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8つのサッカー⚽️不可抗力の人達

先日、”7つのサッカー” を体験・見学してきました。福祉の仕事1年生で、まだまだ素人な私なりに体験し、考察したことをアウトプットさせて頂きたいと思います。

⚽アンプティサッカー(切断障がい)
事故などで腕や足を切断した方達のサッカーです。まれに生まれつきの病気などで切断することもあると、私にアンプティサッカーを指導してくださった方が教えてくださいました。

・まっすぐ普通に直立し、腕の長さを見て杖の長さを調節します。
・両腕に杖を装備します。スキーのスティックのような軽くてコンパクトなものですが、上腕のあたりがほぼ輪っかのようになっていて、安定感があります。昔の松葉づえのような、猫背になって脇の下で支える感じではなく、手のひらでしっかりグリップを握る感じです。脇の下に当たる感じは全くなく、手の握りと腕の力で支えるイメージです。
・疑似体験として、利き足の右を地面につけたままで左足を浮かせます。
・まずは、ドリブル。両腕を支えに唯一の右足を浮かせて軽くキック。もうすでにバランスを崩してしまいます。

実際にアンプティサッカーの試合を拝見しましたが、なんというスピード感。おそらく30〜40代くらいの男性で、片足でしたが、体幹も素晴らしく全然倒れない。移動も早く、おそらく腕力も相当なものだと思われます。きっと腕相撲をしたら負けてしまう人たちも多いだろうなぁなんて考えていました

⚽CPサッカー(脳性まひ)
特殊な装具をつけて体験しました。ご存じの方も多いと思いますが、妊婦さんの疑似体験をするために腹部に重たい重量を乗せたベルト状の装具がありますよね。あんな感じです。

・CPの場合は、足がつま先立ちになるような硬い素材でできた装具がベルト状になっていてそれをしめます。
・次に上腕を胴体にくっつけるための幅広で大きいベルトをします。
・その状態で両手に杖をついて、体を浮かせてボールを蹴るんです!
普通に歩くだけでもバランスをとるのが大変で、今にも転びそうになります。

⚽ブラインドサッカー(視覚障がい、全盲)、ロービジョンフットサル(弱視)
黒いアイマスクを使って体験しました。3メートルくらい離れた場所に、鈴が中に入ったサッカーボールを持った方が立ちます。アイマスクをして、鈴の音がする方へまっすぐ歩くだけなんですけど、急に怖くなります。目を開けているのか閉じているのか分からなくなり、暗闇の中で、ただ生暖かい太陽のぬくもりがある。その果てしない暗闇の先の方に鈴の音がするだけ。もし急に虫が飛んできたり、誰かがぶつかってきたりしたらどうするんだろう・・・何もできない。

次に、ボールを足元においてゴールに向かって蹴ります。私は一度アイマスクを外して位置確認をしてから、また目元を隠して蹴ったんですがそれでも上手くいきません。下手したらボールの上のほうをかすって転んでしまいます。かなりハイレベルです。

⚽電動車いすサッカー
・まず左側から電動車いすに乗るのが鉄則です。理由は、操作するジョイスティックが右にあるので、万が一乗るときに当たって事故につながらないためにも左側から乗ります。

・つぎに大きめのしっかりした太めのベルトを胴体に巻いて、そして電源を入れます。

・直径1メートルはあろうかというくらい大きなサッカーボールを蹴るというか、電動車いすの周りに装備してある「枠」に当ててプレイします。右に振ったり、左から振りかぶったり、1回転したり、行き過ぎてしまうのでジョイスティックの繊細な操作が難しいですね。

私は今回初めて電動車いすに乗りました。ちょっと触れただけですぐに大きな電動車いすが動きます。理由は、指の動きの力が極端に弱い人でも簡単に操作出来るためです。ちなみに”上手な人”とは、ゆっくり電動車いすを動かすことができる人だそうです。確かに、ちょっと触れただけでグィーンと動くので、これは難しい!私は自転車も、車も運転はしますがそれとは訳が違います。もしかしたらPCなどのゲームをやってきた人にとっては操作しやすいのかもしれないなと思いました。とにかく、とても繊細な操作です。

⚽ろう者サッカー(聴覚障がい)
hinomarc(ヒノマール)をご存じでしょうか?世界初、ボールの芯が見える室内練習用ボールです。その体験をしているときに偶然、聴覚障害の少年とご一緒しました。
はじめは私もスタッフの方も気付きませんでした。普通に無口な中学生くらいの少年なのかと。でも、何かを言おうとして喃語(なんご)のような言葉を発した時に初めて気づきました。するとスタッフの方がスマホの便利グッズを持ってきました。しゃべった言葉をすぐに文字おこししてくれます。これはいい!

ヒノマールをつかうと、リフティングが上手くなるということです。なんか不思議なご縁ですがその聴覚障がいの少年と私は二人っきりで30分くらい一緒にリフティングの練習をしました。親子ほどの年齢なので私なんかより彼が練習したほうがいいと思い、ボールをできるだけ渡してたくさん練習してもらいました。

ビフォーアフターで検証したら、私は2回だったのが5回になりました(笑)
少年は確か9回位だったのが30回位になっていました。すばらしい!

なんとなく言いたいことは分かるし、今は便利なアイテムがあるのでそれを駆使すればなんとかなるなと。これは海外の方とのコミュニケーションにも通じるのではないかと、ふと思いました。

⚽ソーシャルフットボール(精神障がい)
⚽知的障がい者サッカー
私が今働いている職場はグループホームです。基本、身体障がい者以外は受け入れています。精神・知的・発達障がいなど。もしかしたら私がまだ知らない何かがあるかもしれません。(詳しくは言えませんが小さな方達もいらっしゃいます)
統合失調症などの方とは施設でしかお会いしたことはありませんが、いざフットボールとなるとかなり難しい気がします。メンタルの状態に波があるようなので、スポーツができるくらいに安定している事はもしかしたらあまりないかもしれないからです。もしあったとしても直前でプレイできなくなることも考えられると思います。

✅参照、JIFF(日本障がい者サッカー連盟)

⚽”8つ目のサッカー”とはつまり私たちにとって身近な、世界的に長年にわたり盛り上がっている定型発達(いわゆる健常者)のサッカーではないかと思います。
中にはいろんな病気や障がいや戦争の影響を受けたりしながらも”8つ目のサッカー”をしている人もいるようです。もちろん私もそうですが、そもそも完璧な人なんて一人もいなくて、trade-off(トレードオフ)なんでしょうね。

ちなみに、うちの子供たちも小学生の頃からサッカーをしていて私も付き添いでいろんなグランドに通いました。埃っぽいでこぼこした土のグラウンドから、人工芝も。そこに敷き詰められている黒いゴムのチップはしょっちゅうソックスと一緒に洗濯ものから出てきました(笑)まれにJ1チームのイベントで天然芝でプレイすることがありましたが、やはりボールを蹴る感覚が全然違うそうです。天然芝だと、土で練習するより3倍上手くなると、ジュニアユースの監督がおっしゃっていましたね。

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7つのサッカー体験会場のすぐ横のピッチで
SO(スペシャルオリンピックス)のアスリート達の親善試合も行われ、私はボランティアとしてサポートさせて頂きました。アップを一緒にしたり、ボールを蹴る相手をしたり・・・体が硬いし結構大変でしたが徐々にこれからも精進します(笑)

一試合目はSOのチーム(知的障がい者)対 聴覚障害の方達でした。

<知的障がいのアスリート達>
・声の指示(短く分かりやすい言葉で)は伝わる
・体は元気
・ルールの理解度は低いのでカテゴリーによってはオフサイドがない

<聴覚障がいのアスリート達>
・声の指示が出来ないので指差しや手話でゲームメイクをする
・体は元気
・ルールは完全に理解しているし、戦術も駆使できるので、知的障がい者と試合をすると圧倒的に有利になる

二試合目は大学生チームとさせてもらったので、
知的障がい者 VS 定型発達(健常者)でした。 
これは完全に気を使ってもらって、ディフェンスはゆるいんですがゴールはなかなか決めさせてもらえないという・・・そこはやっぱり点は取られたくないんでしょうね(笑)

いつもは養護学校の体育館でサッカーの練習をしているSOメンバーですが、大会で青空のもと広い芝の上でボールを蹴るというのは、見ていて清々しい気持ちになりました。たまにこういう刺激があると日々の暮らしも楽しくなりますね。

そして、いろんな障がいの方達に触れ合ってみて、なんだか日々の細かいことなどはどうでもいいなと思いました。子供の成績がどうとか、近所迷惑がどうとか、職場の人間関係とか・・・

目が見えなかったり、耳が聞こえなかったり、事故で足を失ったり、病気で体半分動かなくなったり、精神的に病んでしまったり、生まれつき脳に障がいがあったり・・・
不可抗力で苦しんでいるいろんな人達がサッカーを一緒に楽しんでいる事自体が、もうそれでいいよね!ていう。

細かいことはどうでもよくてとにかく楽しもうよ!って思います。
こうやって気付かせてもらえた事は、私自身の生活にも落とし込んでいこうと思います。
これからもいろんな方達と助け合いながら楽しんで生きていきたいと思います。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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<Special Thanks>
写真の使用許可を出して頂きありがとうございます。
責任者らしき貫禄のある方、男前な一言をいただいて感動しました。
SOのボランティアをしている者としか言わず、必死で話していただけの私に許可を出して下さって、感謝しています。


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