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原油価格戦争により、関税検討

原油価格戦争に翻弄される、多くの米石油業者はトランプ政権に支援を求めています。

そこで、トランプ政権は原油価格戦争で多くの米企業が身動きできなくなるのを防ぐために、関税を設けることを検討し始めました。

原油価格戦争はなぜ起きたのか?

理由は2つあります。

1つ目は、2020年3月6日の石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国のOPEC+会議が決裂したことです。

ロシアを含む非加盟産油国は日量120万バレルの協調減産に賛成していたが、この交渉は決裂し、決裂後にサウジアラビア主導の石油輸出国機構が直ちに原油増産を発表して原油が暴落しました。

2つ目は新型コロナウイルス蔓延による経済活動停滞に起因する石油需要の減退です。

翻弄される米国企業

米シェールオイル会社コンチネンタル・リソーシズのハロルド・ハム会長は、サウジが不公正に安価な原油を市場に投げ売りしてると、通商法に基づきサウジを調査するよう求めています。

大統領の関係者によると、通商拡大法232条に基づく関税も議論されており、国家安全保障への脅威と政権が判断すれば、この条項によって大統領は幅広い裁量と迅速な行動を起こせる力が付与されます。

サウジアラビアとロシアの協力関係が崩れた先月以降、ハム氏を始めとする多くの原油業者は、トランプ政権の支援を求めてロビー活動を行っています。

新型コロナウイルスの感染拡大による景気鈍化で需要が縮小し、原油価格は既に急落し始めており、米企業は多額の債務を抱えた状態で、この状況を迎えました。

トランプ氏は、4月5日に行われた、ホワイトハウスでの会見で、

「必要とあれば関税を使う」

と発言しているが、その後に

「その必要はないと思うが」

と付け加えています。

減産合意がまとまるか、年初来約60%下落している石油価格が持ち直した場合には、関税案を取り下げる場合があります。

関税は問題が長引いた場合の緊急対策とみられ、関税発動も辞さない構えを見せることに目的があり、外交交渉で影響力を強める際のトランプ流の手法だと言われています。

まとめ

OPEC+会議のロシア(非OPEC)とサウジアラビア(OPEC)の交渉決裂、新型コロナウイルスの経済活動停滞に起因する石油需要の減退により、多くの原油業者は多額の債務を抱えた状態となっています。

このような状況を、打破・救済するために、今回の関税案の検討がされています。

一方、減産ほど極端な策ではないものの、関税は業界の多方面で不評を買う為、石油業界は歴史的に、従来は自由市場型のアプローチをとってきました。

米二大石油メジャーの シェブロン と エクソン・モービル は、石油市場への政府介入に反対するロビー活動に取り組んでおり、エクソンのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は7日、

「われわれの世界と事業にとり、長期的に低関税が最善の策だ」

とも語っています。



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