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新型コロナによる株価暴落の傷跡は、終息後も残り続けます

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が、過ぎ去った後も経済には深い傷跡を残し続けます。

今回の新型コロナウイルスによって起きた株価の暴落は、経験の浅い投資家に株には大きなリスクが伴うということを気付かせました。

急速な経緯回復、多くの人たちが望むようなV字回復がない限りは、こうした投資家たちは2020年を悪いニュースの基準と認識するようになり、生涯通じてリスクを取らなくなります。

リスクを取らなくなるということは、株式保有を減らす事だけを意味するのではなく、自社の資金を不透明なプロジェクトに投じるのに消極的になることも含まれます。

また、大きな金融リスクをとって企業する者も減少するでしょう。

弱気相場の打撃は心に残り続ける

深刻な弱気相場の打撃を強く受けた人々の心には、その影響が強く残り続けることが各種研究で示されています。

「若い人は、より年齢が高く不況を何度も経てきた人と比べて、ずっと経験が少ないため、経済ニュースにより敏感だ」

と、金融論を研究するシカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスのステファン・ネーゲル教授は語っています。

また、このような若い世代は来年において投資リターンやリスク資産に関してより悲観的になり、より保守的になっていき、保守的なポートフォリオを選ぶ傾向があることも述べています。

ネーゲル教授と金融論・経済学を研究するカリフォルニア大学バークレー校ウルリケ・マルメンディア教授の研究によると、

リスクに対する長期的な姿勢は若い頃の個人的な投資経験から影響を受け、株式のパフォーマンスがふるわない時に投資を始めた人は株式を避ける傾向があった一方で、より良い時期に始めた人は市場が悪い方に転じても、あまり影響されない傾向にあることがわかっています。

終息後は?

景気と市場がどれほど迅速に回復するかが状況を大きく左右することになります。

希少イベントが市場に与える影響を研究しているコロンビア大学ビジネススクールのローラ・ベルトキャンプ教授によると、

パンデミックのリスクが、これまで無視されていたため価格に折り込む必要があるとの認識が生まれ、これによりコロナ不況の心理的な影響が強められる可能性があると述べています。

家計や企業は将来の封鎖措置から身を守るために貯蓄を増やしてリスクを軽減し、政府は非常用の物資を備蓄し、自国内で迅速に製造できるようにすることが必要になります。

仮にパンデミックが一過性のものであったとしても、多くの人々は封鎖措置が終わった後も外出や人との関わりに消極的になっていくでしょう。

また、サプライチェーンの安全性を高めることを口実に各国のグローバル化も後退していきます。

投資家は急速な回復を織り込み始めているが、今回の景気後退の傷跡が今後何年にもわたって経済を弱める危険があることを考慮していく必要があるでしょう。



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