街歩きスケッチ: 水のある風景@東京#3
金町浄水場の第3取水塔 (2011年6月・葛飾区)
柴又公園のゆるやかな丘を登りきると、視界いっぱいに江戸川の河川敷が現れ、おもわず「わあ」と声を上げそうになった。
目の前に鮮やかな緑の芝生が広がり、その先に江戸川が流れている。
コンクリートの堤防など人工的な構造物が殆どなく、水際の低木や柳が川面に映し出されている。
なんと魅力的な風景だろう。
川沿いには歩道がなく、草の間に見える微かな踏みあとを辿って歩いた。
所々にムラサキカタバミが咲いていて、モンシロチョウがひらひらと飛んでいる。
「矢切の渡し」の船着き場を通りすぎると草が肩ぐらいまでの高さになり、
その草むらの間から釣り人がポツンポツンと見えた。
どの釣師も竿を数本セットしていて、
椅子やらクーラーやら長期戦に備えている感じだ。
巨大な網を持っている人もいたが、何を採るのだろうか。
草むらから陸側の土道に移り、金町浄水場の取水塔を探す。
気が付くとスニーカーの先が濡れていた。
草むらは以外と湿っていたらしい。
「猫がいっぱいいるよ」と話しかけられたので振り向くと、
ホームレスのおじさんが数匹の猫に餌をあげていた。
その横で柴犬が吠えている。動物が好きなのかな。
話好きでもあるようで、少し言葉を交わしてからお別れした。
やがてライムグリーンの橋と丸い塔が現れた。金町浄水場の取水塔とその作業橋である。
金町浄水場は、江戸川から水を採取・処理して東京都内に供給しているらしい。取水塔は江戸川の中に立っていて、ライムグリーンの橋が塔と浄水場を結んでいる。
いたって実用的な構造物だが、それでいて目を楽しませてくれるデザインだ。なんとなく粋だなあと思った。
さっそくスケッチしてみたくなった。
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