君のために……ね?

『僕は君のために生きる。だから君は僕のために生きて!良い?』

懐かしい夢を見た。
5年前、僕の親友が自殺をしようとして止めた時の夢…。
今年は高校受験があって周りは勉強に励んでいる。
今日もまた会える、その親友と笑って話せる、それが僕の生きがいにもなっていた。
多分アイツもそうだろう。
いつも支え合っていた。
夏休み、遊び回って終盤にお互い宿題に追われる。
終わり切るはずもなく怒られる。
10月のテストでいつも通り競い合う。
いつも通り総合点は同点だ。
そろそろ進路を確定しなけりゃならない。
志望校も第一希望は同じだが、そこしか狙わないため第二希望は異なった。
そうして受験を受けて、僕は見事第一希望、滑り止め共に受かった。
だが、アイツは滑り止めしか受からなかった。
悔しかった。
でもクヨクヨして貰うとお互いのちに困る。
その後幸い、一般入試は通った様だ。
そうして同じ制服で同じ学校の門を同時に通る。
入学式が終わって、クラス分けで残念ながら分かれてしまった。
そうして、いつものように晩ご飯を食べて寝た。

そうして目が覚めると親友が目の前にいた。
親友が『君は僕のために生きてくれる?』と聞いてきた。
僕は『何言ってんだ!当たり前だろ!親友だから』
と返した。
すると親友の後ろにトラックが見えた。
一瞬にして2人して轢かれる。
と、同時に立っている地面が無くなる感覚、落ちて風が下から逆らってくる感覚、恐怖で身体が痺れる。

「いてぇ!」
気づくと自分の部屋のベッドから落ちていた。
スズメがさえずる。
気づくと、ほおで涙が乾いていた。
直感で分かった。
昨日アイツに不幸な事、いや多分この世に居ない。
昨日死ぬほどの事件、おそらくトラックに轢かれたのだろう。
痛かっただろう。
悔しかっただろう。
訃報は朝一番に届いた。
アイツはいつも塾に行っていたから多分その帰りに…。
次の日、意味もなく学校に朝早くから行って誰もいない教室を眺めたら、屋上から景色を眺めた。
気づくとフェンスの向こうに立っていた。
スッと落ちたかと思うと、声が聞こえた。
親友の声で『約束を破らないでよ!』
「いっつぅ〜…」
またベッドから落ちた。
リビングに行くと母が驚いていた。
「あんた、学校に行ったよね?」
結局その日は休み、お墓で手を合わせた。
「ごめん!約束必ず守って見せるよ!」
『約束だぞ!』
そう聞こえたのは事実だろう。

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