スカーレット・ウィッチ in 『MoM』

注意:この文章は映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』や、関連作品(『ワンダヴィジョン』『ホワット・イフ…?』など)のネタバレを大いに含みます!!!ネタバレを見たくない方は視聴された後に戻ってきていただけたらうれしいです!
また、この文章は元々は自分のための覚書兼友人に感想を共有するために作成したものであり、省略された部分や口語的な表現を含みます。映画を見ながらメモをとっていたわけではないので、不正確な情報を含む可能性もあります。一ファンの感想であり、何かを断定したり、他の方の意見を否定するものでもありません。
そして念のためですが、この文章内の「アメリカ」という単語は全て架空のキャラクター名を表しており、実在の国家とは一切関係ありません。
タイトルの通りワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチに焦点を当てた感想文です。
以上、ご承知いただけた方は長いですが読んでみてください!

この映画、私の中では完全に『スカーレット・ウィッチ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』だった!!!

マーベル作品の中でワンダが一番好きだと言っても過言ではない私は、以前から何度も「ワンダこそが最強アベンジャーだよね!」などと友人に話していた。だが、この映画で彼女が「最強アベンジャー」どころではないということが世界に証明された。
ワンダ・マキシモフ…いや、スカーレット・ウィッチこそが、あらゆる宇宙の中で最強の魔女である、と…!!!

建物の切れ端みたいなものがたくさん浮かぶ空間を必死に走る星条旗柄のジャケットを着た少女アメリカ・チャベスちゃんと後ろで髪を結んだドクター・ストレンジ。なんかグロい化け物に追いかけられているようだ。
結晶に囲まれて光る本を手に入れれば助かるみたいな感じだけど、化け物に阻まれてストレンジは負傷、アメリカちゃんも捕まりそうになってしまう。そしてストレンジは、「こうなったら仕方ない、君の力を吸収する。君はコントロールできないしその力が敵に渡ると危険だが、自分ならコントロールできるから」と言って彼女を犠牲にしようとする。「でもそれって私を殺すってことだよね?私たち友達だと思ってたのに!」と絶望するアメリカちゃん。だがストレンジはいつだったかのように、「マルチバースの尺度で考えたら、君の犠牲が多くを救うことにつながるのだ…」と吸収を始めようとするが…
そこで怪物がアメリカちゃんを捕まえてストレンジを殺してしまう。アメリカちゃんが開けた星型のポータルから、怪物と共に落ちていくアメリカちゃんを、ストレンジの死体の横顔からカメラが追っていた。

…という夢を見たのさ。

んな訳はなく、実は「夢は別のマルチバースにいる自分の現実を映し出している」と、クリスティーンの結婚式の途中でめちゃくちゃカッコよくマントくんをバサァっと広げて飛び降りて怪物からアメリカちゃんを至高の魔術師・ウォンさんと共に救ったストレンジはめちゃくちゃよく食べるアメリカちゃんから説明を受ける。この時にストレンジはファンの人?とウォンさんとアメリカちゃんからの質問を同時に受け答えしていて聖徳太子みたいだなと思った。そして怪物と戦っている間私は咄嗟に何度か「助けてスパイダーマン!」と心の中で思った(NYだから)。
クリスティーンの結婚式出席したん!?とウォンさんは驚いていたし、私も驚いた。そもそも元カレ結婚式に呼んだりすることってあるんだね?その後の関係性によるかもしれないけど正直あんまりよくなさそうだったし(ごめんドクター)。あと、結婚式はキリスト教の礼拝堂っぽいところで行われてたけどイスラム教徒っぽいスカーフを着用した女性やアラブ系っぽい被り物をした男性も出席してて、「こういう施設って宗教関わらず入れるんだなぁ」と思った。
クリスティーンに「今幸せ?」みたいなこと聞かれて絶対に作り笑いだよなこれと他人である私からもわかるような笑顔で「もちろん!」と答えるスティーブン。つ、つら…
クリスティーンは「あなたは自分でメスを握りたい人。そういうところ尊敬してたけど愛せなかった」と告白し、ショックを受けた様子のドクター。そりゃそうだよね…未練ある元恋人にそんなこと言われたらショックだよね。「尊敬してるけど愛せない」ってあるんだな…複雑だな、と思った。元気出してドクター!
アメリカちゃんはついさっき別のストレンジに殺されそうになってたしここのストレンジも(おそらく多くの世界のストレンジがそうであるように)いけすかない感じがするからかなかなか信用できない様子。でも信じてもらうしかない、危ないからカマー・タージに来なさい、とアメリカちゃんを連れて行くことにする。そこでウォンさんが「そういえば怪物の体にルーン文字が書いてあった。そういうの詳しい人知らない?」と言うとストレンジが「知ってるかも」と答えるが…

『ワンダヴィジョン』のテーマとともに登場するワンダ!!!
息子たちをベッドに寝かしつけるママワンダ。なんて平和なひとときなんだろう…

…夢だけど。

…少なくともこの世界のワンダにとっては、ね…

「まるで現実のような」甘い香りのするりんごの果樹園に現れるドクター。突然後ろから声かけるなんてびっくりしない?大丈夫?と私は心配していたが、驚く様子もなくウェストビューについての罪を告白するワンダ。その話じゃなくて助けてほしいんだ、モヒカンの弓使いか虫っぽい何匹か(スパイディとアントマン)より、この惑星で最も力を持った魔女である君こそがふさわしい、あとついでに人気取り戻してあげるよみたいなお世辞とかを言ってワンダを勧誘するドクター。ワンダは「私も望まない力を持った気持ちはよくわかる。助けになれるかもしれないから『アメリカを』ここへ連れてきたらどう?」と、
名前もまだ言っていないのにその話に乗ると、ドクターもおかしいと気づいたらしく、ワンダは気づかれたことに気づいてかりそめの果樹園の真の姿を明かす…

ここで私はようやく気づくことになる。
…ワンダが今回のメインヴィランなのかーーー!!!

自ら「スカーレット・ウィッチ」を名乗るワンダ。その名前気に入ったんだね!
「怪物を使って私を襲ってきた張本人に私の居場所を教えに行ったの…!?」と呆れるアメリカちゃん。うん…ドクター意外とうっかりさんだよね…
魔術師たち総出でスカーレット・ウィッチを迎え撃つ体制を整えるが…いやドクター!あなたさっきワンダ本人に「君は惑星で最も力を持った魔女」って言ってなかった!?どんなに修行してる人たちだってワンダに敵うわけないじゃん!絶対無駄な人死に出すよこんなことしたら!無茶すぎるよ!!!と内心気が気じゃない私(そしてその予想は的中することになる)。

この辺で「息子たちを取り戻す」と言うワンダに「君に息子はいない。君が(魔法で)作り出しただけだ」と(ワンダのことを思うとめちゃくちゃひどいなと思うようなことを)言うドクターのシーンがあったと思う。そしてワンダの返答が「あら、『子供を作り出す』のは全ての母親がしていることよ」と。確かに!と思ったし、もしかしたらこれには「どこからが『本当の』子供か、人間は新たな生命を生み出すことにどこまで手を加えて良いのか」みたいなテーマも含まれているのかなと思った。あと、私中世の「魔女」のこと詳しくは知らないけど「子供を失い、(周りから見ると)狂人のように見える女性」も「魔女」とされたんじゃないかな、と想像したり、今回のワンダは明らかにそのような人々がモチーフになってるよね…と考えたりした。

自分の目的のために何の罪もない少女の命を犠牲にするのか、と問うドクター。だが、ワンダの何よりも大切な存在であるヴィジョンは…ドクターがサノスに石を渡してしまったことで殺されてしまったのだ…「世界を救うために必要な犠牲だった、そうするしかなかった」とドクターは言うが、同じことをドクターがやるのは良くて自分がするのは良くないの?と問い返すワンダ。
そうだよね…確かに、「必要な犠牲だった」っていうのは、どういう状況だったとしても残った者の勝手な理屈でしかないことには違いないよね…
そしてここで、ドクターがタイムストーンを渡したことがヴィジョンの死に深く関わっているのだと言うことが改めて思い知らされる(映像あってもよかったと思うんだけど彼の映像は使えない契約でもあったのか?)。これはもうガチンコバトルするしかないんだな、という展開になっていよいよ魔術師たちとの攻防が始まる。
ああ…こんなふうに、みんなでバリア張ってヴィジョンを守ってた時もあったよね……ワンダはそのこと思い出したりしたかな…?
流石に数が多いのか力押しじゃダメだと判断するワンダ。「心を操る気だ!魔術師たちよ!心を強く持て!」と叫ぶウォンさん。いやそんなんでワンダの『アレ』防げたらアベンジャーズはシビルウォーになってないよと心の中でツッコミを入れていたら案の定魔術師の一人がまんまと心を操られてバリアを破ってしまう。これだよこれ!!!ワンダといえばやっぱりこの能力だよ!「アベンジャーズ」に入った途端に使わなくなっちゃったけど、その枷が外れたように存分に能力を発揮する彼女は素晴らしい!と思い、これから彼女がしてしまうだろうことを思うと複雑な気持ちもあったが正直この力を使うシーンは興奮が止まらなかった。軽々と、そして無惨に倒されていく魔術師たちの様子に心を痛めつつ、こんなに大量の人死にを出したらもう彼女はきっとこの映画で最期を迎えざるを得ないだろうと予感し、私は覚悟を決めた。最後まで彼女の心に寄り添うこと。彼女のすること、そして彼女の最期をこの目で見届けることを。(ここで覚悟しておいたおかげで、心の準備をする時間がたっぷり取れたのはとてもよかったと思う)
ストレンジのしかけた罠によって鏡の部屋(ドクター・ストレンジも入ったことある…?)のような場所に閉じ込められたワンダはだが、体をズタズタにしてでもアメリカを追ってきて、何事もなかったように体を修復したりして不気味さが増していた。

アメリカちゃんの感じる強い恐怖がトリガーとなり、別のユニバースに飛ぶストレンジとアメリカ。
アメリカちゃんは自然いっぱいの光に満ちた世界で、二人のお母さんたちと幸せそうに暮らしていたが、ある日突然異世界ポータルを開く力に目覚めてしまってお母さんたちをどこかへ飛ばしてしまう、と言う過去が明かされる。「私が殺した」と言うアメリカちゃんに”Don’t even think that.”と厳しく言うドクター。ここで、お母さんたちが『君のような人たち』だったら絶対に生きているはずだ、と言及されていることからおそらくこの二人のお母さんはアメリカちゃんの血縁なんじゃないかな…と予想し、もしかすると別の宇宙では女性同士で血縁の子供を持てるようになっているのかな、と思いを馳せたりした。
サンクタムに行くと、兄弟子(だけどめちゃくちゃストレンジを嫌っているはずの)モルドが迎えてくれて、「兄弟!」と笑顔でドクターにハグ。別の宇宙だし、そんなこったろーと思ったよ!だが、お茶に変なものを仕込んでいて「お前がするように行動しただけだよ」とニヤリ。倒れながら悪態をつくドクターに、「ああ、そういえばドクター結構口悪いんだよな…」と私はふと思い出した。あ、モルドが裏切ることについてはやっぱりそんなこったろーと思ってました。

確かここでワンダがウォンを捕まえつつ、「ドリームウォーク」しようとしている様子が入ったと思う。別のユニバースの自分を乗っ取って行動できるんだって!
別世界の自分の中に入ることに成功し、アメリカちゃんを追おうとしていたワンダはだが、息子たちが甘えてくる声に立ち止まり、つい彼らの歌に涙を流しながら耳を傾けてしまう…

そんなことをしている間にウォンさんに「師匠」以上の愛情を持っていた様子の魔術師サラさんの犠牲で、ダークホールドは失われ、元の世界に強制的に戻されたワンダだったが…(本がないと呪文使えない仕組みなの?と少し違和感を持ってしまった。本から得た知識で呪文を使ってる、とかではないんだね)すぐに他の魔術師たちを人質にとってウォンさんを脅し、ダークホールドの「原本」がある場所へ案内させる。
この場所がすごく寒そうだった!肌の露出がほぼない今回の衣装でもとても寒そうだったから、宇宙一の魔女に対して本当に余計なお世話だと思うんだけど咄嗟に「ワンダ寒くない!?」と心配してしまった。
原本のある石窟にはスカーレット・ウィッチっぽい姿が刻まれていて、門番っぽい怪人たちはワンダが降臨したのを見て跪く。「ここは墓じゃない…玉座よ」と感嘆の声を上げるワンダ。

一方その頃ドクターたちはロキが映画『アベンジャーズ』の時に入れられてたような(そういえばワンダが再ヴィラン化した時に一瞬だけ「私は彼女を愛し続けられるだろうか?」と思ったけどすぐに「いや!私はロキが大好きなんだからきっと大丈夫!」と思い直した。…だが蓋を開けてみたらロキの悪役っぷりなんてほぼ見えなくなるくらい霞んでしまうレベルでワンダはやばかったな…ロキはやっぱり全然「悪役」じゃなくて、家族から疎外された傷を癒やせてないただの悪戯好きの末っ子ってだけだよ…一つの宇宙の一つの惑星の一つの国の一つの都市くらいにしか攻め入ることもできてないし…)透明な箱(クリスティーンがいうところの『金魚鉢』)に入れられていた!そしてその説明をこの宇宙のクリスティーンがしてくれる。彼女はこの宇宙のストレンジの葬儀でこの施設で働くことを決め、今はマルチバース研究を専門にしているという。
ストレンジはイルミナティという組織のトップの目の前に連れ出されて裁判みたいのにかけられる。この宇宙ではストレンジは「サノスとの戦いで犠牲になった最高のヒーロー」じゃなかったのか!?と問うと、実は真相は違ったらしい。そもそもこの世界では彼がダークホールドを使って宇宙同士の融合を起こし、一つの宇宙の全ての人を犠牲にしてしまったらしい。そしてサノスとの戦いが終わるとその罪を告白し?仲間の手によって覚悟の上で亡くなったという。
ストレンジたちがやってきたことでまた2つの宇宙がつながり、最悪どちらも消滅してしまう可能性がある!危ないのはスカーレット・ウィッチなんかじゃなくてお前だストレンジ!と糾弾されるが、いや…あなたたち彼女の力量を見誤ってませんか?と心配になってしまう。…そしてその不安は的中し…この宇宙のアベンジャーズみたいな人たちをグロい形で殺していくスカーレット・ウィッチinママワンダ…
ゴームズ、じゃなくてリード・リチャーズが「まだ引き返せる」と言ってくれたから「え!?そうなの!?」と私はほんの少しだけ希望を持ってしまったじゃないか、もうそんな次元は超えすぎていることを(マルチバース的な意味でも)分かりきっているのに…
そのほんの少しの希望を粉々に…というかグシャグシャに打ち砕くように、正視に耐えないグロすぎる形で次々とヒーローたちを殺していくスカーレット・ウィッチ。…ここまでグロくする必要あった!?そのせいでちょっと2回目以降見るかどうかかなり躊躇しちゃうじゃん!サム・ライミ監督!!!
キャプテン・カーターのI could do this all day.は待ってました!って感じだったが、どう考えてもワンダ相手には戦力的に不利である…唯一(ほとんどMCUしか追っていない私の知識の中だと)互角に戦う余地がありそうな同じ「石由来」の力の持ち主キャプテン・マーベル(そういえばこの世界の2人の『キャプテン』は2人とも相棒が負傷したりして自分が『キャプテン』を引き受けたのだろうか?)は最終的に物理で倒していてその力押し感が必死さを表している感じがした。この体がどうなってもいい、とにかく力だ、力をくれみたいに思ってるのが黙っていてもわかった。
別の宇宙のとはいえ自分の体のこと全然構ってないのが本当に必死だって伝わってくるから、そういう意味でも見ていてしんどかった。自分の行為がやりすぎだってちゃんとわからないくらい必死になってしまうほどに、もう二度と大切な存在を失いたくなかったんだよね…その気持ちも、別の世界を作り出してしまった気持ちもすごくよくわかる気がするから、私はここまで見ていてもワンダを見放す気持ちには全くなれなかった。ただ、たまたま自分でコントロールできないくらいの大きな力を持ってしまったが故に、「この力があれば、全部自分でなんとかできるかも!」って錯覚しちゃったんだよね…「この宇宙を支配するために生まれた」みたいなことを「玉座」で呟いていたワンダは、明らかに自分の存在を超えた力を持ってしまった悲しい存在に変わってしまったように見えた。エンシェント・ワンが亡くなった時にストレンジに向けて同じようなことを言っていたと思うけれど、人がコントロールできない、してはいけない領域っていうのがあるんだよね…ワンダは不幸にもそれを大きく超える力を持ってしまったんだな、と思った。何事も、全て自分が完璧にコントロールしようとしすぎるのって危ういんだよね…!絶対にコントロールできない部分はあるし、他者が関わることなら尚更不確定要素があるし、そもそも他者の行動までコントロールしようとしたらそれは「支配」になってしまう。でも大事な人が心配だから全部自分がなんとかして守らなきゃ!って思いすぎる気持ちめちゃくちゃ分かるから、もうワンダ…ワンダ…分かるよ…もうそんなに頑張りすぎなくていいんだよ…!って言いたくなった(実際そんな言葉をかけても聞く耳を持ってもらえそうにないけど…)。パワーが全く無ければ「ちょっと過保護なお母さん♪」くらいで済んだかもしれないけど、何せ宇宙一の魔女だから……ロキの時も同じように思ったよなぁ…力がありすぎるが故の不幸…
…そんなこんなでやっと目的の本(冒頭で前のストレンジも追ってたやつ)にたどり着いたドクターたちだったが、あとちょっとというところでアメリカちゃんをさらわれ、別の宇宙に飛ばされ、本も燃やされてしまう。
アメリカちゃんを手に入れたワンダはママワンダの中から抜け、ママワンダは意識を取り戻すが、そこは最初に出てきた建物の残骸が浮いてる謎の空間!大丈夫!?ママワンダこっから帰れる!?と心配していたらここのワンダもちゃんと(?)超人だったのですぐに息子たちのところに飛んで(物理的に)帰りました。よかったー。ずっと気になってたんだけどここの息子たちの父親ってヴィジョンなの?この宇宙ではAIとも子供作れるのかな。それともやっぱり魔法で作った子なのかな?
そういえば「イルミナティ」の使う機械の兵隊たちは「ウルトロン」の名を口にしていたね…この宇宙ではウルトロンはトニーたちが想像してた通りの存在になったのかな。そんな彼らをグシャッてするシーンはワンダと(彼女の世界の)ウルトロンの関係を考えるとよかったな。

ストレンジ・クリスティーンペアは滅びゆく世界に飛ばされていた。
そこは、ドクター自身がダークホールドを使ってクリスティーンと幸せになれる世界を望んで何度もやり直したことによって崩壊している世界だった。たしか『ホワット・イフ…?』で見たな…
ダークホールドを使えばドリームウォークできてアメリカちゃんも助けられる!それ貸して!と言い、それを使うと自分自身が犠牲を払わなきゃいけなくなる!それでも欲しいならあのクリスティーンをくれ!と答えたもう一人の自分をハープでぶちのめしてダークホールドを得るストレンジ。もう一人のストレンジはクリスティーンの目の前で門に刺さって息耐え、やっぱり正視に耐えなかった…
アメリカちゃんを助けるには悪霊たちから自分の体を守ってくれる人が必要、クリスティーン頼んだ!とだけ言うとワンダと同じようにドリームウォークするドクター。いや、もう少し説明必要じゃない!?そしてクリスティーンは超人じゃないのにドクターの身体守れるの?と思ったけど杞憂だった。そう、このクリスティーンはマルチバースや魔術師たちの使う道具に精通した科学者なのだ!なんかその辺にあった大砲みたいなの(正式名称忘れました)で悪霊をぶっ飛ばしてました。そして元の世界に置いてきた自分の死体(もうゾンビだよこれ…)に入り、悪霊に飲み込まれそうになるストレンジに呼びかけて目を覚まさせる。

アメリカちゃんから力吸い取ろうとするスカーレット・ウィッチのところに、悪霊マントを使って飛んでくるゾンビストレンジ。もうパッと見どっちが悪役か分かんないな…!?
ところでウォンさんはワンダの逆鱗に触れて崖から落とされてたけどどうにか生きてたしもうひと活躍していてよかった!さすが至高の魔術師!

悪霊やウォンさんと協力してなんとか一旦抑えることはできたけど、さすがの至高の魔術師でも宇宙一の魔女を完全に封じることはできない。「アメリカの力を使うんだ!仕方ない、必要な犠牲だ!」と必死に叫ぶウォンさん。ドクターはその言葉を聞いてアメリカちゃんの元へ歩き出す…
「私の力を使うんだよね?いいよ」と、半分諦めたような表情のアメリカちゃん。今までのストレンジたちと違って本気で守ろうとしてくれたことが伝わってきたから、彼になら預けてもいいって思えたのかな…
だがストレンジは、首を横に振ると全然違うことを言い出した。
「君を信じろ。君なら力をコントロールできる。今までだって、君が正しい世界に飛ばしてくれたから助かったんだ」と…
そしてお母さんたちのことは?と問う彼女に対して即座に「その過去があったからこその今だ!」と鼓舞して、彼自身はワンダにかなりダメージを受ける…
いやーこれはいいね!ワンダの気持ちばかり追ってきたので若干切り替えるのが難しすぎたんだけど、「過去を語り直す」ってやつだ!そうだよね、彼女自身が力をコントロールすることが、彼女が助かる一番の方法だ…
……“力をコントロール“、ね……ああ、ワンダ……
勇気を振り絞ってスカーレット・ウィッチに立ち向かうアメリカちゃんだが、相手は宇宙一の魔女。「あなたには勝てない…」と呟き、諦めたかと思いきやポータルを再度開く。
ポータルは、アメリカが意図した通りに、トミーとビリー…ワンダの最愛の息子たちの目の前につながり……

もう、しんどすぎて見てらんなかった。

いつかこうなるって分かってた。だけど、できればこうなって欲しくなかった。誰よりも「守りたい」と願っていたはずの子どもたちに恐れられるのが、何より一番辛いよね…
子どもたちの怯える顔を見て自分のしてしまったことをようやく実感したのか、呆然となってその場にへたり込むワンダ(ふと思ったけどこれのめちゃくちゃ小規模版は私たちの世界にもよくあるよね…家族のために!って思って仕事しすぎて家族との時間や接し方を蔑ろにしていたら結果的に家族を失う…とか)に、子どもたちの制止をそっと止めつつ、ママワンダがゆっくりと近づく…
彼女の母国語なのか、なんと言ったのか正確には分からなかったけれど、字幕によると「私が愛します」と一言伝えて、そこでワンダは自分の世界に引き戻される。
ワンダは、ウォンに「アメリカの力を手に入れてどうするのか」と聞かれた時に捲し立てていた「治せない病気も別の宇宙になら治し方が存在するかもしれない!」などのセリフから考えるに、元々は純粋にただ息子たちを二度と失いたくない一心だったんだと思う(他の人を犠牲にするのは間違ってるって一旦は理解して、本当はものすごく嫌で仕方なかったけど息子たちを『犠牲』にしたウェストビューの経験が、彼女の心に新たな傷を作り、抑圧された悲しみとひょんなことから学ぶことになった新たな力がさらなる悲劇を生んだのがMoMなんじゃないか…?あれ、MoM…MOM…母親だ…!?)それがダークホールドの力を得たことによって「自分の持てる全ての力、いやそれ以上に強大なアメリカの力を奪ってでも、全宇宙の隅々までありとあらゆる方法を探し続けて絶対に息子たちを二度と失わせまい!!!」という方向に暴走してしまったから、「あなたがそこまで一人で頑張りすぎなくても、この息子たちはこの私がちゃんと愛情を持って守り育てていくから大丈夫だよ」って、ママワンダは伝えたんじゃないかな…そしてママワンダがスカーレットワンダに対して敵意を見せなかったのも(子どもたちの安全確保のためもあると思うけど)、別の世界の自分でもあるスカーレットワンダのその気持ちを瞬時に理解したからなんじゃないかな…
自分の罪を自覚したワンダはそして、自分とともにダークホールドの原本である雪山の石窟と、全宇宙のダークホールドを燃やして幕を引く。
この幕引きも個人的には比較的納得のいく形だったと思う。もし魔術師たちが協力してワンダをリンチにしてたら「魔女狩り」の再現でしかないと思うし、ただアメリカちゃんにぶっ倒させるわけでもなくて、別世界の自分に倒されるのでもなくて…
…合掌。

やーーーーだから悲しみを抱えて心が傷ついた人がたまたま大きな力持ってるとこうなっちゃうし巻き込まれる周りの人は本当に大変どころじゃないけど、彼女たちの悲しみにきちんと寄り添うべきなんだって…!(実際、周りに被害を出さないためにも重要だと思う…!)ただ責任責任て言って追い込んだ結果がこれなのでは…
「アベンジャー」とされてた時に使ってなかった操心術を使ってたシーンも相まってすごく思ったんだけど、やっぱり「正義の側に立つ」って言っても集団になると個人はどこか抑えなきゃいけない部分が出てきて歪むよね…もしかすると「倫理的にやばいからその力はNGね」って言われてたんじゃないかな…そしたら思うように力使えないことにフラストレーション溜まったりしてたんじゃないかな…
そして今まではヴィジョンがそんな彼女のフラストレーションとか悲しみを癒してくれていたのかもしれないけれど、そんな彼を何度も失って…周りにはもう彼女と寄り添えるような、力の釣り合う相手もいなくて……
モヒカンの弓使いー!迷える子羊がここにいますよー!!!本当になぜ彼が出てこないのか!?他の子羊たちの相手で忙しいのか!?
それか…同じ魔女であり母親であるフリッガお母様(ソーとロキの母親)が生きてたらなぁ…彼女でも力は抑えられないかもしれないけど、ワンダの心に寄り添うのには多分一番適してる人だよ……

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長い文章を最後までお読みいただきありがとうございました!
本作は観ていてしんどい部分もありましたが、「最強のワンダが活躍するところが見たい!」と思っていた私にとって、この映画は予想以上に満足度の高い作品でした!ホラーが苦手でも頑張って観に行って本当によかったです!
もしこの文章を読んで「こんな捉え方もあるのかー」と思っていただけたならとても嬉しいです!

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