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これはケーキだ! あきらめないぞ!

2週間ほど海外に行っていた同僚が、イギリスのお土産を買ってきてくれた。きれいなオレンジ色のパッケージにチョココーティングの「美味しそうなビスケット」だな、と見ていると、これは実は「ケーキだ」と言う。

どういうこと?と聞いた話が面白かったので書いてみます。

有名な話なので端折って書くけど、イギリスでは、贅沢品だと20%の税金がかかる。「日常生活に必需品だから贅沢品ではない」と分類されればかからない。もちろん紅茶は無税。紅茶のお供のお菓子(ケーキ)も無税だ。ところがビスケットと呼ばれる菓子類は贅沢品とみなされ20%の税金がかかる。

そしてタイトル絵の写真のお菓子は、1991年、「これはチョココーティングがしてある贅沢品。ケーキじゃなくてビスケット、税率20%ね!」と仕分けられ、ちょっと待った!これはケーキだ!とメーカー側が裁判で争って勝ったのだそう。

その争点が面白い。

ケーキとは?
・スポンジ部分が柔らかい。
・外に出しておくと固くなる
・手で食べられない(フォーク必要)

ビスケットとは?
・サクサク硬い
・外に出しておくと柔らかくなる
・手で食べられる

そんな話を聞いてから、「ではいただきます」と食べてみる。手で食べれちゃうけど、確かにちょっと柔らかいから食べにくいかも。フォークで刺して食べるほどじゃないが。

ふむふむ、たしかに柔らかい。サクサクはしてない。スポンジケーキかと問われれば、うううううむ、となるけど、ビスケット(クッキー)のような食感はない。

なるほどね〜。でもさ、これって、裁判勝ってからも徐々に、ちょっとずつちょっとずつ、ケーキに寄せていったんやろね。

そうかもしれんな。

だんだんと生地部分を柔らかくしていってさ、「ほら、やわらかいでしょ!ケーキでしょ! どう考えてもケーキでしょ!手では食べにくいでしょ!」ってさ。

ありそうやな。

そうやって見ると、パッケージの前面に、

DARK CHOCOLATE ORANGE JAFA CAKES
the perfect ratio of jam,sponge & dark chocolate

と、しっかり書いてある。

ジャムとスポンジ、ダークチョコレートの絶妙なバランス!

といったところだろうか。「スポンジ」ってわざわざ書いてるところが、「ケーキだからね!」と主張していていい感じ。

お値段は聞きそびれたけど、毎日の紅茶のお供で食べるというのだから、感覚的にはそれほど高いものじゃないんだろう。20%も課税されたら売上に響くから、絶対嫌だったに違いない。

いろいろ想像すると笑えてくる。

どんな規模の裁判だったかわからないけれど、弁護士同士が「ケーキかビスケットか」で、裁判官の前で争ったんだろうか。生地が固くなるとか、サクサクしてないとか、手で食べたら汚れるだろう?とか言いながら、実食したり、食べるときの「音」をマイクで拾ったりしたんだろうか。

面白いなぁ。

最後は、「もういいよ、わかったよ」と税務署っぽい組織の側が折れたんだろうか。「毎日の紅茶のお供に私たちのJAFA CAKESを奪うなー!」とかの市民運動も起きたのかもしれない。

妄想は膨らむばかりで、ちょっと調べてみたいけど、きっと山ほど関連情報が出てくるだろうからググらない。ここでおしまい。

味?

酸味の効いたオレンジのジャムと、ダークチョコのほろ苦い甘さが絶妙で、とっても美味しいビスケッ・・・ケーキ、でした!

(最初、見出しを「ケーキかビスケットか、それが問題だ」で書き始めたんだけど、イギリスだからハムレットだし、この見出し、というのは、めちゃくちゃ多そうなので、恥ずかしくなって変えました)


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