民法(親権関連規定)

〈民法親権等に関する規定まとめ〉
民法820条(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

民法821条(居所の指定)
子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

民法822条(懲戒)
親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

民法823条の1(職業の許可)
子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。

民法824条(財産の管理及び代表)
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。
ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

民法827条(財産の管理における注意義務)
親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行使しなければならない。

→親権は親子関係に基づく法的効果のこと。親権には、1、身上監護権(820条)と2、財産管理権(824条)に分類できる。
1、身上監護権では①居所指定権(821条)、②懲戒権(822条)、③職業許可権(823条)、④妨害排除請求権に分類できる。ここで④妨害排除請求権とは、親権の行使を妨害されている場合、親権者は妨害排除を請求できることを表している。具体的には、子が不当に拘束されている時などに行使が可能である。
2、財産管理権では、①財産管理(824条)、②代理権(同条)に分類できる。①財産管理については827条で注意義務の軽減が規定されている。又また、②代理権については818条の3より、父母の親権は婚姻中は共同親権に服することを規定していることから、代理権も共同で行使することになる。

民法819条1項
父母が協議上の上の離婚をする時は、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。

819条6項
子の利益のため必要があると認める時は、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
→親族の範囲は725条より、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族とする。

民法766条1項
父母が協議上の離婚をする時は、子の監護すべき者、父又は母との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

民法797条1項
養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。

797条2項
法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべきであるものが他にある時は、その同意を得なければならない。養子となるものの父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。

民法798条本文、但し書き
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
→これらの条文より、離婚後における単独親権者が再婚した場合には、未成年子と再婚相手との間の養子縁組は、家庭裁判所の許可も非親権者の同意も必要とされることなく、縁組み届けの提出のみで有効に成立する。さらに、養子となるものが15歳未満であれば、単独親権者の代諾によって、子の意思とは関係なく養親子関係が成立してしまう。

民法834条本文(親権喪失の審判)
父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りではない。

民法834条の2第1項(親権停止の審判)
父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。

834条の2第2項
家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。

民法835条(財産管理権喪失の審判)
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について管理権の喪失の審判をすることができる。

民法836条
第834条本文、第834条の2第1項又は前条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、それぞれ親権喪失又は管理権喪失の審判を取り消すことができる。

児童福祉法33条の7(親権喪失宣告の請求)
児童等の親権者に係る民法第834条本文、第834条の2第1項、第835条又は第836条の規定による親権喪失、親権停止若しくは管理権喪失の審判の請求又はこれらの審判の取消しの請求は、これらの規定に定める者のほか、児童相談所長も、これを行うことができる。

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