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チューリップ「娘が嫁ぐ朝」について巡る想い その2「愛が突き抜ける」

チューリップの「娘が嫁ぐ朝」の続編(私の個人的感想ですが)とも思える曲とは、財津和夫さんの「Wake Up」です。この曲は財津さんのソロシングルとして1979年12月20日に発売されました。セイコーのCMのイメージソングとして使われたので記憶に残っている方もいらっしゃるでしょう。

お聴きくださればお分かりでしょうが、この曲こそ、まさに「娘が嫁ぐ朝」の情景を歌ったものです。


Wake up Wake up
Wake up Wake up
今愛がつきぬける

涙をふいたら行きなさい
あなたが生まれた家をうしろに

白い吐息はずませて通ってた
学び舎への道 今日は嫁ぐ道

落とせない荷物はあなたの心
そして微笑んだ あの人の写真

Wake up Wake up
Wake up Wake up
今愛がつきぬける
あの人へ あの人へ

そして、私はこの曲からは母親の存在を感じられませんでした。2番の歌詞を見てみましょう。


朝もやけむった 駅のホーム
じっと見送る年老いた人
動き出した汽車にむかい
その人は
娘に初めておじぎをした

「年老いた人」なんですよね。「年老いた二人」とかではなくて。
この歌詞から私が思い描く情景は、年老いた父親が駅まで見送りに来て、汽車に乗った娘に初めて御辞儀をしたというものです。

この曲は父と娘の物語のような気がしてなりません。
そう解釈すると、続く歌詞もより深い意味を持ってくる気がします。


ずっとあなたを 守ってきた
その愛にはもうもどれない

妻を亡くした主人公は男手独りで娘を育ててきたというニュアンスをこの歌詞が醸し出してくる気がします。独りで娘を守ってきた主人公はその責任を娘の結婚相手へとバットンタッチするわけですね。

こうなると1番の歌詞にある「そして微笑んだ あの人の写真」が誰の写真なのかの解釈も変わってきます。
当初、私は「あの人の写真」を娘の結婚相手の写真と思っていましたが、そうではなく、主人公にとっては妻であり娘にとっては母親である女性の写真と思えてきます。


Wake up Wake up
Wake up Wake up
今愛がつきぬける
あの人へ あの人へ

愛が「突きぬける」というのは「ぬける」対象があるはずで、娘の立場では、愛が父親を突き抜けて結婚相手へと到達し、父親である主人公の愛は娘を突き抜けて亡き妻へと還っていく、そういう事を表現しているのかもしれません。

こう考えると、チューリップの「娘が嫁ぐ朝」は「Wake up」で娘を送り出した後の主人公の心境を歌っているようでもあります。

時系列を合わせるなら、娘の結婚式の何日か前に、娘と亡き妻のお墓参りに行き、それが「娘が嫁ぐ朝」であり、結婚式を挙げ、その後娘を新居へと送り出したのが「Wake up」であると解釈できるのかなって思えました。

「娘が嫁ぐ朝」の3年後に出された「Wake up」が「娘が嫁ぐ朝」の解釈の手掛かりになった感じです。

両方とも父と娘の物語であると私は思っています。

ともかく、娘を持つ父としては「泣ける」歌であることは間違いありません。

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