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欲しいものリスト


 Mちゃん。Mちゃんの持ってるもの、全部がほしい。
幅の広い二重で美人なMちゃん、声が綺麗なMちゃん、頭がよくて、恋人もいて、愛されてるMちゃん。Mちゃんの持ってる才能、全部欲しい。

Mちゃんが褒められているのを見ると、うわーっ、てなっちゃう。あまり考えると惨めだから、知らないふりをしていたけれど、Mちゃんは完全完璧に私の上位互換だった。

私よりかわいくて、頭が良くて、素敵な人なんてたくさんいる。でも、全てにおいて、私の一歩先にいるような、そんな人と関わるのは初めてだった。自分の持ってるものが、全部ゴミに思えて仕方がなかった。そんなこと考えちゃうのが、一番ゴミだと思う。早く捨ててぇな。

昨日、文化祭の打ち上げで、カラオケに行った。私は歌も上手くないので、マラカスを振り回して笑う役をしていた。Mちゃんは歌も上手で、彼女が歌うたびに歓声が上がった。

2時間ぐらいして、お腹がめちゃくちゃ空いた。Mちゃんも、お腹空いたなぁって笑ってきた。次の瞬間、リュックに手ェ突っ込んで、おにぎりを取り出したのでびっくりした。
(※持ち込み大丈夫なお店)

「私、おにぎりふたっつ買ってきたんだ、一個あげるね」

Mちゃんはニコニコして言ってきた。Mちゃんは、幅の広い二重も、綺麗な声も、利口な頭も、恋人も、そしてなんと、おにぎりも持っていたのだ…。

「悪いからいいよ」
「いいよ、食べよ食べよ、どっちがいい?」

Mちゃんは、ツナと昆布のおにぎりを見せてきた。

「それはMちゃんが食べたい方を食べた方がいい」

そう返すと、少し思案したあと、

「右と左、どっちがいい?」

と聞かれて

「右」

と言った。


私の手に、昆布のおにぎりが分け与えられた。
申し訳なくて、なんか、もう全部申し訳なくて、リュックにあったポッキーとドーナツとじゃがりこ、全部あげた。困ったように笑ったMちゃんは、かわいかった。



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