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サン=サーンス/クラリネット・ソナタ

今日10月9日はカミーユ・サン=サーンスの誕生日。
昔から好きなのは (誕生日なのに) 再晩年に作曲された一連の管楽器ソナタの中の1曲―クラリネット・ソナタ Op.167である。

「クラリネット・ソナタ」というとブラームスやプーランクの作品を思い出すが、どちらも作曲家の晩年に書かれている―という不思議な共通項を持つ。ブラームスは枯淡の美と最後の情熱を感じさせ、プーランクは亡き友人オネゲルへの追悼の想いに溢れている。ではサン=サーンスは、というと、特にレント楽章の悲痛さに胸が摘ままれる―おそらくはサン=サーンスが書いたなかで最も厳粛で切実な音楽ではなかろうか―。冒頭楽章の過ぎた日々を懐かしむような穏やかさに満ちた歌謡的なテーマも忘れられない―それは作品全体のコーダとしても機能し、過去を見つめたままノスタルジックに閉じるのである。

全4楽章をザビーネ・マイヤー&オレグ・マイセンベルクの演奏で―。


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