呼子つーりんぐ
「どうしたんや、その頭」
頭を丸めた僕は、尾頭さんに言われる。
「すっきりしたかったので」
なにもかにも嫌になった僕は、バイクで島根のばあちゃん家に逃げ、そこで坊主にした。
「まぁいいたい。そしたら行くぞ!」
ハーレーを先頭に、4人で唐津を目指す。
「もみあげ君、走り心地はどう?」
ばあちゃん家からバイクで帰るのが億劫になったので、バイクを置いて電車で帰ってきた。今日はレンタルバイクである。
「めちゃくちゃ楽です。2気筒いいっすね!」
よくわかんないけど、バイクは単気筒や2気筒などに分けられ、気筒が増えるほど走りは楽になる。
「そしたら、ここで休憩や」
バイクをとばして1時間ほど、ようやく映えスポットに着いた。
綺麗な景色に心が洗われる。
「今日はもみあげおるのに雨降らんかったな」
そうだ。僕がツーリングに参加すると雨が降るのだが、今日は一面晴れ渡っている。
「つまらんな」
いや、降らない方がいいだろ。と、心の中でツッコむ。
一同、イカの活き造りを求めてお店へ。
「ここ最近は風が強いから活き造りはないよぉ」
お店のおばちゃんにそう言われる。
「もみあげのせいやな」
何かあれば全て僕のせいになる。
「いやいや、風のせいっすよ」
活き造りはなかったので、イカの天ぷらを食す。
天ぷらがドカンと来た。イカ多めだったのでかなりお腹いっぱいになった。
「やっぱり活き造りの方がうまいよなぁ」
相変わらず文句ばかりである。
「やっぱり活き造りですよねぇ」
「活き造りたまに食べに来るんですけど、うまいですね」
他の2人も活き造りに未練たらたらである。活き造りがないなら、自分で釣ってくればいいじゃない。
一同、海中展望台を目指す。
「尾頭さん、サザエ食っていいですか?」
食いしん坊さんがサザエの壺焼きをアピール。
みんなで食べてみたのだが、
「おまえ、サザエの食い方もわからんのか!」
爪楊枝を渡されたが、食べ方がよくわからなかった。店員さんに身を出してもらい、食べたところ、濃い味付けで絶品であった。サイダーがすすんだ。
「よし、唐津よって帰るぞ」
唐津城を横目に、一同帰路についた。
バイクにみんなで乗ると、清々しい気持ちになれた。道中、仕事の話を一切しなかった。そんな計らいもありがたい。
基地に着いてから散々仕事論を諭されたのだが…。
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