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TRIVIUM最新アルバム全曲解説!

結成から20年、グラミー賞ノミネートを誇る21世紀ヘヴィー・ミュージック・シーンの最先端で地位を築いてきたフロリダ出身バンド、Trivium(トリヴィアム)

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10代の頃から一線で活躍を続ける、日本人の母を持つギター・ヒーロー、マシュー・キイチ・ヒーフィー率いる彼らが、今月10枚目となるスタジオ・アルバム『In The Court of The Dragon』をリリースしました。

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昨年2020年4月に『What The Dead Men Say』をリリースしたばかりの彼らですが、ライブが思うようにできないというこの時期に制作に励み、わずか1年半という短期間でニュー・アルバムを作り上げました。

「俺たちは昨年(2020年)のツアーが全くない状況にて、「In The Court Of The Dragon」に合うようなリフを探すことからスタートしたんだ。この不確実さというものを逆に味方につけようと思ったし、リミットをかけることなく制作したかった。通常だったら楽曲を練り上げていく時間の消費を気にしなければならないからね」

デッドラインを気にすることなく音楽制作に没頭し、「最も実りある制作活動ができた」と話す今作は、これまでの作品以上に純度の濃いヘヴィ・メタルが詰まっています。

プロデューサーには8枚目のアルバム『The Sin and the Sentence』以降起用し続けている、メタル界隈で引っ張りだこ状態のジョシュ・ウィルバーを迎えた今回の最新アルバムについて、ベースのパオロ・グレゴリートが全楽曲を解説してくれました!ぜひご一読ください!

01:「X」~02:「In The Court Of The Dragon」

イントロ・トラック「X」「InThe Court Of The Dragon」は、前回のレコードで思いついたのと同じようなアイデアに従っているんだ。イントロは別の曲なんだけど、タイトル・トラックと一つの曲のように繋がるようにしたかったんだよね。今回は、Emperor(エンペラー)イーサーンにオーケストレーションを手伝ってもらっている。イントロは全て彼が手掛けた作品。本当に本当に叙事詩的で、ライブで演奏する曲としては最高なんだ。この曲を前回のツアーで演奏した時、ものすごく気分が上がったよ!おそらくこのレコードがどのように作成されたのかを完璧に表現してくれるね。この曲は、たくさんの人のアイデアや曲を参考にしたんだ。リフだったり、あるいは単に俺たちを刺激するために過去の曲を改造して、再利用したりした。この曲だけじゃくて、レコード全体を作る作業はとても楽しかった!このレコードに取り組む時間はたくさんあったからね。このような曲では、マットがリフを作り上げて、それに合わせて少しジャムアウトして、その場でどんどん次のパートのリフやメロディーが思いついたんだ。俺、マット(ボーカル / ギター)、コリィ(ギター)、それぞれ違うパートを書いたんだ。そしてアレックス(ドラム)はそれに合わせてドラム・パーツを作成した。本当にナチュラルな作曲作業だった。部屋に4人の男が集まって、ただただ曲作りをしてる感じだったね。

03:「Like A Sword Over Damocles」

「Like A Sword Over Damocles」は、コリィが最初のデモで持ち込んだ曲なんだ。最初はただリフだけだったけど、それがとてもクールだった。俺たちは基本的に彼が思いついたリフを録り、それを基に作曲作業を進めた。彼の思いついたコーラスの部分をベースに、みんなで書き直したんだ。そして、真ん中のセクションはまるでリフ・フェスのように、とりあえずたくさんキーチェンジとソロを入れて。もしかしたら俺の一番好きなセクションかもしれない。コーラスラインのいくつかもとてもキャッチーだし!
「Sword Of Damocles」はデモの名前。コリィが思いついたんだ。俺はコーラスについてアイデアがあって、コーラスを書き直した後、曲のインスピレーションとして「Sword Of Damocles」を使用しようと思ったんだ。けれど、「Sword Of Damocles」という話を語る代わりに、俺たちはその話をインスピレーションだけとして使用したんだ。俺はボーカル・パートを思いついて、それにジョシュがアイデアを足してもっとキャッチーなものに仕上がったよ。そして、俺が思いついたオリジナルのコーラス・パートは、最後のコーラスで流れるバッキング・パートになったんだ。最終的に、この曲は完全なコラボレーションだった!これは間違いなくお気に入り。ライブで披露するのが楽しみだよ!

04:「Feast of Fire」

「Feast of Fire」は、俺にとってレコードの「サプライズトラック」だった。コリィがこの曲のデモを持ってきて、それはすごくスラッシュだった。実は完成版で使ったのはデモと同じリフなんだ。ジョシュは真ん中のセクションが大好きで、そこから曲を作りたいと言って、挑戦したんだ。そして録音中幸せな瞬間の1つが起こったんだ!スラッシュ・ソングを期待してたけど、大ヒット・シングルが出来たんだ!この曲は、今まで作った曲の中にないグルーヴがあるから、すごく気に入っている。もちろん、俺のベースのスキルを少し披露することもできて嬉しかった。アウトロではメロディー・ベース・タッピングを入れているんだ。このようにレコード内でコラボしたのは珍しいね。「Feast of Fire」は本当にお気に入り。この曲はライブで演奏するのもとても楽しいしね。是非みんなにライブで聴いて欲しいな!

05:「A Crisis of Revelation」

「 A Crisis of Revelation」は、長年Triviumのファンなら間違いなく聞き覚えのあるサウンドだと思うな。この曲は、俺たちの初期の『Ascendancy』時代から多くのインスピレーションを得ている。とてもスラッシュで、『Ascendancy』で聞くようなトリプレットのリフ感があって、これは間違いなく認識できると思うよ!実は、初期のデモはもっと単純で単調だった。ロックな雰囲気までは行かないけど、それほどスラッシュではなかったね。
でもそれがこの曲のあり方ではないことにすぐに気づいて、やっぱりスラッシュに戻したんだ。この真ん中のセクションをジャム・ルームで思いついた時は、とても楽しかった。全員で弾き始めると、なぜかわからないけど、Evil Boston Songの様に聞こえたんだ(笑)。みんなそれぞれが違う音を出してるからかもね。とてもプロギーな響き。みんなにこの例えが伝わるかわからないけど、俺の頭の中ではそんなイメージなんだ。他に例えようがないな。そして、再び歌の部分に入るとき、それは元のキーではなく、一つキーが上がるんだ。それは俺たちがレパートリーに取り入れた新しいトリックなんだ。自分で作曲する人は知っておくと良いトリックだよ。曲の最後の部分を少しステップ・アップさせたい場合は、さりげなく叫びを入れてもいいかもね。ほとんどの人の耳には聞き取れない事の方が多いけど、曲にあってもいいと思う。したがって、聴いている人は何かが変わったことはわかるけど、それが何かはわからないんだ。でもそれがいいんだよ!リスナーに曲全体を実際に聴いてもらって、分かるようにしているんだ。俺たちにとってこの曲作りがとても楽しかったのが、聴いたみんなにも伝わると思うな。

06:「The Shadow Of The Abattoir」

「The Shadow of the Abattior」、これは俺の「隔離曲」とも言えるかな。もう知っていると思うけど、長い間隔離していたからね。まだ俺がシカゴにいる時に、曲の真ん中のセクションを書いたんだ。そしてフロリダに戻ったときに、ベースコードの部分とイントロを書いて曲を仕上げたんだ。出来上がった後、みんなでリハーサル室のスタジオでジャムアウトした。俺は特にこの曲を大胆で、迫力のある音にしたかったから、たくさんスタジオで音のレイヤーを入れないといけないってわかっていたんだけど、心の中では俺はすでにこのコード進行が上手くいくことを確信してた。激しいリフがある真ん中のセクションはすでに出来上がっていたからね。だけどイントロの最初の部分、ボーカル、歌詞、などはまだ取り組む必要があったんだ。元のデモを聴いたらあまり特徴の無い曲のように感じたけど、トラック、ボーカル、アコースティックギターなどを足したらとてもインパクトのある曲に出来上がったんだ!俺はこの曲の出来を本当に誇りに思っているよ。俺たちが作った時の感情と同じくらい、多くの人にこの曲を聴いて、楽しんでもらいたいな。

07:「No Way Back Just Through」

これは実は以前のレコード『What The Dead Men Say』のために作ったデモ曲なんだ。その時はもうすでに10個のトラックが出来上がっていたんだけど、今回のレコード制作をすぐ後に始めていなかったら、この曲を使えるタイミングがあったかどうかわからなかったよ。『What The Dead Men Say』をリリースしてすぐに新しいレコード作成に取り組もうと思って、このデモに戻ってきたんだ。実は他にもたくさんまだ誰も聴いたことのないデモを持っているんだけど、今回このデモを使えたことをとても嬉しく思っているよ。これはこのレコードの足りない部分に必要なものように感じたんだ。他の長めの曲とは違って、この曲はもっと短くて、インパクトのある曲にしたかった。この曲では、ボーカルの重要さがわかるよ。リフは出来上がっていたが、このデモではまだ歌詞の内容を思いついていなかったんだ。だからMattと一緒にいろんな歌詞とボーカルを試してみた。この出来上がりに俺は非常に嬉しく思ってるよ。​​デモを書いた時からの期待を上回ったね!

08:「Fall Into Your Hands」

「Fall Into Your Hands」は、このアルバムのテンプレートになった曲。それはトーン、ペースを設定したからね。8月ぐらいに最初に取り組んだ曲なんだ。昨年行った大きなストリーミング・イベントである「A Light Or A Distant Mirror」の直後にね。マットはすでにクールでスラッシュ・タイプのパーツのいくつかを持っていて、この曲をどこまで仕上げられるか、可能性は無限大のように感じた。アイデアなど限りなく、どんどん考えていこうって俺はみんなに伝えていたんだ。ジョシュと一緒にスタジオに入る時は、全てのアイディアを確定したかったんだど、まだ作曲の時点ではすごくオープンでクリエイティブに考えることが大事だと思ったんだ。元のデモに縛られず、それを設計図のようにして、そこからどんどんいろんなアイディアやサウンドを繰り広げたかった。最初はちょっと苦労したが、アレックスのドラム・イントロが出来上がってから、みんないろんな音を出し合い、少しづつ方向性が出来てきたんだ。コリィがソロのパートと、ベースの部分も思いついたんだ。この曲には数多くの音を取り組んでいて、たくさん聴きどころがあるよ。この曲の仕上がりはとても好きだ。オープニングトラックにしようとも思ったぐらい!もし俺たちがレコードのSIDE 2を出すとしたら、確実にこの曲だね。

09:「From The Dawn To Decadence」

「From The Dawn To Decadence」のプリプロダクションの初期に、ジョシュはこの曲を大ヒット曲にしたいと強く思っていたんだ。特にサビの部分に力を入れていたね。大体レコード内のトラック8、トラック9ぐらいになると、アイデア不足になると言われているんだけど、今回のレコードではのどの曲もそのように全く感じさせたくなかった。今回の曲では、ポップにする方法、気分を良くする方法など、全てに置いて分析したんだ。もっとスラッシュにするか、グルーヴィーにするか、いろんなアイディアを投げ合ったんだ。ボーカルの制作でも、これらのさまざまなことをすべて試してみた。ボーカルの部分をいろんなパーツに分けて、常にいろんなサウンドがあるようにしようと俺はジョシュに提案したんだ。この曲では制作のトリックを使用して、これらのさまざまな要素、レイヤー、ダイナミクスを作成し、より面白い曲を作ることが出来た。この曲は繰り返し聴くほど、良くなっていく曲だと思うな。

10:「The Phalanx」

「The Phalanx」『Shogun』のデモだった。これはまるで道端に置いてあるエンジンのないマッスルカーのような曲だとたとえているよ。まさにポテンシャルはあるけど、まだまだ直すところはたくさんあるからってことだね。実はアルバム『Silence in the Snow』「The Phalanx」を試してみたんだけど、そのレコードに対して合わなかったから、その時はこの曲を破棄したんだ。「The Phalanx」の元の真ん中のセクションはアルバム『Shogun』に収録された「Torn Between Scylla and Charybdis」になったんだ。でもそれが後から問題になった。クールなイントロ、最初の部分、アウトロ、など他は出来上がっていたんだけど、「The Phalanx」の真ん中のセクションが抜けていたんだ。でもTriviumのファンのために最高な曲を作り上げたかった。だから俺たちはお互いいろんなリフのアイディアを提案し始めた。最終的に良いリフだけじゃなく、とてもかっこいい曲が出来上がったから俺はすごく嬉しかったよ!イーサーンが手掛けたトラックのオーケストレーションは全て壮大なクローザーだよ!
俺の意見では、今まで作ってきたアルバムの中で一番最高なクローザー曲かもしれないよ!ファンの中で『Shogun』が大人気だっていうことはわかっているけど、この元の曲は『Shogun』と同じ時代に作った曲だから同じぐらい気に入ってくれるかもしれない。さらにこの曲に新しいものを足したことで、最高な形でレコードを締めくくることが出来たと思うよ。とても満足している!ゲーム「Elder Scrolls」の一部になったことも嬉しいね。みんな気に入ってくれるといいな。 ライブでみんなの前で披露するのが待ちきれないよ!新旧のリフがたくさんあるから、『Shogun』が好きならこれも気にいると思うよ!

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以上になります!

今回のアルバムは、日本国内盤のみに、前作・前々作からそれぞれ「Amongst The Shadows & The Stones」「Beyond Oblivion」のライブ音源をボーナス・トラックとして収録!さらに、本人メッセージ・サイン入り(印刷)のステッカーも購入者特典でついてきます!(特典は数に限りがございますので、予めご了承ください!)メッセージ、いい味でてます!

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今年のロック / メタル・シーンに放たれた重要な1枚、Triviumによる最新アルバム『In The Court Of The Dragon』、ぜひチェックしてみてください!




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