Strawberry ShortCakes

 独断と偏見だが小さい頃はおじさんになると甘い物は食べなくなると思っていた。ケーキというのは特別な日に食べるもので、中でもいちごのショートケーキは王道中の王道であるのは間違いない(と思っている)。
 福岡県人としてあかい、まるい、おおきい、うまいあのいちごを外すわけにはいくまい。とはいうものの商品化されるいちごは日持ちを良くするために早ちぎりされたりする。熟した状態で出荷すると店頭で色が悪かったり即廃棄になったりするからである。
 寒い時期はクリスマスシーズンに向けて無理やり生育を促す。暖かい時期になると色づきは早いが理想となる味ののり方にならないまま出荷されるという板挟みを以前教えてもらった。生クリームたっぷりの上にひと粒のいちご。これを食べるたびに思い出す。
 ケーキの種類も昔と比べれば商品の種類が増え続け、選ぶ側としては喜ばしいことである。しかしながら、売り切れ御免のケーキ屋さんでも完売して毎日を終えるところがいったい何件あるだろうか。生物ゆえの廃棄は発生しているだろう。
 私は小売業に従事していて、会社のルールとはいえ心を無にして生鮮物の廃棄を毎日のようにしている。命の尊さを熱弁された小学校の道徳教育とは正反対のことをしていることに罪悪感があるのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
 何にせよ現状に嫌気が差しているし、一方で他業種の競合、競争で美味しい思いをしている自分がいると思うとまた嫌になってきた。
#創作大賞2024
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