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沈丁花と、樹木の寿命の話

リッカ・コンサルティングの福田です。
仕事柄、いつもは野菜の話ばかりしていますが、植物全般が好きです。
特に沈丁花(じんちょうげ)の花は、特別に好きな庭木で、毎年咲く時期を楽しみにしています。

今朝見かけた沈丁花

ところがこの沈丁花、昔はよく庭木で植えられていたのに、最近はめったに見かけなくなりました。
うちの同居人は庭師なので、よく庭木の話をします。以前、こんな話を聞きました。

沈丁花の思い出と寿命

あるお宅から「家を建て替えるから、庭木を移植したい」とのご依頼があり、伺ってみると沈丁花の木でした。

庭師が「沈丁花は寿命の短い木で、だいたい25年前後で枯れます。移植も苦手です。植えた時期から考えると、植え替えてもあと数年で枯れてしまうと思いますが、それでも良いですか?」
確認しましたが、それでも構わないということで植え替えをしたそうです。
お話を伺うと、亡くなったご家族の思い出の木だということでした。

沈丁花は3月はじめごろ、春の訪れを告げるように開花します。甘酸っぱい高貴な香りが、ご家族との思い出を蘇らせるのかもしれません。

樹木にも寿命がある

あまり知られていませんが、樹木の寿命もさまざまです。
日本で長命の樹木といえば、代表的なものはスギでしょう。縄文杉は有名ですね。2000年以上経っている木も現存すると言われています。

私は「日本の巨樹・巨木」というサイトが好きで、一時「巨木めぐり」がマイブームでした。巨木=長寿命とは限りませんが、ブナ、ケヤキ、イチョウ、クスノキ、ヒノキ、イチイ、カツラあたりが多いですね。神社の御神木と呼ばれる木も、大体こういった樹種です。

逆に寿命の短い樹木もあります。
日本でおそらく一番寿命の短い樹木はタラノキ。タラの芽をとるやつですね。寿命は10年ほどだそうで、たしかにタラの巨木というのは見たことがありません。

庭木では沈丁花が20年~30年と短く、柿の木は約50年、桜は基本的に長寿命なのですが、ソメイヨシノだけは短命で60~70年と言われています。
沈丁花はかつて庭木としてよく植えられていたのですが、寿命が短いため枯れてしまい、そのまま植え替えられることなく消えていったお宅が多いのでしょう。

庭木に選ばれる木、選ばれない木

庭木にも流行があり、最近は住宅の洋風化に合わせて、オリーブやミモザ、シマトネリコなど洋風の木を植えるお宅が多いようです。
公園や商業施設、街路樹などの低木の植栽は「丈夫で管理がラク」なものが求められるので、ツツジ、アセビ、ドウダンツツジ、シャクナゲなどが多いですね。沈丁花は植え替えを嫌うので、枯れるリスクを考えて選ばれる機会が減ってしまったのかもしれません。

今やすっかり見かけなくなってしまった沈丁花ですが、住宅街を歩いていてフッとあの香りが漂ってくると、何とも良い気持ちにさせてくれるものです。
ちょうど沈丁花の時期です。香りを求めて散歩してみましょう。
(ちなみに私は大体の花の香りが好きですが、キンモクセイの香りだけは大の苦手です)



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