今から約十数年前、まだSNSもなかったころ。当時のインターネット界隈はウェブ日記が全盛であり、なかでも「はてなダイアリー」は最も多くのユーザーを有したサービスだった。そこでは「平民新聞」という日記を知らない者はいなかった。 作者の名前は平民金子(へいみん・かねこ)。日記に掲載される地に足のついた低い低い視点の写真と、「毎晩夜通しおきていて、なんにもしてやしない」ような人々と微かな光を分かち合うような、そんな文章を大量に執筆していた。 携帯電話のメモリに、架空の友達の
誰でもレコードを拾ったことがあるだろう。 いや、「誰でも」というのは、いま、この「レコード手帖」を読んでいるような人たちのことで、レコードに興味がない人は、道にレコードが落ちていても特に気にすることはないから、たぶん拾うこともない。じつはレコードは、けっこういろんなところに落ちている。そしてレコードが好きな人は、だいたいどこかでレコードを拾うものだ。ところが、先日、とても意外な場所でレコードを拾った。 私は山登りや渓流釣りによく行くのだけど、とある山岳渓流でフライロッ