筆箱の中

「なぁ…なぁ…お前今日出番無かったよな」
「そりゃまぁ、年の初めが大仕事だから…そろそろくると思うけど…」
「ようやく学校だぞ」(外から)
「お…そろそろ出番かな…」
目の前が開ける。
ここは学校の様だ。
早速飛び出したのはマイネーム。
教科書の上で踊り出す。
3年目のベテランだ。
次に飛び出したのは2Bの鉛筆…って…あれ?
出番が来たのは鉛筆削り。
筆箱直属の部下だ。
ただやる気は無い。
そうして廊下に飛び出して行った。
「あーあ行っちゃったよ」
「しっかりしろよ〜(笑)」
「あんただよ‼︎」
「あ!帰ってきた!静かに静かに」
そうして鉛筆が踊る。
と…手が止まった。
と言う事は消しゴムの出番だ。
「痛い痛い…ちぎれちゃう〜」
「わー!」
「2つになったな(笑)」
「笑えないよ〜」
そうして賑やかな文房具たち。
すると机の中から水のりが出てきた。
「お前らうるさいよ…出番の少ない俺たちのことも考えろよ」
「そんなの知るか‼︎」
「ゴホッゴホッ」
「うわー最悪…びちゃびちゃだよー」
ノートが叫ぶ。
「我慢しろよ」
「いや〜なんか…
胎児調べてるみたいでいや〜
ページがくっつくし〜」
今度は教科書を開くとラインマーカーが踊り出す。
しかし調子が悪く掠れ声だ。
「ちょ…無理して出しとう無いねん…やめt…」
「あれ?ラインマーカー?死んだ?(笑)」
「ギリ…」
「あいつは…休み時間に捨てられるかもな(笑)」
そうしてラインマーカーの死を噛み締めて筆箱に帰った。
多分家では開かれないであろう…。

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