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街歩きスケッチ: 京浜運河

横浜・川崎の京浜工業地帯を走るJR鶴見線は、本線と2つの支線合わせても全長10キロ弱しかないローカル線だ。2010年の夏、このローカル線に乗って「海に一番近い駅」と言われる海芝浦駅まで行ってみた。
 
電車が鶴見駅を出ると、ビルや住宅が密集しているエリアを通りぬけ、次第に工業地帯に入っていった。ルートは運河沿いとなり、車窓から大きな倉庫やタンクがいくつも見えた。

京浜運河と巨大なタンク群(鶴見線・車窓から)

20分ぐらいで終点の海芝浦駅に到着した。
狭くて小さなホームに降りると潮の匂いがし、海がすぐそこにあった。

海芝浦駅から見た京浜運河

この駅は東芝の事業所と連結していて、一般の人は駅を出ることができない。
次の電車が来るまでの20分間、駅に隣接した公園を覗いたり、スケッチしたりして過ごした。

海芝浦駅のホーム脇から見た京浜運河

帰りは鶴見川沿いを歩きたいと思い、鶴見駅の一つ手前の国道駅で降りた。
改札口を出て、車窓から確認しておいた方角に向かって裏通りを歩いた。
適当なところで左折すれば土手に出るはずだが、
歩けど歩けどシャッターの下りた店舗が連なっているだけだ。
やがて一軒、店先にラジカセをおいて懐メロを大きく流しているお惣菜屋さんが営業していた。
店内のおばさんに声をかけたら気さくに話てくれ、「ここは魚河岸通りといって、昭和時代にタイムスリップしたみたいだってよく言われるのよ」と言った。
川に出る道を聞くと、向かいの路地を指差して、「適当なところでつっきって行けばいいのよ」と教えてくれた。
路地と言っても、家と家の間のほんの50センチ幅ぐらいの狭い通路である。
ほとんど軒下を歩くような感じで通路を抜けると、無事鶴見川の堤防に出ることができた。
 
堤防の上でしばらく川の風を楽しんだ。
5時を回った日差しは弱く、暑さは殆ど感じられない。
川沿いには漁船が沢山係留されている。さっき渡った鶴見線の赤茶色の鉄道橋も見えた。

黄昏の鶴見川

鶴見駅に向かって歩いていたら、廃業したらしい店舗が目に入った。
大きな手書き看板、タイルの外装などが気に入ってスケッチした。

想像が膨らむ「蛇族まむしや」の看板

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