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行き止まり
「先輩がいなくなったら誰と飲めばいいんですか…!」
かわいい。嬉しい。
仲の良い後輩がいる。2歳下の女の子で、後輩という存在が概ね苦手な私が気兼ねなく付き合える稀有な存在。
(おそらくその子の後輩力が異様に高いおかげなのだけれど、後輩力についてはまた別の機会に考察しよう)
同じ社員寮に住んでいて、よく近所に飲みに行ったり、私の部屋でゲームしたりだべったりしていた。
私が転勤になるときに、とてもさみしがってくれた。
「飲み仲間の同期いたんじゃなかった?」
「いましたよ!楽しく飲めるやつが!
酒の好みも飲みっぷりも合うし、話も合う!
でもそいつ、婚約しちゃったんですよ!
そこをどうこう進めないわけですよ!」
なるほど。それはさみしい。
同期のことはちょっといいなと思っていたらしい。
具体的にどうなりたいとまで思っていなくても、飲みに行くのが楽しみな異性の同期。
そこにウキウキやときめきの恩恵を受けていた訳だ。
別にこれからも飲みに行けばいいとは思う。
個人的には彼氏がいても結婚しても、飲みたい相手と飲みに行くのは許されたい。恋愛対象じゃなくても、サシでも飲みたい異性はいる。
もちろん、世間体もあるし、家庭を優先する事が増えたりはするだろうけど。
嫁が許してくれれば、旦那が異性と飲むのを気にしない人ならば、傍目では変わらない関係で飲みに行けるだろう。
だけど後輩は、その先の進路を断たれたのだ。
好意を抱いている 相手と飲みに行くのは、たのしい。うれしい。
そこにはまだ、その喜びを味わう余地はあるけれど、
『その先、行き止まり』になってしまった。
「だからそいつと飲んでる場合じゃなくて、新しい出会いを探さなくちゃと思って。陽キャの集まりや、街コンに行ってみたり、アプリで人と会ってみたりするけど、疲れるんですよねぇ。」
たしかに、“はじめまして”には気力がいる。めちゃくちゃ疲れる。
どこかあるゴールに繋がっている道を探して、トライアンドエラーし続けることだけが正解だとは思わない。
「先がないからこの道はもう閉鎖!!」ではなく、
行き止まりだけどお気に入りの道を、飽きるまで何回も往復して楽しんだっていいと思う。
もちろん、いつかゴールを見つけたいなら、新しい道の開拓が必要だけれど。
だって、その道に行けば確実にその日楽しいことはわかっているんだから。
人生は有限なので、楽しい日が1日でも多くあるべきだと、近頃は思っています。
かわいい後輩の人生に、楽しい日が多く訪れますよーに。
※決して既婚者にちょっかい出せと焚付けているわけではありません
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