どうする家康 第17話 それを愛と呼ぶなら
いよいよ「三方ヶ原の戦い」。この戦いは家康の生涯の中でもエポック・メーキング的な出来事であり見逃すことはできません。ただ、このドラマ、「金ヶ崎の退き口」や「姉川の戦い」でやらかしているので期待せずに観ることに。
…えっ!なかなか良いやん。良い意味で期待を裏切られた感じ。ツッコミどころも多々ありましたけどね。
陣触れ
この時代、「戦評定」で戦の場所や軍の編成や戦略立案などが決定され、次に「陣触れ」で各兵士に詳細が知らされ、「着到」で各々の持ち場に赴き、「出陣式」に臨むという手順で出陣していったようです。
今回はそのうちの陣触れにおける武将たちの様子が丁寧に描かれていましたね。
久松長家や酒井忠次のような練達の重臣ですら妻に弱みを見せるところなど胸に来るものがありましたね。まぁ男って強がっていても根本的には意気地なしですからね。ましてや相手が戦国最強と謳われる武田軍団ですから武将たちも色々な想いがあったことでしょう。その感じがよく出ていました。
本多平八郎
物見に向かった本多軍が武田の赤備えと畏怖される山県昌景の軍と遭遇し、そのまま小競合いとなる。血まみれで浜松城に帰還した平八郎。大久保忠世が手当てをさせよとすると「手当は無用!見ての通り、かすり傷一つ負わなんだ」と強がる平八郎。
うーん、この演出は必要だったのか?私は平八郎の死の直前のエピソードが好きなのだが、この平八郎の演出だと手傷を負ったことになってしまい平八郎の人物像が小さくなった印象。このドラマの演出って登場人物への敬意があまり無い気がしますね。
束の間の逢瀬
武田軍が侵攻し徳川の支城が次々と落とされてゆく。信長の伝令として水野信元が浜松城に到着。浜松城で籠城という信長の伝言を聞いて家康は信元に言い放つ。
「ともに二日だけ城を抜け出し、いつものところで鷹狩りをしよう」と
いやいやいや。この状況で!?
甘い、甘すぎる。
まず水野信元が岐阜の信長へ伝令を走らせねばならない。ドラマの演出上、家康は信長が来るかどうか分からぬまま赴く様子だが有り得んでしょう。信玄がどう動くかも正確に読めていないのにね。辺りには武田の忍びがうじゃうじゃいることも考えられるし。
で、家康は行くし信長は来るし。
この信長は東海道新幹線の岐阜羽島駅からこだまに乗って三河安城駅で降りたみたいでしたね。旅の疲れもなく、ふらっと寄った感じでした。この別次元の信長ならやりかねませんw。
で、何を話すのかと言えば、援軍の要請とその人数の交渉。
家康「五千」
信長「三千」
基本的戦略は浜松城での籠城ですよね。これは信長も家康も合致しています。野戦じゃないのだから二千の違いって大きくないでしょう。家康が五千にこだわる理由が分かりません。野戦する気満々でしょ。
その後、二人は見つめあい信長は家康を抱擁します。
「俺とお前は一心同体。ずっとそう思っておる。信玄を止めろ。俺は必ず行く!」
もう君たちそのままキスでもしなされ!と言いたくなる感じでした。
この二人、実はラブラブかも。家康が織田家の人質時代に何かあったのかも。
信長が家康の耳は噛むし、家康は金ヶ崎の退き口で信長を罵るけど信長は受け止めてたし、家康に呼び出されたら新幹線に乗ってまでホイホイやってくるし。
でも、ふざけてこういうことを書いているわけじゃなく、本当に信長と家康の同盟関係って不思議なんですよね。
信長の家康に対する扱いって、どこか家康に甘えてる感じがしないでもありません。家康は京都まで呼び出されるし、北陸まで出陣させられるし、命からがら退却したら直ちに姉川まで出陣させられるし。
今回は武田への防波堤扱い。このまま武田に寝返って先陣を切って岐阜に雪崩込んでも不思議ではありませんが家康はしなかった。
それは「愛」なのかと思わせますね。傍証としては、本能寺で信長が死んだことを聞いた家康は追腹を切ろうとしたことです。殉死をしようとしたわけですよ。
うーん、uruの「それを愛と呼ぶなら」が頭を駆け巡りますw
とにかく信長はそう言うと背中を見せ立ち去ります。帰りの新幹線の時間が迫っていたのでしょう。短い逢瀬でした…
瀬名と信康
信長のツンデレぶりに心を揺さぶられた家康。その満たされぬ心が向かう先は一つしかありません。
妻の瀬名ですね。
家康も久松長家や酒井忠次のように最後に頼るのは長年伴にした妻なんですね。妻という女性の中に母性を見出しているのでしょうか。
家康は木彫りの兎を瀬名に手渡す。(上手く彫れており見た瞬間欲しいと思いましたよ)
「これは儂の弱い心じゃ。ここへ置いていく。持っていてくれ」
うーん、信長ラブと解釈すると謎が解けていきますw
この木彫りの兎は信長を想う象徴か!?
信長は家康のことをかつては白兎と呼んでましたよね。
この兎の彫物は、信長を想うけど、その気持ちを上手く表現できない弱い心の象徴なのか!?
そのどうしようもない気持ちを母性を象徴する瀬名に預けるという複雑な家康の心境。
ちょっと頭が痛くなってきましたがw、こう解釈すると後の瀬名と信康の悲劇にも結びつくような気がします。
一つの愛を貫くためにもう一つの愛を犠牲にする。そういう展開になるのだろうか!?
このドラマの鍵は「信長ラブ」だったのか!
ちょっと目眩が…
三方ヶ原へ
浜松城を無視して進軍する武田軍。
その先は瀬名や信康のいる岡崎。
武田軍の行く手には軍の布陣に向かない隘路。
追い打ちの機会ありと出撃する徳川軍。
色々な愛を背負って走る家康。
三方ヶ原に出ると布陣の済んだ武田軍。
呆然とする家康と徳川軍。
…死屍累々の徳川軍。
運ばれる金陀美具足の武将の遺体。
槍の先の金色の兜首。
家康はどうなった?
それは次回ということのようで。
途中、ヘンテコリンな感想となってしまいましたが、私としては新鮮で楽しめた回でしたw。
ちなみに徳川の出撃シーンでオープニングテーマが流れましたが、私の脳内ではuruの「それを愛と呼ぶなら」が流れていました。
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