GW映画🎬　「宮澤賢治の父」

1.映画を観たきっかけ

一年前から観たいと思って映画がGWに封切りに✨✨✨
昨年、学校祭で東北をテーマにしたものを発表するということで、私の担当するステージ部門は、修学旅行で訪れた岩手県とゆかりの深い「宮澤賢治」についての劇をすることにした。脚本は自分達でオリジナルのものを作る。生徒ととの共同制作だ。演じることのできる時間は25分間。
賢治の生涯のどの部分を取り上げ、演者、観ている人に共に感動を創り上げることができるか。2週間で脚本まで持っていかなくてはならない。悩んだあげくとりあえず資料や絵本、漫画宮澤賢治などを読み漁る。ポイントに付箋をつけながら広く浅く賢治について知っていくことで大まかなデザインが出来上がっていく。

欠かしたくないポイント

1）雨ニモ負ケズ（全文）　　　　　
2）最愛の妹　トシ
3）父との確執
4）絵本　　誰でもわかるもの
5）岩手の「鹿踊り」
6）銀河鉄道の夜　

こんな準備をしている時に、映画「宮澤賢治の父」の制作の様子が紹介されているのをネットで観た。
だから、この日が待ち遠してくて仕方がなかったのだ。

ちなみに先ほど書いた欠かしたくないポイントは
全て入れることができた。
1）雨ニモ負ケズは最後群読て
2）トシ　永訣の朝
3）父との確執はサラッと
4）わかりやすい絵本として「注文の多い料理店」
5)「鹿踊り」は短く　でも篠笛を太鼓を入れて
6）「銀河鉄道の夜」は背景画として

昨年度を超えるものを演じたいという生徒の強い気持ちはそのままにステージで大成功に終えることができた。
「東北」をテーマにからの「宮澤賢治」だったが
今の時代に必要な考え方が散りばめられていた。

2.今、「宮澤賢治」が響くのは

宮澤賢治の童話や生涯からみるメッセージは、今だから考えてみたい、また、生徒と共に考えたい内容でもある。

○目に見える世界、物質的な豊かさを求めていた時代から少しずつ世の中は変化しているようにも思える。
○ものに満たされても満足できない子どもたち。ものは豊富にあり手に入りやすいのだが、心は満たされていない。充実感を持てていない。LINEで繋がっていても、本音は言えずに実は相手のことを信頼できていない。
○便利な世の中であり、莫大な情報も手に入るこの世界に生きずらさを生じはじめている。疲れてきている。

以上のことはすべての人というわけではないが、結構多いのではと予想する。

🟢見えない世界を信じたい
🟢心のつながりを感じたい
🟢自分の感性の赴くままに行動していきたい
🟢五感をもっと使って創造的にいきたい
🟢自然との共生を考えていきたい
時代も物質的な世界から見えない世界へ。精神性を大事にしていく時代に入っていくのではないかと思う。だから、今、「宮澤賢治」なのでは。
彼の遺した言葉

世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない

農民の生活のことを考え続けた賢治らしい言葉だと思う。

3.映画の感想

この映画は子煩悩の父親で終わらない。
1）父親の目を通した賢治の生涯
2）親というのは
3）家族の絆
4）家族は人生ドラマのキャスト
5）死は全ての人におとずれるもの
6）魂の旅は永遠に続いていく

わたしが考えられるだけのテーマが６つもあり、全て丁寧に描かれている。
役所広司さん、菅田将暉の演技も素晴らしく終始惹きつけられた。
よく病気になった賢治を懸命に看病する父。こんにゃく湿布をお腹に当てるくだりは、最後の方にも出てきて微笑ましい。
質屋である父親のやり方に不満を持ち後継ぎ問題で反発を繰り返す賢治
農民のことを考え進学を目指したい賢治と反対する父
聡明で進学を父に説得し、賢治の良き理解者トシ。童話を書くきっかけにもなった。認知症になり暴れる祖父を毅然と言い聞かせ包み込むトシ。
祖父の死においても何もできないこと
自分は役に立たないものとして
正気を失ったり、宗教にののめり込んだりする賢治。
トシが亡くなってからは、賢治の生活や作家としての才能を認め、和解
していく父と賢治。
父にずっと認められたかった。
生まれた時、手を握った時、立った時・・・・いつもありがとうって言ってたべ
そして、死に際に枕元で駆け込むように朗読する雨にも負けず・・圧巻！

家族に出会ってくれてありがとう！
存在にありがとう！
肉体があってもなくても魂は生き続けるよ。
ほめられなくてもそんなことはどうでも良い。
生きていてもう既に役に立っている。

ありがとうがいっぱい聞こえた映画だった。