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生て遺す 第1節

 2年3組の教室で前から2列目、廊下側で1番端が冬樹の席、春うららかな陽気のその日にクラスのムードメイカー的存在の竹田君は教室に響き渡る程の大声でこう言った。
「クラスで1番のバカは冬樹だよな〜みんな」

 これは酷いと思った方!大丈夫、悪い所だけ書くと竹田君は最低であるが、日頃から竹田君にチマチマ嫌がらせや否定をしていたのは冬樹本人です・・・因果応報・やった事はやり返される。
クラスの皆も当然の様に冬樹の敵に回る、授業中に冬樹が間違った漢字や計算を此処ぞとばかりに冬樹に問いかける、そう言えば「よく私が間違えた問題を覚えてたな・・・」と今になれば竹田君は私に好意を持っていたのではと思う程だ。

 当然嫌われ者、嫌な奴代表の冬樹が黙って笑い物になる訳も無く、かっこ悪く言い訳や関係の無い相手への罵倒を返す「竹田君は背が低いし足が遅い癖に」と。

当然子供同士が言い合いで終わる訳も無く最後は取っ組み合いになりお互い痛み分けに終わる、そして当然先生に怒られる事になるが訳だが必ずクラス一丸で冬樹が先に手を出した事になる・・・いや出してたかも。

冬樹は人にバカにされるのが何より許せなかったがそれ以上に自分がイジメられている、嫌われていると言う事を認め、大好きな両親にその事がバレるのが絶対的に嫌だった。
自堕落にそんな学校生活を送りながら、冬樹も人の子で初恋をする事になる。

 冬樹は幼少期から親が決めた習い事があった、剣術である。
 休日に通う程度ではあるが冬樹は幼少期から自分の身長とあまり変わらない竹刀を振り回していた・・・ハズ、素振りや練習試合、昇級試験と段位試験など色々あったが全く記憶に無い、テヘペロ

 記憶に残るは同じ道場に通っていた3歳年上の女性に恋をしていた事はハッキリ記憶している、名前は東 美千代(あずま みちよ)さん。

第2節に続く


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