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橋めぐり&下町散策【7 後編】白鬚橋・水神大橋 /根岸・千束

コース:<前編>根岸~下谷、<後編>千束~日本堤~清川~白鬚橋~水神大橋~三ノ輪 (2011年1月22日)

鳳神社と吉原大門

下谷から隅田川を目指して歩いていると、華やかな雰囲気の神社が見えた。これは行ってみなくては、ということで少し寄り道をする。
大きな門の上に「浅草酉乃市御本社 鳳神社」と書いてあり、門の左右には提灯の列がそれぞれ3段、さらには特大サイズの熊手が飾られている。

御利益満載の「鳳神社」

境内に入り、拝殿へ。
賽銭箱の上におかめの大仮面が置いてあった。口が開いているのでそこからお賽銭を落としてみる。
(後で調べると、なでるのがご利益とか。惜しかった!)

下谷七福神の恵比寿様が祀られている正宝院・飛不動尊にも寄った後、
裏路地を何回か右折・左折して少し広めの通りに出た。
歩いているうちに、あちこちの店の前に黒いスーツを着た男性が立っていることに気がついた。
あれー?もしかしたらオバサンがひとりで歩くような場所ではないのかも?強い違和感をかんじながら歩調を速めて通り抜けると、「吉原大門」と書かれたオレンジの柱が立っていた。
そうかあ、ここは吉原遊郭のあった場所なのかもしれない。
オレンジの柱を過ぎると雰囲気はガラッと変わり、ホッとして歩を進める。

日本堤の裏路地

土手通りを渡って日本堤に入ると、先方にひと際眼立つ和風家屋が見えた。「羅・麩・天」と黄色の文字で書かれているので料理店のようだが、だいぶ年季の入った建物のようである。
いい感じに風化した壁と板塀、古そうなガラスをはめた引戸などが特にすばらしい。
(後で分かったが、ここは、行列のできる老舗てんぷら屋「土手の伊勢屋」だった)

裏路地に入って歩いていると、すごい建物に遭遇。このように寂れた情景を見ると、どうしてもスケッチしたくなる。

学習塾「しょうげんしゃ」

「しょうげんしゃ」という古ぼけた看板があるので、閉業した文具店か何かを想像していたら、小学生がやって来て建物の中に入って行った。なんと、まだ健在の学習塾だった。

白鬚橋と隅田川沿い

裏路地や下町の商店街を通り抜け、巨大な球体(ガスタンク)が垣間見える住宅街をジグザクに進んでようやく白鬚橋に到着した。
 
白髭橋は両端がトラス構造で、中央が緩やかなアーチとなっている。
流線的な形から、なんとなく横たわるドラゴンを連想した。
塗装は橋の名前にマッチした白である。

流れるフォルムの白鬚橋

隅田川を見ながらゆっくりと橋を渡り、川べりに降りる。
水面に反射する光はだいぶ弱まっているが、暮れなずむ空をバックにした水風景はとても気持ちがいい。
 
すでに4時半を回っているが、川沿いをもう少し歩きたいので、上流の水神大橋まで歩いてから帰ることにする。

誰もいない夕方の川辺を進むと、所々にホームレスのブルーシートのテントハウスが見えた。
ペットボトルを何本も並べたキッチンスペース、洗濯物干し、売るために集めたのだろうかアルミ缶の山。そこには生活がある。ラジオかテレビの音が聞こえてくるテントもあった。
猫がいると思ったらホームレスの人が餌をあげていた。「あ、ねこちゃん」と呟いたら目が合い、おじさんがニコっとした。

水神橋と隅田川沿い

 水神橋はマリーンブルーの大きなアーチが独特である。
橋の上から上流側を見ると、隅田川が緩やかにカーブしているのが見えた。

おおらかなアーチの水神橋

今度は隅田川の反対側を歩いて白鬚橋に戻る。
川より少し高台にあるマラソンコースのような遊歩道を歩く。遠めの隅田川も良いものだ。

水上橋付近から見た隅田川上流

白鬚橋に近づくと、街灯の光が橋を飾っていた。もう暗くなってきたのだ。橋付近に屋形船が3隻停泊していた。

たそがれの白鬚橋

さあ、今日はけっこう歩いた気がする。一番近い地下鉄の駅に向かって明治通りを一直線に進み、三ノ輪で千代田線に乗って家路につく。

<振り返ってひとこと> 2022年春
下町を散策していると、通りすがりの人に話しかけられたり、お店の人とお喋りしたり、思いがけない出会いが色々ありました。お茶屋さんで話しが弾み、店先に腰掛を出してもらって新茶までご馳走になったこともありました。そんなつかの間の触れ合いも、心温まる思い出になっています。

※お店の情報は訪問当時の情報なので、最新の営業情報等は変わっている可能性があります。

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