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今日もaudible 第18回: The Wintringham Mystery by Anthony Berkeley その2

audible uk の会員ですが、リンクは日本版のaudibleにしました。
audible uk については下記をご参照ください。

今日もaudible: ところで audible uk って何?


今回の記事は今日も audible 第17回の続きです。


The Wintringham Mystery: Cicely Disappears


上記の朗読を聴いていて耳にとまった英語表現です。

引用は私の耳で聴き取ったものですので、正確に知りたい方は書籍でご確認ください。

表紙が同じなので、私が audible で聴いたものは上記を朗読したものだと思います。

上記のkindle版よりもさらにお安いkindle版もあります。




companion


companion が出てきました。登場人物のひとりが companion としてお屋敷の奥様に仕えています。

これを聴いてすぐに思い出したのがダフネ・デュ・モーリアの「レベッカ」です。主人公の職業が paid companion でした。


この映画が好きすぎて、一時期、数週間にわたって毎晩DVDで見ていました。

Mrs Danvers 怖い ...

戻りましょう。

映画を観たときに「paid companion?そんな仕事あるの?フィクション?」と不思議に思っていました。

原作をaudibleで聴いたときにもやはりcompanionでした。

あるのですね、この職業。

ウェブ版 Longman Dictionary of English には companion の4番目の定義として
'someone, especially a woman, who is paid to live or travel with an older person'
とあります。

なるほど。

若い頃よくアルバイト情報誌で「コンパニオン女性募集」というのを目にしましたが、仕事の内容が違うようです。

などと書いていると「そもそもコンパニオン女性募集のコンパニオンに該当する定義はどれか?」と気になり、ふたたびウェブ版Longmanにざっと目を通しました。

定義ではなくコロケーションのところに興味を惹かれました。

a dinner/dining companion (=someone you have dinner with)
例文:We saw him in the restaurant with a very attractive dinner companion.

a drinking companion (=someone you go out with to drink alcohol)
例文:George was out again with his drinking companions.

「食事相手」とか「飲み仲間」と言いたいときにcompanionを使えばいいようですね。例文では companions と複数形になっていますから、ジョージには飲み仲間が複数いるのでしょう。


read


英語を習い始めたらすぐ覚えるものの一つが read です。

ずいぶん前に Julian Barnes の The Sense of an Ending を聴いたときに、readを大学の専攻を表現するときに使うことを知りました。「専攻する」と言えば major in しか覚えていなかったので、驚いたものです。

そのあとで他の作品を聴いていた時にも、同じ意味で read が出てきました。

「大学でその専門分野の論文や書籍をたくさん読むからかな」と、それなりに納得しました。

そして今回です。

登場人物の名前のつづりがわからないので、カタカナにしました。

ミリセント proceeded to exercise the lender's privilege of reading a severe
lecture to the borrower.

Anthony Berkeley, Wintringham Mystery, chapter 2

Cicelyに懇願されてミリセントがお金を貸してあげるシーンです。

「貸し手の特権である借り手への説教へと進んだ」というわけで、readの定義ですが、ジーニアス英和大辞典に下記の記載がありました。

[SVO1O2]〈人が〉O1〈人〉にO2〈説教・講義など〉をする

ジーニアス英和大辞典電子辞書版

教授が用意してきたものを読みあげるように講義をするので 'read' なのでしょうか?説教も決まり文句が続きますよね。


give way


前述のミリセントが、ある知らせを受けてショックで倒れてしまうのですが、のちにそのときのことをこう言います。

It was silly of me to give way like that.

Anthony Berkeley, Wintringham Mystery, chapter 17

'give way'も複数定義があります。

ジーニアス英和大辞典電子辞書版では4番目の定義として「〔…の重みで〕崩れる、こわれる〔under〕;〈健康が〉だめになる」とありました。これでしょうか?

リーダーズ電子辞書版では「〈心が〉くじける、ひるむ;悲嘆に暮れる:〈感情などに〉負ける、たまらなくなって…する〈to〉」などがありました。

ひさしぶりにGoogle翻訳に引用部分をかけてみました。あいかわらず期待を裏切りません。

Google 翻訳算出訳
そんなふうに道を譲るのは愚かでした。

確かに give way にはこの定義もありますからね。仕方ないですね。

DeepLもまずは上記と似た訳文を算出してきます。

DeepL翻訳算出訳
あんな風に道を譲ったのは愚かだった。

DeepLの場合「道を譲る」に変わる訳としてたくさんあげてはきますが(屈服する、譲歩する、降参するなど)、引用場面に適したものは出てきません。「ショックに屈服して倒れ込んだ」と解釈すればいいでしょうか。

get about


These things get about, sir.

Anthony Berkeley, Wintringham Mystery, chapter 1

主人公 Stephen の valet であるブリッジャー(つづりがわかりません)は、Stephen が何を言っても驚くことがありません。
「自分は今日の午後からfootmanとして働き始める」と Stephen が伝えても、まったく表情が変わらないのです。

どうしてそうなんだ、と Stephen に問われてブリッジャーが答えたのが引用部分です。雇い主である Stephen が今日からどこのお屋敷でなんの仕事をするか、有能で忠実な valet であるブリッジャーはすべて了解済みなのです。

ジーニアス英和大辞典電子辞書版では3番目の定義として「〈ニュースなどが〉(口伝えで)広まる」とあります。

Longmanのウェブ版では 'if news or information gets about, it is told to a lot of people' とありました。わかりやすいですね。

このLongmanに出ていた下記の例文を、またもや翻訳アプリにかけてみました。

例文:I don’t really want this to get about.

Google 翻訳算出訳
「本当はこんなことになってほしくないんです。」

DeepL算出訳
「私は、このことが話題になることを望んでいない。」

DeepLのほうはこの定義でのget aboutを学習済みのようです。

「この小説はイギリスの話だから get about だけど、アメリカ英語なら get around かも?」と思い立ちました。

look about と look around のように、about と around の違いがあっても意味は同じということがよくあるのです。

ジーニアス英和大辞典を確認すると、get around の定義の1番目に get about と記載されていました。

そこで再実験です。

さきほどのLongmanの例文の get about の代わりに get around を入れて、

I don’t really want this to get around.

を上記の翻訳アプリにかけました。

Google翻訳算出訳
「こんなことは絶対に避けてほしい。」

DeepL算出訳
「私はこのことが広まることを望んでいない。」

こう並べるとDeepLのほうが優秀なアプリのように見えますが、常にそうというわけではありませんので、ご注意ください。引用文 'These things get about, sir.' で試してみるとどっちもどっちだということがお分かりになると思います。

see about


' . . . Pauline, my dear, you'd better see about breaking your engagement with the creature.'
'I've already seen about it, Lady Susan,' Pauline smiled.

Anthony Berkeley, Wintringham Mystery, chapter 15


Stephen とブリッジャーが働き始めた屋敷の主である Lady Susan と、この屋敷で起きた事件を主人公の Stephen とともに調査する Pauline の間で交わされる会話です。

Pauline は婚約者とともにこの屋敷にゲストとして滞在しています。

その婚約者がとんでもない人物だということが、事件を探るうちにはっきりしてきますし、そもそも Pauline はこの相手が好きで婚約したわけでもありませんでした。

また Stephen に対する自分の気持ちに正直にもなり、Pauline はすでに婚約破棄を婚約者に伝えてあるのです。

Lady Susanはそのあたりを知らないので、あんな輩(やから)との婚約は破棄しなさいとアドバイスしたのが引用の場面です。

see about の定義ですが、電子辞書版ジーニアス英和大辞典では「…を手配する、処置する」、see about doing だと「…するよう取り計らう」とあります。

「取り計らう」と言えば、受験生のみなさんは see to it that 節の形を無理やり暗記すると思いますが、see about / see about doing の形でも使います。

ウェブ版 Longman の定義も挙げておきましょう。

see about something 1番目の定義
  to make arrangements or deal with something
  例文: I’d better see about dinner.
  see about doing something
  例文:Claire’s gone to see about getting tickets for the concert.

長くなり過ぎました。

ではまた。


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