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浪人記

 僕は大学受験で浪人を経験した。現役は理系だったのだが、数学理科がまるで分らなかった。文転することにした。

 志望校は福岡の難関国立大に設定した。部屋の壁に「〇〇大学絶対合格!」と掲げておいた。目標を目に付くところにおいておくと実現しやすいらしい。

 授業が始まっても同じクラスの人とはまったく話さなかった。人見知りというのもあるけど、話す時間があれば勉強しろよ、と孤独を貫いていた。イタい。

 講師には質問するようにした。はじめはかなり緊張したけど。教科ごとに仲のいい講師がいると勉強がしやすい。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。

 授業は面白かった。初めて勉強が楽しく感じられた。予備校の授業中に居眠りしたことはなかったはず。居眠りするとガチギレする講師もいるので気を付けよう。

 夏期講習は自分で講義をとって管理しなければならない。一日に一講義は受けるようにした。他の予備校生も受けに来るのだが、仲のよかった友達と再会したときは、孤独を貫いていただけに気分が晴れやかになった。一人は友達を作った方がよさそう。

 後期はクラスメンバーが多少入れ替わる。積極的に話しかけてくる男の子が入った。友達も多い。スーパーコネクターというやつである。僕も彼に巻き込まれ、孤独な勉強モードに終止符を打った。

 後期はあっという間に過ぎ、センター試験を迎える。試験当日は二度目の受験ということで落ち着いてのぞむことができた。家族からメッセージ付きキットカットをもらったのだが、日々応援してくれていたことを改めて実感した。力になった。センター試験では自己最高点を更新した。志望校を受験することに。

 私大入試。関西の有名私大をいくつか受けた。国立志望なので慣れない形式に苦戦。本番も手ごたえがまったくなかった。が、受けた大学はすべて合格!浪人していただけに、4月から大学生になれるということに胸が熱くなった。

 国立二次。私大入試が満足いく結果だったため、国立大二次試験はかなりリラックスして対策することに。とはいえゴールは目前なので悔いのないように一日一日を大事に過ごした。本番は自信のあった数学がうまく解けずに焦ったが、切り替えて開きなおると他の教科はすんなり解くことができた。

 合格発表。アメフト部の胴上げが有名だが、受かっていなかったら悲しいので、時間をずらして見に行った。結果は、、、合格!うれしかったが、一年間みっちりやってきたのだ。当然の結果だと思った。それくらいやりきることができた。

 浪人生の皆さん。一つのことに一年かけて真剣に取り組んだ経験は、大学、社会に出てからも生きてくると思います。周りの大学生が羨ましいとは思いますが、楽しんで勉強しちゃってください。

 

 


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