生て遺す 第8節
部屋に入るとベットに勉強机・テレビに、ゲーム機のある大きめの空間が眼に飛び込んで来た、それ以上に勉強机の上の異質な物体にも気づいた冬樹の視線にマサシが珍しく陽気な声で言った。
「面白い物見せてあげるよ」
マサシの母親がジュースとお菓子を持って部屋に入って来たタイミングは正に神がかっているのだろう、またマサシがそのタイミングすらも計算して居たのならコイツは何度と無く繰り返した行動なのだろうと少し恐怖すら覚えた。
「ノックしろよ!ババァ!!」
と部屋に入った母親に向かってマサシは異質な物体を向けて引き金を引いた・・・母親にエアガンで乱射し始めたマサシは嬉々として顔・腕・脚に玉を撃ち込む、
「やめなさいマサシ・・・ジュース、溢れる・・・」
えっ、そこ!?冬樹は驚愕したがこの時マサシ母の感情が普段のマサシ以上に無機質な事に気づいた、これが2人の日常なのだと理解した、ただ見ていて気持ちの良い光景では無かったのも事実、現に冬樹は「おっ、おい、やめとけ、何してんねん」とマサシを動揺しながら静止した。
「ノックしない奴が悪い」
いやいやいやいや・・・
冬樹に取ってはかなり刺激的な出来事だが、子は親を見て育つ、これがこの家庭の普通なのだと子供ながらに理解した冬樹は、マサシの知らない人間性の新たな側面を見れた事に更なる興味を懐いて行くのだった。
第9節に続く
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