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音速のドラ猫09




〜新田原基地〜

副司令「気をつけッ」

副司令の号令で全員が姿勢を正す。
この新田原基地には全国6カ所の基地から精鋭達が集められている。
南は沖縄の那覇基地、北は北海道の千歳基地からF-15を使用する飛行隊が集結している。

司令「この戦技会は……であるからして各飛行隊、各々は十二分に実力を発揮して欲しい。
以上だ。」

司令の訓示が終わる。

副司令「気をつけッ 敬礼ッ」

全員「…」ビシッ

全員が司令に敬礼し司令もそれに答礼する
そして、三々五々に解散となった。
そんな中、僕は見知った顔を見つけた…

理樹「文人(あやと)…」

文人「理樹か…」

彼は直井 文人2等空尉TACネーム(アダム)
僕と同期で苗字も似ている。物静かでクールだが先輩(音無2尉)を前にすると忠犬のようにデレる。 303飛行隊所属

理樹「久しぶりだね…」

文人「そうだな。理樹は114SQか…て、事は」

結弦「理樹、何してんだ?」

文人「音無さんッ」ダッ

結弦「うわッ…と、直井ッ」

文人に抱きつかれた先輩は体勢を崩し、その場に倒れ込む。

日向「おいおい、大丈夫かよ。音無」

ゆり「相変わらずね…アンタ達」

文人「音無さん、音無さん、音無さん」

結弦「分かった…分かったから離れろ」

玄武「文ちゃんは相変わらずやなぁ」

文人「む、誰だ!今、僕のことを文ちゃんと呼んだやつはッ 出てこいッ」

玄武「俺やけど」

文人「貴様か…玄武」

玄武に文(ぶん)ちゃんと呼ばれ我に帰る文人
相変わらずこの辺りも変わっていない。

玄武「文ちゃんは文ちゃんよ、どこまで行ってもそれ以上でもそれ以下でも無い。」

文人「減らず口だな…後悔させてやる。」

玄武「面白ぇ、やってみぃや!」

文人「後悔するなよ…?」

理樹「ははは…」

ゆり「ちょっと、止めなくて良いの?」

理樹「彼らはいつもこうなので、大丈夫ですよ…ははは…」

ゆり「そ、そう…」
(何だか遠い目をしてるわね直枝くん…)

この2人はいつも喧嘩ばかりしていた。
文人がクールな振る舞いをする度に、玄武が
それを揶揄う。いつもの流れだった。

???「まったく…直井くん、他部隊の人と喧嘩とは感心しませんね。」

その時、眼鏡をかけた1人の男性パイロットが近づいてきた。

文人「し、失礼しましたッ 鳳1尉」

日向「お、咲夜さん」

結弦「303に居たんですか。咲夜さん」

咲夜「お久しぶりです。ウチの直井がご無礼を働き申し訳ありませんでした。」

玄武「すげぇ、紳士的な人だ…」

理樹「ねぇ、あの人は誰?」

豊「俺も知らない人だな…」

日向「んぁ?そうか、理樹達は面識がなくて当然か。え〜と、この人は…」

咲夜「どうも、303飛行隊所属の鳳 咲夜1等空尉です。先程はウチの直井くんが失礼しました。」

理樹「い、いえ」

玄武「とんでもないですッ」

咲夜「それでは、我々はブリーフィングがあるので失礼します。」

文人「それでは、音無さんまた会いましょう」

そう言って2人は隊舎の方へと歩いて行った。
後から聞いた話によれば…

鳳 咲夜1等空尉 TACネーム(ヴァイパー)
303飛行隊所属の飛行班長      
朋也さん(岡崎1尉)と同期で元203飛行隊
上司部下関係なく誰にでも敬語で接する。
朋也さん曰く変わった人らしい…

理樹「あの文人を手懐けるって凄いですね…」

結弦「まぁな、俺も驚いたよ。」

日向「まさか、咲夜さんが303に居たとはなぁ…俺がこっちに来るタイミングで異動したのか?」

結弦「かもしれないな」

柊甫「お〜い、皆ブリーフィングするから帰ってこいよ〜」

副隊長が僕らを呼んでいる。
僕達、足早に隊舎へと急いだ。

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〜教導隊会議室〜

隊長「これで、全員揃ったわね。それではブリーフィングを始めます。」

隊長の一声で全員の眼差しが鋭くなる。
アグレスに来て1年…俺はまだ半人前だが今回戦技会のメンバーに選ばれた。

副隊長「それでは、資料を確認してください。」

俺は配布された資料に目を通す。
そこには…今回のメンバーと競技内容が記載されていた。

メンバーは…

✳︎隊長機、副隊長機は複座型のF-15DJを使用

〜隊長機〜

東郷 美森1等空佐 TACネーム(シェイミ)

鷹島 甚太 3等空佐 TACネーム(ホーク)


〜副隊長機〜

園田 慎二2等空佐 TACネーム(エデン)

大西 勇人 1等空尉 TACネーム(アビス)

3番機

長谷川 零士 1等空尉 TACネーム(ゼロ)

4番機

式神 直也 1等空尉 TACネーム(ゼウス)

5番機

松井 和也 1等空尉 TACネーム(ゴジラ)

6番機

津田 タカトシ1等空尉 TACネーム(アルス)

詳細についてはこうだ…築城の第6飛行隊のF-2が太平洋上にて某国軍艦への対艦攻撃を行う。それを各飛行隊が援護するのを我々 アグレッサーが妨害するという作戦だ。

松井「にしても、相変わらず俺たちゃ損な役回りですなぁ 隊長」

園田「ゴジラ、意見や質問は手を上げてから行ってください。」

美森「そんなに堅苦しくなくて良いわよエデン 。確かにゴジラの言う通り毎年我々の役は損な事が多いわ。けれど、我々は彼らを実戦形式で教導及び訓練を行う部隊よ。それを忘れないことね。」

松井「へっへっ、分かってますよ隊長、俺はぁ容赦は知ってても手加減はしない性質なんでね…徹底的にやってやりますよ」ニヤリ

美森「その辺りは貴方に任せるわ。」

長谷川「フン、勢い余すぎて撃墜されるってオチは無しだぜ。ゴジラ」

松井「んだと?ゼロ」

園田「辞めなさい2人とも」

式神「おい、仲間割れしてる場合じゃ無いだろ。俺たちはアグレッサーだ…」

松井「す、すまん…」

長谷川「チッ」

式神1尉の声で喧嘩を止める2人
この3人は同期だがアグレスの中でいかんせん仲が悪いことで有名だ。

園田「話を戻します。まず、攻撃目標αを私、ゼウス、ゴジラの3機で襲撃、その間に攻撃目標b は隊長、ゼロ、アルスの3機で妨害を行います。」

タカトシ「俺は妨害班か…」

長谷川「不安なのか?アルス」

タカトシ「いえ、今年もどんな強い奴が居るのかワクワクしてるんですよ。」

大西「相変わらずお前は変わってるな。」

鷹島「まったくだ。だが、実力はある」

俺はこの隊では変わり者の部類になるらしい。
いや、ゼロやゼウス達も十分変わっていると思うが…まぁいい。俺は与えられた仕事を最高の結果になるようにやるだけだ。

園田「何か質問がある者は?」

全員「無しッ」

美森「結構。それでは、各自のブリーフィングに移ってちょうだい。」

全員「了解ッ」

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ー303飛行隊会議室ー

咲夜「それでは、ブリーフィングを始めます。隊長、お願いします。」

飛行班長である鳳1尉の号令でブリーフィングが始まる。

隊長「おう、資料は全員に渡ったな?作戦はこの間説明した通りだ。A班は俺、大志、悟
B班に舞斗、咲夜、文人だ。」

高松「あの、隊長」

隊長「どうした?悟」

隊長に質問したのは…
高松 悟 2等空尉 TACネーム(マッスル)
僕と大山の同期で着痩せするタイプらしい。
知的に眼鏡を直す癖があるがただのバカだ。

高松「自分の記憶が正しければ自分はB班だった筈です。なぜ、A班に?」

隊長「お前さんも援護班に加わって貰いたくてね。隠された筋肉に期待を込めて。」ニヤリ

隊長である神田 哲夫2等空佐
隊員一人一人を大切にしており家族のように接してくれる。そのせいか、全員苗字ではなく下の名前で呼ばれている。


高松「ふっ…そうですか。」スチャ

隊長にそう言われカッコつけたように眼鏡を直す。やはり馬鹿だ。

神田「他に質問がある奴は?よろしい
それでは、解散ッ」

桜井「各自はブリーフィングを行ってくれ。」

全員「了解ッ」

僕の所属する303飛行隊(Fighting Dragon)
のメンバーはこうだ…

A班(援護班)

・飛行隊長
神田 哲夫 2等空佐 TACネーム(ゴッド)

大山 大志 2等空尉 TACネーム(ビッグ)

高松 悟 2等空尉 TACネーム(マッスル)

B班(迎撃班)

・副隊長
桜井 舞斗 3等空佐TACネーム(サク)

・飛行班長
鳳  咲夜 1等空尉 TACネーム(ヴァイパー)

直井 文人 2等空尉 TACネーム(アダム)

今年はこの面子でアグレッサーに挑む…
我々は神だ…負けは認められない。




         続く…

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