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TSS とか CTL の落とし穴について~2/3

前回の記事ではTSS も CTL もそのままでは当てにできないケースがあるかもしれない、という記事をあげた。
であれば、コンディショニングにはどう取り組むのがいいか。

2,【個別性の原則は全てに】
練習ボリュームにせよ疲労度にせよ、人によって感じ方も違うし、同じ人でもそのときどきで変わっていく。優れたアスリートほど「もっとやらなきゃ」と「まだやれる」 を混同してしまうことは多く、アレックスハッチンソンはやらせ過ぎないのがコーチの一番大事な仕事と述べている。

このため、計画的にトレーニングを進めていくうえでは客観的な数値管理は非常に有効で、活用のレベルの差はあれ欠かせないものと考える。
しかし、統計的な処理により導出された係数を用いた万人むけの指標は、個々の特性やレベルなどを考慮していない。トレーニングの内容、ボリューム管理およびコンディショニングでも利用にあたっては個別性や状況を考慮しなければならないと考える。
年齢、性別、個々人の特性、 環境、 etc でその指標をどう使うか、の工夫が求められる。

ベテランで高い年齢になると CTL(新たな TSS を用いたものだとしても)は低くなったとしても強度の高い質のよい練習を優先しなければ、短時間パワーは大きく衰えてしまう人が多い。これを CTL80 以上に拘ってボリュームを追うのは強くなるには妨げになることがある。
ただそれもその人によって全くことなる。女子ベテラン選手でも高強度とボリュームを両立して強くなることだってあるだろう。

ダメージや回復についても長時間乗ることでダメージが大きい人、 高強度でダメージが大き人が居る。
自分はケガで長期離脱してからのリハビリで、 高強度短時間はコンスタントに出来たが、スローペースでも長時間はきつかったのを覚えている。同じ人でも状況によってオーバーワークになる要素は異なる。

このように人それぞれ違うため、 コンディションを管理には、心拍や睡眠時間、主観的な疲労度など様々なファクターを組み合わせることが重要であろう。
試行錯誤しながら記録をつけ、それを見返すことで、自分がどのようなトレーニングをどのくらいするとパフォーマンスが上がるのか、コンディションが下がるのか、等々の自分の特徴を把握することで指標やその数値をより有効活用できる。

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3, 【心拍を見直す】
パワメの黎明期~普及しだしのころ 「パワーか心拍か、 どっちなんだい・・・正解は、パワーー」「より条件に左右されないパワーを指標にするべし、ハツ。」 という考え方が流行った時期がある。今でもそれに近い考えはある。
自分もなんとなく「そうなんだ、 パワメあれば心拍計は要らないのか」 と心拍を見なくなったり、心拍センサーを付けなかったりすることも多くなっていた。

しかし、オーバートレーニングで調子を崩してからはコンディショニングに積極的に心拍を用いている。
個人的に目安にしているのはレースのダウンやウェイトコントロールにために Zwift のBペーサー※をやるときの心拍数とそのボラティリティである。

疲れが込んできたな、 というときには普段より心柏が 3~4bpm ほど高くなる。 またそういう時は不安定で心拍が上下する。 平日にそうであった週の週末合同練は終盤にタレがちである。心拍が高い時点でスパッとやめればいいのかもしれないが、 何事もなく復調することもあるので、難しい。
心拍が安定しないが平均は低めのとき、 これは逆に調子がいいことが多い。 出来るだけBペーサーのちょい前をキープしていると登り下りでも心拍の変動は±2程度に収まるのが普通である。たまに±4bpm 程度のボラティリティあって、しかし平均は普段より1~2bpm 低いときがある。こういう週はレースでも調子がいい。

いろいろな負荷のかけ方と心拍の相関をみてきて、 ういうやり方や見方を検証している途中である。決め打ちではない。

※Zwift の Bペーサー
Zwift はオンラインゲームの仕組みを用いたヴァーチャルサイクリング&ランニングアプリ。パワー、パワーウェイトレシオをもとに仮想世界での走行速度が変化する。
Bペーサーは正確にはペースパートナーの B. Brevet さんで、 登りも下りもパワーの上げ下げ少なくコース一周平均が3.3w/kg になるペースをずーーと維持して 24h 走り続ける鉄人。全身が緑に光っている。

心拍はその人の個別性に沿うものであり、再現性の高いやり方でパワーと心拍数の相関を比較するのはコンディショニングに有効だと考えられる。自分なりのパターンを見つけるのがいいと思う。

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