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最短1週間?スタートアップが絶対に活用すべき3つの資金調達 #スタートアップ投資TV #融資相談室

スタートアップの融資を支援しているINQの若林( @wakaba_office )です。私はStartPassという会社のCOOもやっております。
https://note.com/wkbx/n/nd3203c70da5c

また、スタートアップ投資TVというYouTubeチャンネルで、スタートアップ向けに投資に関する情報を発信しています。
https://www.youtube.com/@Startup-TV

本記事は「【最短1週間】スタートアップが絶対に活用すべき3つの資金調達【融資相談室】」という動画の内容を書き起こしたものです。

Gazelle Capital 株式会社 近藤絵水さんを司会に、株式会社Fivot 安部匠悟さんをゲストに招き、 『Flex Capital』のサービスについて語っています。

ベンチャーデットについておさらい

近藤さん:以前お話しいただいた、ベンチャーデットについて、改めてお聞かせください。

若林:ベンチャーデットは、スタートアップ向けのデットデットファイナンスの総称です。より狭い意味でいうと、新株予約権などを付けて行うことなどがある銀行融資とエクイティファイナンスの中間のリスクを取る融資のことを指します。

前回はベンチャーデットの意義として、株式を希薄化することなく資金調達ができること。そしてデットの資金を活用して自社の成長を加速させたり、ランウェイを伸ばしたりすることでフレキシビリティを高めていくような使い方ができるという話を、安部さんを交えて行いました。

『Flex Capital』を開始した理由

近藤さん:ベンチャーデットの市場は、海外では広がっているものの、日本ではまだ始まったばかりの段階だと思われます。その中で、安部さんはなぜ『Flex Capital』という事業をスタートしたのでしょうか?

安部さん:私は元々、証券会社で銀行向けM&Aのアドバイザリーサービスを提供する経験を積んでいました。メガバンクが海外の銀行を買収するときや、地方銀行が統合合併するときなどにアドバイスをするということをやっている中で、日本だとどうしても金融機関が少し硬直化しているのではないかという課題を感じていました。この課題により、新興産業であるスタートアップ向けに銀行が資金を十分に供給できていないのではないかという感覚を抱えるようになったんです。そこで証券会社を退職し、自分で新しくチャレンジャーバンクを立ち上げました。

近藤さん:具体的にどういったファイナンスを提供されているのでしょうか。

安部さん:画像の表をご覧ください。『Flex Capital』は、主に3つのプロダクトラインを持っています。成長を加速させるためのキャピタル、ランウェイを伸ばすためのキャピタル、その中間にあたるキャピタルの3つに分類して提供しています。

成長加速のためのキャピタルとして提供しているサービスが「請求書立替」です。D2CやECの企業に対して、在庫や広告宣伝費などに必要な資金を提供しています。
※2024年1月現在「請求書立替」はβ版から正式版への移行を行っているため、新規でのご利用については停止中です。

成長を加速させるためのキャピタルと、ランウェイを伸ばすキャピタルの中間点に当たるサービスが「Revenue Based Finance」です。両方に使えるプロダクトで、一般的に、リカーリングレベニューというものをお持ちの定期課金系の売上構造の企業に、将来の売上を見込んでファイナンスを付けてあげる。これによりキャッシュフローは赤字なのだけれども、LTVベースで見ると将来的な利益はしっかり出ているという企業に対して、将来のLTVの部分を現金化してキャッシュフローを合わせるというコンセプトで提供しています。

ランウェイを伸ばすためのサービスが「ベンチャーデット」で、期間が長めのローン制サービスです。異なるニーズに合わせた3つのプロダクトラインを提供しています。

若林:以前までは「Revenue Based Finance」に取り組んでいましたが、新たに「請求書立替」と「ベンチャーデット」をラインナップに加えたのですね。この3つのサービスを提供したいと考えた背景は何でしたか。

安部さん:日本ではベンチャーデットの市場がまだ黎明期で、アメリカと比較して大きいというわけでもありません。そのため私たちとしては、さまざまなニーズに対し試験的に応えながら、どういったニーズに応えることがスタートアップにとって最適な助けになるのかを検証しながら進めていきたいと思っています。その観点で、成長を加速させるためのキャピタルと、ランウェイを伸ばすキャピタルを包括的に対応できるプロダクトラインを構築しようと考えました。

各プロダクトの後ろ側にある与信モデルは全て1つに統一されているのですが、ニーズに合わせて商品性をカスタマイズしている状況です。

各サービスの対象企業

近藤さん:3つのファイナンスの形を教えていただきましたが、それぞれどのような企業が活用しているのでしょうか。

安部さん:1つ目の「請求書立替」に関してはD2CやECの企業が中心で、モールなどの形で単発で出店されているようなリカーリング性がない事業者でもご利用いただけます。

2つ目の「Revenue Based Finance」は、D2C、ECの他にSaaSの企業を加えて、経常的に発生する売上を持っている企業に提供できるサービスです。

「請求書立替」と「Revenue Based Finance」は、両方ともシリーズAからBくらいまでの、若めのスタートアップを主な対象としています。シリーズB以降の、キャッシュフローが安定してきていて大型のエクイティ調達をしている企業には、ランウェイを少し伸ばすためのサービスとして、3つ目の「ベンチャーデット」を提供しています。
※2024年1月現在「請求書立替」はβ版から正式版への移行を行っているため、新規でのご利用については停止中です。

『Flex Capital』を上手く活用するための注意点

近藤さん:『Flex Capital』を上手く活用するための注意点はありますか。

安部さん:いくつかあると思っています。前回の動画で話した通り、まずは、エクイティを完全に代替するサービスではないということです。しっかりエクイティで資金調達をしながら、エクイティのメリット・デメリットを考えてデットも活用するのがベストでしょう。

2つ目は、ランウェイを伸ばす機能があるとお伝えしましたが、例えば「現状、足元のランウェイが1ヶ月です。約30日後にはキャッシュがなくなってしまいます」という状況をデットで救済するのは難しいという点です。なるべくエクイティとセットでデットを活用したり、さらなるオプションが打てるような状態でさらにオプションを拡張する目的でデットを活用することが重要だと思います。

若林:私たちも融資の支援をしていて、「もう少し早く相談してくれたら、何とかできたかもしれないのに……」というようなケースがかなりあります。

安部さん:まさにその通りです。私たちに相談いただくときも、最初はキャッシュがある状態のときにご相談いただいてたのが、経営者としてキャッシュをあまりダブらせたくないというような方もいらっしゃって。中には「キャッシュが減ったタイミングで相談するのが良い」と考えている方もいるかもしれません。しかし、ベンチャーデットに関してはその考え方は適切ではなく、まだオプションが打てる状態でオプションを拡張するためにデットを活用するのが重要です。

若林:エクイティファイナンスと同時にキャッシュリッチである状態で、それでも今後のランウェイをあらかじめ伸ばしておく、そのためにデットを活用するというイメージですね。

他にも注意点として、『Flex Capital』を始め、デットファンドでは融資するスタートアップに関するさまざまなデータを参照して審査すると思います。そのデータの在り方も大切ですよね。

安部さん:おっしゃる通りです。データの透明性を上げ、しっかり見える形にして、データをすぐに提供できる状態にしていただけると、とてもありがたいです。例えば仕訳などをタイムリーにアップデートし、すぐに確認できる状態にしておくと、審査もスムーズに進みます。

若林:コーポレートサイドの管理体制といいますか、社内の仕組みがきちんと回っているかというような点も、実は資金調達に影響してくるということですね。

『Flex Capital』が審査の際に見るスタートアップの情報

近藤さん:短期間で審査を行うにあたって、どのような情報を参照しているのでしょうか。

安部さん:3つのデータを参照しています。

1つは「マーケティングデータ」と呼んでいる情報。これは、新規の顧客をどういうチャネルで、どれくらいの資金効率で獲得できているのか、また過去のブレがどれくらいあるのかを確認するために見ます。

もう1つは「トランザクションデータ」と呼んでいる情報。これは、例えばD2Cの企業だと決済のデータが該当します。Aさんが何月何日、何時何分何秒にいくら決済しましたというローデータを何十万件といただき、確認します。

最後が「アカウンティングデータ」と呼んでいる情報。これは会計ソフトから出力されるデータです。

この3つデータをもらえれば、私たちは最短1週間で審査可能です。

若林:マーケティングのエコノミクスのようなものを見ているということですね。だとすると、「今はこれくらいの状態だけれど、資金をいくら入れたら、これくらい伸びる」というような予測もしているのでしょうか。

安部さん:はい、やっています。

若林:スタートアップにとっては非常にありがたいですよね。その時点でエコノミクスは合ってきているのだけど、赤字や債務超過ということもありえますから、銀行から融資してもらう場合に交渉の土台に乗らないということもあると思います。『Flex Capital』なら、将来債権を見て融資してくれるというのは、多くのスタートアップにとって助け舟になると感じます。

『Flex Capital』の活用事例

近藤さん:『Flex Capital』でスタートアップを支援した事例として、どのようなものがありますか。

安部さん:活用事例は増えていまして、例えばシリーズAくらいのD2Cスタートアップで、足元ではLTVがかなり合ってきているのだけれど、キャッシュポジション的にマーケティングを踏みにくい、これ以上の投資をしづらいというタイミングで、弊社が「請求書立替」や「Revenue Based Finance」などで、発生する費用を繰り延べてあげて、後でお支払いいただけるようにキャッシュフローを改善したという事例があります。

他には、エクイティの調達はしたのだけれど、将来の市況を考えて2〜3ヶ月くらいランウェイを伸ばしておきたいというスタートアップからご相談をいただき、私たちとしてもその企業にしっかりとしたグロースが見られたので、支援できるようにタームローンの「ベンチャーデット」を提案したという事例もあります。

若林:1つ目の事例は融資によってマーケティングが踏めるからバリュエーションを上げられるかもしれない。すると次のファイナンスがより良いものになるというケース。2つ目の事例はあらかじめランウェイを伸ばし、キャッシュポジションを高めるようなことを事前に行なっているので、将来的に走れる期間を長くできる。したがって次のファイナンスへの猶予期間ができるというケース。どちらも、そのスタートアップの将来に効く側面が強い印象です。

安部さん:おっしゃる通りです。


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最後までお読み頂きありがとうございました。


注釈

 本記事は執筆・公開時点で発表されている情報を解説したものです。以後制度が変更になる可能性があります。


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