陽炎

 電車に乗っていて「スマホ」をいじっていない人を見つける方が難しくなった。私は天邪鬼なので、なるべく使わないぞと決意を新たにしていると「ピロン」とLINEかメールの通知が。なるほどこれでは使わない方が難しい。今度は電源を切って家に置いてこよう。
 難しいそうな顔をして何を操作しているのか。皆トレーダーかなんかかもしれない。以前私が学生だった頃ウォークマンやらアイポッドが流行っていた頃の光景によく似ている。天邪鬼と言いながらミーハーでもあるので電車内ではイヤホンをして音楽を聴きながら視線や雑音を封じていた。もちろん自分で思うほど見られているはずもないのだが。
 この常に「何か」をしていなければならないという不安、実は暇であることが苦であるという弱点を見事に突かれた気がする。うん、スマホ憎し。
 確かにスマホひとつあれば大概のことは解決するし、居心地の悪い暇を味わうこともない。コロナ禍でマスクを着け、話すこともままならない空気が漂っているのもあるだろう。
 ところで、私はある目標を掲げている。「脱電子機器」である。ただ、現代を生きるうえで触れないことは限りなく難しい。だからこそ「ポツンと〇〇」の番組を見て「いいな〜」と思ったりするのかもしれない。便利を捨てて不便な生活へ。不便な生活から心の快適さを。何かしらのテーマが決まったみたいだ。
#創作大賞2024
#オールカテゴリ部門
 

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