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専門性よりも大事なビジネスキル(暫定的)3つ

漸く昨年から続いてたプロジェクトが落ち着いたので4回目の記事を書きます。私は基本的に中長期の人事プロジェクトと就業規則の作成、労務対応等のスポット案件を掛け持ちしています。このスポット案件の中には社労士法人からの依頼もあります。ある社労士法人は約20人の職員で給与計算、社会保険手続きを行っており、私はこの社労士法人の人事の顧問とスポットで新規顧客の給与社保の導入支援を行っています。社労士法人なのに別の社労士に依頼することは珍しいのではないかと思いますが、依頼される私としてはその理由が痛いほど分かります。この社労士法人の職員だけでなく、私が企業の人事マネージャ代行として給与社保業務をアウトソースしている社労士法人の職員も含めてですが、社労士は社会保険手続き等の専門性を高めることには実に注力しますが、その専門性を活かすためのビジネススキルは軽視しがちな傾向があると思います。軽視、というか多分その重要性に気付いていないという方が正しいのかもしれません。ですので、顧客とのコミュニケーション、及び給与社保業務のアウトソーシングが安定稼働する様に諸々手配することが私に期待されています。今回はその期待値が何かを整理してみようと思います。

①顧客の期待値に合わせたコミュニケーションをすること
給与社保業務がメインの社労士にとっては重要なので、顧客に細かい説明をしたくなります。それが仕事とはいえ、やり過ぎると専門性をひけらかしてるだけと評価されかねません。例えば中小企業の社長と話をするのであれば、当たり前のことが当たり前に出来ていれば、専門的な話も詳細な説明もそれほど興味はないでしょう。それよりも「この手続きを完了させれば、法律通りの運用です。安心してください。」という一言が嬉しいでしょう。他方、大企業の給与社保業務の担当者は、社内責任者として詳細を把握したいと考えるでしょうから、この場合は詳細な説明が求められるでしょう。この様に相手に応じて説明の程度やポイントを調整することだけでも簡単に顧客満足度を上げる事が出来ます。これを踏まえると、提案書の作成も同じだと思います。提案書には顧客が知りたい情報を整理し、ストーリーとして組み立てますよね。給与社保の提案書であっても読手に必要な情報が何かを把握し、情報の粒度を調整するのと同じです。

②可視化し、共有すること
社労士は文系の方が多いので言葉や文章で説明しようとしますが、図やチャートを使用して可視化すると説明が格段に分かりやすくなることが多々あります。サイトや本には考えを整理するためのフレームワークが多々紹介されていますので、幾つか覚えておくと自分の頭も整理出来ますし、それを顧客に見せることで考えの共有も計る事が出来ます。私は顧客先に訪問中に何か相談されて、その解決策が理解し難い場合には、その場でA4のレポート用紙にペンで図を書いたものを使用して説明します。私が初めて可視化する重要性を知ったのは「考える技術・書く技術」という本でした。この本、直接的に可視化することを題材としていないのですが、相手に伝えるためにはどの様に考えて、どの様に文章化するのかという過程とロジックツリーの効果が理解出来ます。社会人になってから読んだので細かい内容は忘れましたが今でも読んで良かったと思える一冊です。私はロジックツリーとマインドマップ、それにプロセス上の課題を解決する場合にはフローチャートをよく書きます。周りの人からは「またお絵描きですか。」と言われてます。

③プロジェクトマネジメントすること
「いつまでに」「誰が」「何をする」ということを顧客も含めた関係者間で決定し、スケジュールに落とし込むということは言うまでもないのですが、いざプロジェクト(ここでは給与社保業務の導入)が始まるると、週に1度とか定期的に進捗確認を行い、それまでの課題の洗い出しと解決を行うというプロジェクトマネジメントをしない社労士や職員が少なくありません。予定した作業を予定した品質で期日までに完了することがプロジェクトの目的ですから、スケジュールを作ることは大事ですが、それ以上に期日までにやり遂げる様に管理することが重要なのです。でも、プロジェクトが始まるとスケジュールを見ることがなくなり、場当たり的に作業を進める。「今年は頑張ろう!』と張り切って年初に立てる1年の計画は出来なくても影響ないかもしれませんが、これ、ビジネスですから完全にやりらないと意味がない。何となく進めて、結果として何となく完了する。スケジュールはゴールまでの道筋ですので、ここから外れて作業すると顧客は置いてきぼりにされます。なので、どんなに「プロジェクトは完了しました。これで大丈夫です。」と言ったところで、顧客は何がどうなったのか納得出来ないので信頼は得られないと思います。また本の話になりますが。私は若い時に「世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント」を読んでプロジェクトマネジメントの基礎を勉強しました。当時はプロジェクトマネジメントの本が少なかったのでこの本を新卒の子たちにも勧めていました。今となっては、もっと面白そうな本がありそうです。

改めて考えると、私は「ビジネスパーソンとして普通に普通のことをやっている」だけで、社労士業に限らず普通の事業会社で職種を問わずに必要とされるスキルだと思います。でも、私の様な外部の社労士にわざわざ依頼するということは、そこそこ価値があるのかなとも思います。そんな訳で私の事務所は社労士資格よりもビジネススキルがある人材を優先しています。

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