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花と歌の季節〜旅立つきみへ風を集めて届けてみたら

花を歌った曲はたくさんあるので聴く側にとってもすごく共感できるものがあって嬉しいカテゴリーのひとつになっています。
さて、音楽を聴かずに音楽を楽しめる方法です。

皆さんはどんな花の歌、思い出されますか?

マリーゴールド、さくら、ひまわり、、、そして「花」そのものがタイトルに付けられて、恋、友情、別れ、さまざまな想いが込められていますが、花の名前がタイトルについてない素敵な歌もあります。

人々を脅かしていた3年が去り、ようやく新しい生活が始まりました。

そんな季節にエールを込めて、憧れの花(人)への想いを歌った洋楽と、過去から未来への扉をモチーフにした“歌詞の季節”について書き留めました。


  • “SPANISH HARLEM“
    (バラ)


    「願い」を花に喩えた一曲目は、60年代のアメリカポピュラー音楽やビートルズを始め沢山のミュージシャンをプロデュースしたフィル・スペクターがジェリー・リバーと共作した“スパニッシュ・ハーレム

    「スタンド・バイ・ミー」でお馴染みBen E Kingが丁寧に歌うAメロの季節にフォーカスしてみます。

There is a rose in Spanish Harlem
A red rose up in Spanish Harlem
It is the special one, it's never seen the sun
It only comes out when the moon is on the run
And all the stars are gleaming
It's growing in the street
Right up through the concrete
But soft and sweet and dreaming
スパニッシュハーレムにある一輪のバラ
スパニッシュハーレムに育つ赤いバラ
特別な存在で、決して太陽を見ることはない
月がのぼり、全ての星が輝いている時に現れ
コンクリートを突き抜けて
柔らかく、優しく、夢見ながら通りで育ってる

(抜粋) フィル・スペクター/ジェリー・リバー作詞作曲 Spanishi Harlem  

この歌の主人公“red rose”は「赤いバラ」よりも紅色の系譜「薔薇色」の様な美しい恋人とイメージした方が良さそうです。

真紅のパパメイアンは香りもいい
(京成バラ園)

芳純な香りが心地よいバラの開花は5月〜6月上旬ですので、この歌はちょうど初夏を迎えるの頃かもしれません。
「紅色」とは、

・はかなげで、女性限定の優しい華やかさを表現している
・活気のある力強さの赤色と混同されることが多いが、(略)
舶来から来た紅花で染めるため高価であり、平安時代のあこがれの色だった

引用: 定本 和の色事典[視覚デザイン研究所]

と解説されています。

明るく幸せな紅色。漫画、映画でも人気になった「ちはやぶる」で始まるこの詠では

「千早ぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは」

古今和歌集

と結ばれない業平の恋を紅の色として表現されていることを学生時代学びました。


  • “夏への扉”
    (立夏)

今年5月山下達郎さんのRCA/AIR YEARレーベル時代のアルバムがリマスターされて発売になりました。(第一弾は夏の定番[FOR YOU])

ご紹介したい2つ目は、最初にご紹介したフィル・スペクターの“Spanish Harlem”を達郎さん自身のアカペラでカバーしたアルバムと同じ1980年に発売され、2023年6月にリマスターで再販される[RIDE ON TIME]に収録されている吉田美奈子さんの作詞、夏への扉”です。

歌い出しからこの詩(歌)のテーマが響きます。

ひとつでも信じてる
ことさえあれば
扉はきっと見つかるさ

(抜粋)[夏への扉]歌詞:吉田美奈子 作曲:山下達郎 

シンプルでいて心を鼓舞してくれるこの歌詞は、主人公がタイムトラベルを使って過去に奪われた愛猫ピートと恋人を取り戻すロバート・A・ハイラインのSF小説をモチーフにしているとされてて、原作は2021年に山崎健人さん主演の映画にもなりました。

達郎さんのたくさんのレコードに表情豊かな作詞やコーラスで参加しているシンガーソングライター吉田美奈子さんの恋心を表わした代表的な詩のひとつで、エピローグでは(バラの花咲く立夏の頃の)夏を迎える季節に未来への希望を抱きながらこう詠い上げています。

もしか君 今ここでやり直せなくても
淋しくいきることはない
僕は過去から幸せを持ち
未来へ向かい眠るのさ
そしてピートと
永遠の夏への扉 開け放とう

(抜粋)[夏への扉]作詞:吉田美奈子 作曲:山下達郎

“夏への扉”に花の名は使われていませんが、一人称の「僕」に新らたな気持ちと希望が開き出す扉に向けてエールを届けてくれます。


*同じ季節感で一文字違うタイトルで同じ80年代のJ-POP“夏の扉”は三浦徳子さんの作詞で、こちらは‘一緒に夏を迎えよう’という二人称。


2つの歌詞に込められた想い、季節をご覧いただきました。

立夏の季節、初夏のバラの魅力をもう少し観てみます。

ここでは1,000以上の品種!と甘い香りが緑の風に溢れていて、入園者のワクワクが止まらないのは、ここで皆さんがゆっくりと、時間を忘れて過ごしていることでよく分かります。

久しぶりの太陽でどれも準備万端で迎えてくれます。

繰り返し咲くと知る
優雅なレディ・シルビア
(京成バラ園)
鈴なりに咲くみんな大好き
ベル・ロマンティカ
(京成バラ園)
ダブルディライトは水彩画のよう
(京成バラ園)

香りはお届け出来ませんが、ここの魅力は豊富な品種だけではありません。

図鑑でしか知らない「和色」を実際に見ることができるという素晴らしい体験です。

「きれい」は知るだけでなく五感で感じるということを教えてくれます。

閉ざした過去から旅立つきみに
初夏の風を集めて届けてみたら
輝く扉はきっと見つかる


音楽を聴かずに楽しむ。それは作詞に込められた世界を読み解き、自分の心の中にしまっておいたものを認め、励まし、解き放ってくれる感情のリズム

♪タイトル花アーティスト
あいみょん、コブクロ、いきものがかり、森山直太朗、福山雅治、宇多田ヒカル、初音ミク、秦基宏、米津玄師、Superfly、Smap、KinKin Kids、喜納昌吉、サザンオールスターズ、松田聖子、花は咲くプロジェクト/etc

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