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わら人形

死ねばいいのに。と思う人間が三人いる。

高校の時の同級生と、前々職の上司二名だ。
折しも、今私はPMS(月経前症候群)であり、死んでほしいと願う気持ちがいつもより濃い。

今私がデスノートを拾ってしまったら、秀才の主人公、夜神 月のようには使いこなせず、本当になった事に恐怖し、そこから使えなくなるモブだろう。(そもそも英語が読めない)
普段は頭で、彼等相手にわら人形を打ち込んでいるが、実際になったら心が病んでしまいそうだ。

同級生にはいつも突っかかられていた。
私は猫背なのだが、いつも亀みたいと揶揄され、バイト代で整体に通った。お店の人に間違えてありがとうだけ言ってしまったら、あの言い方はないとしばらくの間強い口調で言われた。
いじめはなかったものの、私が言い返したりしなかったので調子に乗ったのだ。

前々職の上司二名の内、一名は男性ながら下半身ちんこでのし上がっており、自分では一切仕事をせず、女性上司にアメと鞭を使い分け、仕事をやらせる様はホストも真っ青なやり口だった。
彼は、役職を持って出向する私の目の前で、出向は左遷と言い放った。

もう一名は、明らかに人員不足で私が午後九時過ぎまで残業し、窮状を訴えてもお前しかいない。と人員を入れなかった。
しかも残業する私を尻目に、接待で行った、よりディープに女性と交わる場所の話を事務所で大声で話していた。
もちろん評価は上司がするものだ。
だが、式ギリギリ、直前の夜遅くまで残業し、その直後に行われた私の結婚式では、親戚一同の前で私の事を、うっかりぼんやり変わった子。とスピーチした。

いじめで一番有効なのは、何かをされた時にすぐに言う事らしい。
高校生の私には、何か言い返してもっと酷いことになったらどうしよう。との気持ちが強く、社会人の私も、上司に逆らえない。との気持ちが強かった。
今離れてみて、離れたからこそだが、なぜ少しでも言い返さず従順だったのかと思う。
彼女と必要な事以外は話さないとか、彼等とは転職して関わりを断つ、とか離れる手段はあったと今になって思う。

記憶は残酷だ。
言われて嫌だった事を明確に思い出す。
思い出さなけりゃ良いなんて頭では分かっているし、何度もやっている。
けれどもふとした瞬間に頭の中に記憶が広がってしまう。
しかも何度も思い出して、色彩が明確になっていたりする。

結局わら人形を打ち込みたいのは、その時、本人に何も言い返せず、曖昧に笑ってさえいた、私自身なのだ。

これからの人生、わら人形はゼロにはならないと思う。
ただ、色彩すら明確に思い出す前に、釘を打ち込むほど我慢する前に、その時に言える事を少しでも言っておけば良かったと思う。

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