「時計塔」【詩】
「題:時計塔」
うずたかく積まれた疑惑の中
光が見えない森を歩き続ける
蛇ににらまれた獲物のように
真っ赤な絶望が体を走る
確かなものを求めてさまようが
心の像はふと消えて
視界がずっと遠ざかり
音がぶつりと立ち消える
生きているのは確かだけれど
幼き時代の美しき生は
もはや今では失われている
こんな冷たいうごめきが
段々段々日常になって
そうしてふと目を上げると
世界の色が失われていた
遠くの街の時計塔の針は
それでも刻々と時を刻み続ける
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