深酔いエッセイ3「憶測線上の松本人志」その3

番組の中で、線路沿いの道を、電信柱の着ぐるみを着た二人が、
「でんしーん!」
と叫びながら、全力で走っていた
ただそれだけである
電信柱のひとりは走り終えた後、着ぐるみを脱ぎ捨て、
「やっとれんわ!」
と言った
ダウンタウンの浜田であった
これが私が見た、初めてのダウンタウンであった
この電信柱のネタは、当時あまりにもつまらないものだと感じたが、今になれば、その乾いた感覚と、脳みそを使わないノリが逆説的で、少し笑ってしまう
ダウンタウンがこの番組に出演する中で、松本は中島らもの笑いを認識していたはずである 
後日松本は、吉本の劇場で紳助とさんまのかけあいを見た
その時、松本は思った
彼らと同じ土俵に立っても、勝てないなと
その後の腹にくる松本のネタの根源は、中島らもの影響が大きいと思うが、彼はあくまでも、それに言及することはない
「個性的な人ですね〜」
ぐらいしか言わない
たぶん、お笑い芸人ではない中島らもの笑いを公式に認めることを、松本のプライドが許さないのだろう

もう一つ、ごっつええ感じの終わり方であるごっつええ感じは、とにかくおもしろかった
「こんだけネタ出して大丈夫か?」
と友人と心配したものである
やはりその後、ごっつは突然終了した
ごっつの放映が、プロ野球中継になったのが原因だと松本は言っているが、それはなかろう
穿った見方かもしれないが、ネタが枯渇しそうな時期に、いい塩梅で言い訳がついたのではないか?
最後にぼんちおさむに紳助が言った言葉
「兄さん、ネタ出し過ぎたら、あきまへんで」
リスペクトするこの紳助の言葉は、松本に響いていたに違いない

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