の導入になっている。「この体は招待状じゃない」と歌う「Invitation (feat. Kodie Shane)」をやる前に、白いシースルーの服を着たアッシュニコは

「私と友人達が、襲われないように気をつけろとか肌を露出するなとか、いっつも指導される世の中が耐えられない! 指導の必要があるのは犯罪行為をしてくる奴らの方だよ! 何で私達が、夜安全に家に帰れないんだよ」

と怒りを露わにして、大歓声を浴びた。

ショウは中盤を過ぎた頃に一旦落ち着き、アルバムDEMIDEVILの中で歌声が最も堪能できるバラード「Good While It Lasted 」が、圧倒的な歌唱力で披露された。そしてこの曲に匹敵するバラードの新曲「Panic Attacks in Paradise」に続く。

「皆が『愛してる』って言ってくれるけど私の心は壊れたまんま」

と、常に弱さを剥き出しにできるアシュニコの作詞の凄さが際立った曲で、美しく響くヴォーカルも圧倒的だった。次の「Cry」の歌声も驚異的だった。

ここで初めてアシュニコがステージの袖に姿を消した。しばらくすると全身白に身を包んだダンサー5人がステージに登場。白いスーツで青い髪のアッシュニコの分身のようなダンサーが右を向いて立つと、手に白いブーケを持ったウェディングドレス姿のアシュニコが右手からゆっくりと歩いてきて、ブーケを客席に放った後で「結婚しよ」と言ってダンサーと踊り出し、「Halloweenie」「HalloweenieⅡ: Pumpkin Spice」「Halloweenie Ⅲ:Seven Days」のメドレーを披露した。その後、今年のハロウィーン前にリリースした「Halloweenie Ⅵ:Innards」をホラーな全裸の映像が流れる中で熱唱し、「ちょっと過ぎちゃったけど、ハロウィーンをやらないわけにはいかないからね」と、笑顔を見せた。ホラーとユーモアとグラマラスが混在するハロウィーンの世界観は、アシュニコの世界観と大分重なっている。

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最後にアシュニコは、再びファンを叫ばせた。

「世の中いろんなことがあって、皆もたまってるだろうから、ここで思いっきり叫んでよ。私の代わりに」

と、客席にマイクを向けると、大音量のスクリームが延々と場内にとどろいた。ラスト曲の「Daisy」では、また観客と大合唱し、最高の瞬間を作ってショウを終えた。

そもそもステージに立っていい体調ではなかったはずなのに、凄い熱量の素晴らしいパフォーマンスだった。そして、アシュニコがファンを大事にしていることも目に見えるショウだった。(鈴木美穂)

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