人の笑った顔が好き

人の笑った顔が好き。人の笑った顔には嘘がないから。作り笑いはすぐにわかる。「あ、作り笑いだ」ってなって、落ち込む。でも、心からの人の笑み。私、あれが好きなの。

心からの人の笑みは嘘がないから、信用ができる。ほっ、とする。私、間違えなかった！と思う。人の笑みには中毒性がある。とにかく色んな人を笑わせたくて、道化を演じる。人が笑ってくれた瞬間、私は生きていていい人間なんだと許しを得た気分になる。許しを得たその瞬間、満ち満ちとした安堵と治せない虚しさに、私は結局悲しくなる。

今日は、文化祭の開会式だった。クラス企画の宣伝動画を流す。私が作ったやつが、全校生徒に見られる。事前準備の段階で、みーんなクオリティが高くって、ああ、私のやつは大丈夫かとハラハラしていた。暗闇の中に明瞭に浮かび上がるクラス番号。きた、私のやつだ。
構成もよくできてるし、オチもある。緩急にも

音響にもこだわった。さぁ、お願いします。
あれだけ時間のかかった動画は、すぐに再生し終わった。
「おぉー！！！」って声と、「あははは」って声が聞こえた。高揚感で耳が赤くなって、心臓がしっかりと動いていた。熱い気持ちになった。手まで叩いて、笑ってくれていた。嬉しかった。

きっと、みんなは明日には忘れちゃうだろうな。でも私は忘れないし、来年もやりたい。みんなにとっては刹那的な快楽だろうが、私にとっては大事な大事な思い出なんだよ。ちょっと寂しいけど、そういうことなのです。

人の笑みが好きだ。自分のために好きだ。でもやっぱり、素直に、人の笑みが好きな気持ちもあると信じたい。だって、すっごく幸せだから。
後片付けで、閑散としたステージを眺めながら、いつか立ちたいな、なんて柄でもないことを思った。今日、この頃。